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目から鱗のハウツー営業⑨【スランプ】

私は営業職の皆様に[営業という仕事の真の面白さ]を伝えたいと思っています。
サトミ営業相談所の川端です。
 

今回のテーマを選んだ理由ですが・・

少しだけ、私の仕事の話をさせてください。
 
私の相談者は大きく分けると以下の3つのお立場に分かれます。
❶経営者
❷営業部門の責任者(営業部長、拠点長)
❸営業職
 
最も多いのが❶経営者の方ですが、経営者の皆様からは営業戦略や具体的営業手法については勿論の事、営業とは直接関係のない様々なことをご相談いただいております。
時には悩みというよりは、愚痴に近いようなモノもあります。
それくらい経営者の方は多くの悩みを抱え、そのお立場からどうしても孤独であり、相談する相手が実は周りにいないのだなと感じます。
 
次に、❷営業部門の責任者の方です。
このお立場の方からのご相談が、最も私が貢献できる領域だと思います。
部門全体の営業戦略から、他社への対策、営業職の担当の振り分け、或いは個別の営業職についての相談に至るまで、
私の経験やノウハウが最も活かせるお相手です。
しかし、こうした方は、権限が多いだけにあらゆることを業務として抱え、直接管理しているスタッフも比較的多く、人事から数字の管理まであらゆる悩みを広範囲に抱えています。
 
最後に、❸個人の営業職の方からのご相談です。
勿論様々な悩みがありますが、その多くは一言で言えば、
『現在スランプに陥っているから、そこから脱したい』という悩みです。
形こそ様々ですが、ここに集約されているように感じます。
 
このように私の仕事とは悩みをご相談いただき、その解決のための選択肢を提供することにありますが、立場ごとに見てもこれだけ様々な悩みがあると言えます。
 
しかし、この【目から鱗のハウツー営業】というシリーズはあくまで営業職の皆様向けに発信しています。
ですから、私がご相談いただく悩みの中でも、
今回は、営業職の悩み=【スランプに直面した時どうすべきか?】
について取り上げたいと思います。

営業職にスランプはつきもの


 当然の事ですが、営業職にスランプはつきものです。
どんなに優秀な営業職でもスランプと無縁ではありません。
ですから、スランプとの付き合い方を理解できれば、エネルギーと時間のロスを最小限に抑えることができ、それが結果として最大のパフォーマンスを生むことに繋がります。

今回は
⑴  スランプに陥った時にどうすべきか、
⑵  スランプとそうでない時の境界線、その考え方
⑶  スランプに陥らないためにどうすべきか
の3本立てで解説します。

⑴は無料公開とし、⑵⑶は有料記事とさせていただきます。
⑴のみでもスランプへの考え方はご理解いただける内容となっていますので、安心してお読みください。
 
※スランプ:一時的に調子が出ない、または取引が不景気な状態。
 

⑴  スランプに陥った時にどうすべきか


 
まず、結論から申し上げます。
結果が出ないのが3か月間程度なら、何もやり方やプロセスを変える必要はありません
最初から身もふたもない話に思えるかもしれませんが、『スランプ=一時的な不調』ですから、一時的な=3か月間と定義するなら、スランプそのものの対策は不要だということです。
いや正確に言うと、何もしなくてもいいのではなく、その状況でやり方やプロセスを変えてはいけないと私は考えています。
 
 

『対策は必要ない』と断言する二つの理由



私がそう考える理由は二つあります。
 
一つ目の理由は3か月間程度であれば、プロセスに関係なく、たまたま何か偶然が重なって結果が出なくなるということはしばしば起きるからです。
皆さんが経験するスランプはほとんどがこれに該当します。
ですから、ほとんどの場合は嵐が過ぎ去るのを待つように、それまで通り営業活動を行っていれば、元の水準に数字が戻ってきます。
それでも皆さんは普段の営業活動を変えますか?
私は変えない方が合理的であると考えます。
 
二つの目の理由として、3か月間程度のスランプではその原因の特定ができないことがほとんどであるということです。
 
(逆に数字が落ち込んでいる原因が特定できているのなら、大変良いことです。
例えば、ある特定のお客様が〇〇を理由にあなたの会社に不信感を抱いていて、あなたの会社への注文を止めている場合などです。
 
こうした場合は、悩む必要はありません。
即座に〇〇を改善すれば済む話です。
たとえ〇〇を解消できないとしても、出来ないという事実とその理由の説明は必要ですし、むしろ堂々とその説明の機会を頂くべきです。
それだけでもお客様の心象はかなり違います。
もし、それすらもやっていないのはただの怠慢です。
スランプとはまるで異なる問題です。)
 
営業職のスランプは多くの場合、複数のお客様からの注文の頻度や量が同時に減少することで起きます。
通常は売上が減少するお客様と増加するお客様が常に混在しながらもある程度均衡するので、全体としてはそれなりの数字に落ち着いているはずです。
それが減少するお客様が相対的に増える、もしくは減少幅が大きくなると全体数字が目に見えて下がってきます。
 
こうして、偶然が重なって一時的に全体数字が落ち込むのがスランプの正体です。
 
 
しかし、こうしたことはお客様へのアプローチを重ね、コミュニケーションを取って、妥当な営業活動を行っていても、ゼロにはなりません。
 
例えば
あなたが担当する主要顧客、A株式会社、B工業、C製作所という3社からの注文が同時に減ったとします。
それぞれに聞いても、口を揃えて「たまたま今月の注文が減っただけで、来月にはまた元の水準に戻るはずです」と言っているとします。
この回答が本当なら、それぞれの売上が減少した原因は【たまたま減ったこと】ですが、営業職の全体数字の原因は勿論特定できません。
敢えて言うなら、偶然が重なったことです。
これでは原因が特定できるとは到底言えませんが、こうしたことは現実にはよく起きます。
 
このように考えてみると、
放っておけばまた元に戻るのに、
またその上原因も特定できないのに、
自分の行動ややり方を変えることが
いかに無意味なことか分かると思います。
無意味で効果も期待できない上に、もともと問題のない行動、続けるべき行動すらも変えてしまいかねないというリスクの方が大きいと考えるべきではないでしょうか。
 
 

現実に起きている事とその問題点


 
しかし、現実はどうでしょうか?
恐らく多くの営業職は、3か月間結果が出ないと「プロセスに問題があるんじゃないか?対策を取らないと(何か変えないと)・・・」と思ってしまうのではないでしょうか?
或いは本人よりも、上司や管理職が具体的な改善策を指示するのではないでしょうか?
営業の世界では日常的な風景ですが、よく考えたら不思議な光景だと言えます。
 
何故なら、このような時にも大半の上司や管理職はその営業職に、一方的かつ不正確な改善策を指示しているからです。
何故一方的だと私が感じるかというと、大半の上司や管理職はお客様へのリサーチや聞き取りをせずに具体的な改善策を指示しているからです。
 
スランプに陥っている直接的な原因はお客様の購買活動の変化であり、営業職の営業活動は可能性としてその一因に成り得るという程度です。
 
実際、営業職の活動に問題があったとしてもお客様側がそれを問題視しなければ、売上が減少することはありませんし、逆に問題が無くても、ライバル会社の奮闘やお客様の社内の方針転換による売上ダウンもあります

ですから、営業職に「〇〇しなさい」と改善策を指示するなら、複数のお客様を訪問し、その原因を調査することは最低限必要なプロセスであるはずです。
しかし、そのような手順を踏んで、営業職に「〇〇しなさい」と具体的な指示を出している上司や管理職がどれほどいるでしょうか。
私はほとんどいないと思います。
 
だとするならば、スランプの原因をどうやって特定できるのでしょうか?
私はそれも難しいと思います。
多くの場合、上司や管理職が普段からその営業職に足りないと感じていることや不満に思っている事を改善策として指示しているだけではないでしょうか?
原因の特定できない状態での改善策・対策は無意味であり、またスランプという営業職のモチベーションの維持が難しい状態ではむしろ逆効果だと思います。
はっきり言ってしまえば、「やれることはやった」という自己満足に過ぎません。
 
ですから、スランプに陥った場合、私は以下のような流れを勧めます。

おおよその流れ


 
1⃣3か月間は放置(様子見期間)
2⃣4か月目以降から、ある程度広範囲にお客様に聞き取りを行い、数字が下がった原因を調査する。
⇒売上不振の原因だと特定できた点だけ改善する。
(特定できた点が一つもなかった場合は何も変える必要はない。)
 
※これらはあくまでスランプに陥った時の流れです。
理想はお客様と日常的にコミュニケーションを取り、お客様の不満や要望が大きくなる前(数字に表れる前に、しかも出来るだけ早い段階で)に対処することです
 
様子見期間はご自身が気にならないなら少し長めにとっても構いません。
 
ポイントは、原因が特定できない中での改善策はやってはいけない、この一点のみです。
『これが原因で売上が下がっている!』と断定できたことだけ改善するというスタンスは崩さないでください。
(そう考えると、お客様から直接いただいた具体的な要望(ご指摘やお叱りなども含めて)は、時に耳が痛いのも事実ですが、本当にありがたいことだと思った方がいいです。
自分たちの不備があればきちんと謝罪し、改善できることはすぐに改善し、難しい場合はその理由を正直に話しましょう。
お客様のほとんどは、要望を叶えられないこと自体に不満を覚えるのでなく、誠意や真剣さを感じられない対応に失望や怒りを感じるのではないでしょうか?
時折、お客様のご要望を叶えられる場合だけ説明に行き、叶えられない場合はその言いにくさから放置している営業職を見かけますが、非常に危険なことです。
要望を叶えられないこともあるということはお客様も十分理解しています。
要望が叶えられない場合にもその事実と理由をきちんと説明しに行くのも、立派な【要望への対応】です。
その時の対応にむしろ誠実さを感じ、要望が叶わなかったにも関わらず、その営業職への株が上がるということもしばしばあります。)

ここまでがスランプの対処法です。
 
ここから先は有料記事となります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ここから先は、
⑵  スランプとそうでない時の境界線、その考え方
⑶  スランプに陥らないためにどうすべきか
を解説します。
「もっとスランプについて深堀したい」「スランプを出来るだけ未然に防ぎたい」そんな方におススメの内容です。
興味のある方は是非ご購入下さいませ。
 

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