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Day199 脳を創る読書 なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか

【本について】
タイトル:脳を創る読書

著者:酒井邦嘉(言語脳科学専門の科学者)
出版社:実業之日本社(2011)

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・問題提起

・何でも機械化し、電子化できる時代。情報を受け取るだけでは「考える力」は退化してしまう

・活字を読むことがなくなってしまったら、人間の能力は衰えていく

・「紙の本」を読むことを手放すことで、大切な文化を失う可能性

・このままでは、人間的な創造力が身につかないまま大人になる子どもが増える(電子化のために子どもの教育を犠牲にしてはいけない)

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・誰のための本?

・デジタル化を生きるわたしたち
・不確実な未来を生きる子供たち、その子供たちの親
・教育に携わる人たち

・なぜ「本を読む」といいのか

なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか

■「読書」のメリットー紙の本を読むことのメリットー
読書と脳の関係:

1、「読む」プロセス

視神経を通じて脳の「視覚野」へ(通過点)

記憶との照合によって自動的に単語や文法要素が検索される

単語の意味や文法を分析するため「言語野」へ

・「読む」という行為により、さまざまな脳の部位を使う
(言語野はさらに4つの領域にわかれ働く)

・視覚野に情報を入力するだけではなく、足りない情報を想像力で補い、曖 昧なところを解決しながら、 「自分の言葉」に置き換えていく

・情報の欠落した部分を、読み手の想像力で補う

・目に見えない文の構造をリアルタイムで頭の中で作りながら読んでいる

・脳の想像力を十分に生かすためには、できるだけ少ない入力と 豊富な出力を心がけるといい(読書と会話を楽しむ)

2、音声や映像との比較:

文字は、他のメディアと比較して圧倒的に情報量が少な
( 少ないと、脳は想像する)
「想像力」=「自分の言葉で考える」(言語野を使う)

・音声や映像は、「受動」が可能だが、文字は「能動」を強いられる
・音声や映像は情報が多いぶん、想像力の余地を与えない

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3、想像

自分で考え、想像をめぐらせ、思索にふけることができる⇄検索
・想像力が働かないと記憶するのも難しい
・想像力が身につくと、相手の心を動かす文章が書けるようになる
文章や漫画から登場人物の心を汲み取るためには、 脳の想像力を使って人に対するモデルが必要

4、予測

人間は、外界を受容しながら脳の中にモデルを作り、外界の情報で確認しながら、 次の展開を予測して先読みする

5、読書量=言語能力

・曖昧なところを解決しながら自分のものにしていく過程で、常に言語化能力が鍛えられる
・読書量が少なければ、想像力で補おうとする機会が得られない(言語に反応するだけで終わる)

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6、文章を読む力がつく

■「言語」について

1、「言語」は、人間と動物の違い

・人間の言語は、単に単語が直列的に並んだものではなく、互いに結びついて文法的な構造を創る
・木構造のような二次元な構造こそが命( 生成文法理論)

2、 再帰性(言語学者:ノーム・チョムスキー)

・「再帰性」は脳が創造する力のもとになる
・人間がうみだすものには、言語に限らず、数学から工芸、文
 化、風習まで、いたるところに再起的構造が見られる

・「再帰性」は、人間の脳の中だけではなく、生物界にも広く
 見られる(フラクタル構造:全体を俯瞰しようと部分を拡大し  
 ようと、常に同じ構造をとる)

3、人間の心や想像力に支えられている

■コンピュータと人間
・コンピュータにないものは「知性」である
・・言語を操るためには、文法的構造と意味の認識のプロセスや
・・最低限の「想像力」が必要


・未だ、「アトム」はつくられない理由
・・言語と心の「からくり」が脳科学で解明されていない
・・人間のようなロボットを創るには、複雑な文法を扱える
 人工知能が必要(言語学、心理学、脳科学、生物学が必要)


■紙の本と電子書籍

どちらがよく、どちらが悪いということはなく、使い手の目的による

ー紙の本ー

・文字と紙の位置関係が常に一定なので、空間的な手がかりが得られる
・量的な感覚を得られる
・・視覚+触覚を使い、常に全体のどのあたりを読んでいるか把握しながら読める
・・量的な手がかりと記憶との関係(手がかりがあることで、記憶を呼び起こすことができる)
・交互にページが交代することで、読書にリズム感を与える
・所蔵する喜び
・質感を楽し無ことができる
・精読向き
・考える力が身につき、脳が創られる

ー電子書籍ー

・資源的節約になる
・多読向き


電子教科書について(メリット)

・学習機能向上(他のプログラムとリンクできる)*教育
・双方向学習支援プログラム
・電子化がすすむ高度情報社会への適応性

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【電子教育書の問題点と対処法】

考える前に調べてしまい、わかった気になってしまう

→電子教科書を使うようになったら、考えるための時間、 表現力を伸ばす時間をむしろ多く取らなくてはいけない

・脳を創る読書のポイント

我流の偏った読書
・食わず嫌いでは、「読む力」は鍛えられない
・自分が関心を持っているテーマの読書は、能動的(脳は先読み能力を生かして読めてしまう)
知的好奇心
・好奇心が読書の強い動機になる
・ 自然と感性や読む力が鍛えられるか

・響いたメッセージ

・考えるという行為をやめない限り、その能力を最大限に生かして文明の変化に対処できるだろう
・各個人の脳は、一生の中で読書などを通してさらに磨かれていく
・あえて便利な手段に頼らなければ、効率が犠牲になる代わりに、考える時間と考える余裕をもたらしてくれる
・蓄音機の音を実際に聴いてみると、実にリアルで温もりのある音なのである。数分間のSPレコードを聴くために、手間隙のかかる作業が必要。手間隙を惜しまずに耳を傾けて聴く音楽は、感動として長く記憶に残る。

・アクション

面倒くさいこと、手間のかかることを楽しむ

難解な本を大歓迎する

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