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「不安をともなわない自信は、過信だ」

明日の言葉(その28)
いままで生きてきて、自分の刺激としたり糧としたりしてきた言葉があります。それを少しずつ紹介していきます。


まだ自信がないんです。

そうよく訴えられる。

まるである程度経験を積めば自信がもてるようになるかのように。
まるでそのことをもっともっとよく知れば何かしら自信がつくかのように。

そう考えている限り、自信がつくなんてことはないと思うよ。

まぁまぁ出来るようになればなるほど、惑い、戸惑い、わかんなくなったりするものだ。

そのことを知れば知るほど、奥の深さが見えてきて途方に暮れることなどしょっちゅうだ。


ずいぶん前に読んだ伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』という小説の中にこんな言葉がある。

不安をともなわない自信は、過信だ。


いや、実は、正確には

「それは過信でしょ。不安をともなわない自信は、偽物だ」

というセリフなのだけど(中盤あたりで琴美が河崎に言う)、長い間にボクの中で上のような言葉に置き換わった。


そう、不安をともなわない自信は、過信だ。

自信たっぷりに見える人も、本当にそれに精通しているのであれば、何かしら不安な要素に怯えているものだ。

なぜなら、そのことを知れば知るほど、そこにはまだ自分が知らない奥の院や落とし穴や別ルートがあることがわかってくるはずだから。

というか、情報が溢れ、正解がたくさんあるこの時代に、自信に溢れているとしたら何かを疑ったほうがいい。


だから、自信ができるまで待つことはないよ。

キミよりずっと多く経験値があるボクでも、不安と闘いながらそれをやっている。

もっと不安たっぷりな自分を見せてもいいよ。

わかっている人ほど、そこには優しいよ。

たぶんね。自信ないけど。



古めの喫茶店(ただし禁煙)で文章を書くのが好きです。いただいたサポートは美味しいコーヒー代に使わせていただき、ゆっくりと文章を練りたいと思います。ありがとうございます。