商店街

商店街でのひとこま

私の職場の仕事の一つとして、商店街の会計事務というものがある。地域のお祭りや行事の計画、会計というものもある。

お祭りや行事というのは、だいたいが市や自治会、観光協会、子供会、婦人会、青年部などいろいろな団体で結成された実行委員会なるものがあるのが通常だと思う。そしてその財源は市や観光協会などの補助金であったり、企業や自治会からの協賛金・寄付金であることが多いと思う。私はその雑務をやっているのです。

ある商店にイベントのポスターを配りにいったときのこと、奥様が涙目で怒りを押し殺した様子で私にこう言った。「祭りで使うサラシや足袋、てっきりほかの地元の商店で買っていたと思っていたら、安いからってネットで買っているそうじゃない。信じられない。地元のお祭りなのに地元の商店を使わないなんて・・・安ければいいというわけじゃないじゃない。もっと大事なものがあるでしょ」と。

そうなのです。わかるのです。気持ちは。私の担当の行事でなかったので即答はできなかったけれど、基本的に私たちは地元の商店を使うはずです、と答えた。調べると結局はもうひとつ別の商店で買っていた。けれどその奥様は、人づてに聞いたという過去の担当者がネットでものを買ったという情報を信じて疑わなかった。10年近く前のことなので、私は面倒でそれ以上は調べなかった。

わかるのです。気持ちは。でも、そもそも協賛金をくださる企業が少なくなってきたり、そもそもが協賛金が出せない・減額させてくれといった声も多く、昔ほどお祭りや行事に使えるお金が減ってきているのです。そして市や観光協会などの補助金も年々減ってきているのです。そうなるとどうしても出費を抑えるという考えに、安直になってしまうのです。それでも私たちはなるべくなら地元が潤う使い方をしようとしてはいます。

でも考えてほしい。商売って昔ながらのお付き合いだけでこれからも続けていけるものなのかどうかを。昔はそういうつながりで保てていた部分もあったかもしれない。なかなか昔ながらの考えは捨てられないと思う。今ほど工夫をしなくても物が売れていた時代を生きてきた人にとって、そのお店を使わなくなったこちらが悪者に見えるのかもしれない…。悲しいことかもしれない。

地元を使わないことによって地元のお店がつぶれていき、最終的に困るのは消費者です。最近は唯一のスーパーがなくなった地区もあります。本当に困るのですよね。わかります。消費者がより安いものを求めてネットや少し遠方の格安店にいく気持ちも、わかります。逆に、安ければいいというわけじゃないというのも、わかりますよ。

…私が思ったのは…商売をするからには、工夫をしてほしいということです。商売の工夫ができずとも、魅力的な何かがそこにあれば、それだけでもいいと思うのです。それと、やはりお金が厳しい中であっても地域のお祭りというのはこれからもずっと続いたほうがいいと思うのです。人と人とのつながりや交流は、時代が変わっても人の幸せの源のような気がします。

まぁ、でも、お祭りのやり方っていうのも、変えていかないといけないのだろうなぁ....

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