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【今日の本】


動物が幸せを感じるとき
新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド
テンプル・グランディン 著 NHK出版 2011年


動物が幸せに生きるために必要なものは何だろうか?
身体的に必要なものは人間の私たちも知っている。


本書が取り上げているのは、精神的な幸せについて。
動物が幸せに生きるためには、何が必要だろうか?


昨年、愛犬をなくした際に購入した自閉症の動物学者の本。
以前にも、雑誌ニュートンの記事で、動物保護に関する日本の意識レベルの低さについて触れられた記事がありました。海外と同じく、日本でも動物をペットとして飼う人は多い。けれど、「動物にとってのしあわせ」をどれだけ考えているだろうか?愛犬をなくしてから、「犬を飼う」ということにもっと、真摯に向き合わなければならないと感じるきっかけをくれた本。


❶[3セレクト]


①動物の幸せ

【動物が持つべき権利】
・飢えや渇きにさらされない権利
・不快な環境におかれない権利
・痛み、怪我、病気の苦しみにさらされない権利
・自然あ行動をする権利
・恐怖や苦痛にさらされない権利
(イギリスの科学者による家畜福利の諮問委員会ブランベル委員会があげたもの)


被食種は、天敵に見つかってしまいそうな広々とした場所にいるときに、恐怖を感じるようになっている。

例えば、メンドリには、卵をうむときに隠れる場所が必要で、飼い犬に刺激で楽しい生活をさせるためには、自然と広々とした場所を駆け回ることができるための代わりの行動をさせてやらなければいけない。
動物も人類も、子供を作らなければ、絶滅してしまう。


ところが、動物園には、生殖を行えない動物がたくさんいる。与えられた生活環境のどこかが間違っているために、自然な行動ができない。


②動物のしあわせを理解するには、脳について考えなければならない


動物の精神的な幸せについては、過去に研究がたくさん行われているが、飼育にたずさわる人々は研究の結果をうまく活用できていない。多くの場合、動物の行動に目をむけ、なるべく自然にふるまわせようとする。動物園の動物であれ、家畜であれ、ペットであれ、動物にとって恵まれた生活環境を作る最長の方法は、脳の基礎となる情動システムにもとづいて待遇を改善すること。明るくポジティブな情動を活発にし、暗くネガティブな情動を必要以上に活性化させないものが理想的。人間が動物の情動を正しく理解すれば、動物の問題行動はもっと少なくなる。


③4つの最も大切な情動システム

1、探索・・自分の身の回りを探検し、調べ、理解したいという基本的な衝動
2、怒り・・捕食者につかまって身動きできなくなった経験から進化したもの。
3、恐怖・・動物も人間も、身体的な脅威から精神的、社会的な脅威い至るまで、何らかの形で生存が脅かされるときに、恐怖を感じる。
4、パニック・・動物でも人間でも、赤ん坊はみな、母親の姿が見えなくなるとなく。母親がいなくなってひとりぼっちにされた赤ん坊は、気持ちがふさいで死ぬことすらある。


この4つを見れば、動物と人間にとって、どんな環境が好ましく、どんな環境が好ましくないかがわかる。


+1:犬を飼うこと


人間と犬は意識せずに、常に違いを訓練している。
犬は、人間と暮らすように進化している。犬はとても社交的なので、何時間もひとり人ぼっちでは楽しくない。檻のある庭は、犬にとっては悪影響。犬が自然でない暮らしをせざるを得ないという現実を、どうやって埋め合わせるか、考えてやらないといけない。犬はいつまでも子供の狼のようなもので、長時間の孤独に耐える能力は、狼よりずっと劣る。犬は、1日に少なくとも1時間はかまってやる必要がある。
仕事などで、長い時間、家をあけなければいけない生活ならば、犬は買うべきではない。


❷[エピソード] 飼育動物が常同行動をしているなら、動物は苦しんでいる。(*)


生まれた時から人間に飼育されている動物の暮らしを改善するためには、赤ん坊のときにも、大人になってからもずっと、環境エンリッチメントをはかる必要がある。
大人、ペットの犬と育ったトラは、大人になっても同じ環境がないと、孤独を感じる。逆に、見たこともない人間が現れるとびくびくする。例えそれが、子供であっても。
*常同行動・・何度も同じ行動を継続的に繰り返す


❸[今日からのアクション]


人生の後半には、ペットの終末期のケアに関わりたいと考えているので、もっと様々な研究について、調べたい。


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