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新聞に掲載された短歌と俳句(2019年)

【新聞歌壇】

空つぽの
  まつ白なままの時にゐて
    ぽかんと過ごす子どもが消えた

新年の
  パブに集へばにぎはひて
    いつもの肴にいつものエール

公園の
  ベンチでごろりとする
    前に揃えて靴を脱ぐ行儀の子

しじみ飯
  朝から二膳しじみ汁
    これもおかわり宍道湖の幸

学食で
  天井見ながら一人メシ
    心は実験室に残して

しづかなる
  山の木立ちを吹きとほる
    風の切れ端水面をはしる

秋雨の
  いつしかやみてすみわたる
    朝の天に照れる白雲

浅蜊かと
  まがふ蜆の味噌汁を
    冷酒のあとに薦める主人


【新聞俳壇】

轟くは大型ヘリか竃猫

雲切れて春の日に立つ松江城

東風来たりビルの間を加速しつつ

ウクレレをぽろんとやって人は夏

苦瓜のいよいよ旨くなりにけり

風聴けば後の彼岸も過ぎにけり

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