見出し画像

キレイな心ではいられなくても、進んでいけるならそれでいい。〜『神様のケーキを頬ばるまで』を読んで〜



今夜は最近読んだ本について感じたことのお話です。

あらすじはこちら。↓↓↓

神様のケーキを頬ばるまで
彩瀬まる/著

ありふれた雑居ビルで繰り広げられるいくつもの人間模様。シングルマザーのマッサージ師が踏み出す一歩、喘息持ちのカフェバー店長の恋、理想の男から逃れられないOLの決意……。思うようにいかないことばかりだけれど、かすかな光を求めてまた立ち上がる。もがき、傷つき、それでも前を向く人々の切実な思いが胸を震わせる、明日に向かうための五編の短編集。

ネタバレ含めての感想になりますので、
ご了承いただける方のみ
読み進めてくださいね😌


この小説は、あらすじのとおり、
ある一つの雑居ビルに入居している
テナントの中の人について、
その短編ごとに、
それぞれ別の人物にフォーカスし、
その人の人生の鍵となる期間を
切り取ってそのエピソードを
描いたものです。

登場人物はストーリーの初めでは、
それぞれの人間関係の中で、
迷いや恨み、妬み、苦しみ、そんなマイナス感情を
ごりごりに抱えています。

でも、
もがいたり、傷ついたりしながら過ごす中で、
ふとしたきっかけで、
自分を苦しめる行動を取った
相手の心の内に気づいたり、
自分を苦しめる自分自身のこだわりに気づき、
それにより、ぐるぐるに絡まった心の糸が
少しずつほぐれていく。

そんな様子が描かれています。

どのエピソードも
最終的にどうなったかはというところまでは
描かれれていないけれど、
少し前に進めそうな予感を
感じさせてくれます。

このお話では
登場人物の性格は全然キレイに描かれてません。

未熟なところも、弱いところも
怠惰なところも、強情なところも、
人間の汚い部分を隠すことなく、
誤魔化すことなく、
心の深いところまで
そのまま淡々と描いている。

逆に、だからこそ、
読んでいて
親近感が湧いたのかもしれません。

私も、若い頃
未熟なところ、
打算的なところ、
無知なところ、
いっぱいあったな。

一つ一つ、
いろんなことを経験して
ここまで来たなぁ。

昔に比べたら
だいぶ成長した気がするけれど、
今もまだまだ。

でも、
結局これからも
自分にダメ出ししたり、
褒めてあげたり、
がんばれ!と檄を飛ばしたり、
怠惰に甘やかしたり、
紆余曲折しながら、
進んでいくんだろうなぁ。

薔薇色な
非の打ちどころのない、
幸せに満ちあふれた人生、
というわけではないけれど、

こんな大人になっても
まだまだ未熟者だけれど、
自分の人生も捨てたものじゃないよな。

これからも
自分の手の届く範囲で、
自分と、周りの人々の心を大切に、
小さな幸せのひとつひとつを
ありがたく感じ取りながら、
もがいてもがいて、
試行錯誤しながら、少しずつ進んで行こう。

そんな風に思えた作品でした😌

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?