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会社に残していくもの

もうすぐ仕事を辞めるまでカウントダウンが始まった。会社の休憩室で「あれ!」と、最後に一番会いたかった別の階で働く同期のM美があらわれた。

少し前にロッカー室ですれ違った時に『話があるんだけど』と言うと、「急いでるから、ごめーん」と後輩と思われる子といってしまった。そのときの出会いも実は偶然。違うオフィスで20年以上働いていたが、去年の夏から同じビルなっていたが、シフトが会わず、20年ぶりの再会でもあった。

彼女とは同じ短大で就職試験の時に知り合って、入社当時同じ支店に配属になった同士であり戦友。

本当に笑いのセンスが良くて、いつも人を笑わせてくれる最高のパートナーだった。同じ支店の配属で他の同期からもよく、うらやましがられてた。

新人の頃に彼女が仕事を習っていた先輩が転勤になってしまい、そのまま仕事を引き継ぐことになったことがあった。
主担当となった彼女は仕事のプレッシャーも大きく、まだわからないことも多かった。「もういやだー」と泣きなら仕事をしていたことがあった。
そんな彼女の姿がふと頭をよぎってちょっと目頭が熱くなった。

「それで話って何だったの?」と聞かれ、『じつは会社辞めるんだよと言うとびっくりした顔で「え!何で?ウソでしょ!」『45歳になるから早期退職するんだよ』「そうなの、もったいない。えーーさみしくなる…。」

話が尽きない。

「そういえば、むかしくれた”入力するときの資料”、今でも使ってるよ。」『え?何だっけ?』「ほら、私が入力で困ってたときくれたやつだよ、ほら、入力の仕方がさあいろいろ書いてあって…。あれ、時々使ってるんだよ」

私はすっかり忘れてしまっていたけれど、M美はそれを 20年以上も使い続け、使うときに私が渡したときのことを思い出してくれていた。

私の分身が知らないところで活躍してくれていた事実を教えてくれて嬉しくなった。

そしてその資料はきっと後輩にも渡しているに違いない。

事務仕事で目立たないし、何処かに数字が残ることではないけど、自分のしてきたことが知らず知らす、誰かを支えてきていたことに心があったかくなった。

そしてこれからも彼女たちの仕事の一助となることができる思うともっと嬉しかった。

「最後に食事に行きたいけど私コロナに2回もなっちゃって自信ないな。ごめん」
『謝ることじゃないよ。また落ち着いたら会おう。ありがとね』
「元気でね。がんばってね。」

生活が変わるとなかなか会わないだろうなと、もう大人だからお互いによく知ってる。

今までありがとう。これからもありがとう。元気でね。

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ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回の文章は先日思い出にツイートした長文投稿が、反響がよかったものをもっと多くの方に読んでいただきたいなと思いこちらのnoteを投稿しました。

これから新しい生活になりますが、会社員生活で長年つちかったものはこれからもずっと私の糧になると信じています。

もっと成長して歳を重ねたら、その時は彼女に報告したいです!

そしてきっと「さとこすごいねー!」って褒めてくれるはずです。

だって、彼女はいつもいつも、わたしのやることなすことをなんでも、「すごい、すごい」ってほめてくれてから。


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