弁護士 大城聡 satoru oshiro

弁護士。一般社団法人裁判員ネット代表。 福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SA…

弁護士 大城聡 satoru oshiro

弁護士。一般社団法人裁判員ネット代表。 福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)事務局長。築地市場移転問題弁護団事務局長。近著に『あなたが変える裁判員制度ー市民から見た司法参加の原罪(いま)』(同時代社)、『築地移転の謎 なぜ汚染地なのか』(花伝社)など。

最近の記事

外神田(秋葉原)の再開発を考える~税金と区民財産の使い方に関する疑問~

外神田(秋葉原)のまちづくり・再開発に関して、6月5日から19日まで千代田区によって「外神田一丁目南部地区」に関する都市計画案の意見募集が行われています。 区の都市計画案には、税金と区民財産の使い方に疑問があります。 1 少なくとも80億円以上の税金が投入される区の都市計画案に沿った事業計画概要では事業費は854億円とされています(千代田区「外神田一丁目南部地区のまちづくり説明会」資料24ページ)。 区の担当者は、「都心部における市街地再開発事業の補助の割合がだいたい1

    • 超高層ビルで”秋葉原らしさ”が失われる再開発~都市計画マスタープランに違反の疑い

      6月5日から6月19日まで秋葉原の外神田一丁目南部地区に関する都市計画案の意見募集が千代田区によって行われています。 区の都市計画案は、170メートルの超高層ビルの建築を中心とするものです。超高層化すれば床面積は大幅に増えます。しかし、その代わり、いまある道路に面した店の多くはなくなります。多くの路面店があり、市場(いちば)・バザールのような個性と活気があることが秋葉原らしさであり、秋葉原の魅力ではないでしょうか。 みなさんの考える”秋葉原らしさ”とは何でしょうか? 実は

      • 外神田(秋葉原)のまちづくり・再開発に関する3つの問題

        外神田(秋葉原)では170メートルの超高層ビルをつくる再開発計画が進められようとしています。2023年2月10日に都市計画法16条1項に基づく公聴会が行われました。公聴会の公述申込意見のうち7割近くが千代田区の示している都市計画素案に反対でした。 私は、この再開発には、次の3つの大きな問題があると考えています。 この公聴会では、私も公述人の1人に選ばれましたので、以下、千代田区ホームページの公聴会議事録から抜粋して紹介します。 弁護士の大城聡と申します。私は、すぐ隣の地

        • 神田警察通りの街路樹を守る住民訴訟 ~裁判期日と記者会見のお知らせ~

          この裁判は、神田警察通りの街路樹の伐採を止めるために提起された住民訴訟です。2つの住民訴訟が共同参加で一緒に審理されます。 「神田警察通り」のイチョウ並木伐採、工事費支出差し止め求め住民ら提訴 「住民意向聞かずに契約は違法」(2022年7月11日 東京新聞) 「伐採工事は違法、中止を」 千代田区の街路樹問題で住民ら提訴(2022年7月12日 朝日新聞) 神田警察通りイチョウ 伐採巡り住民提訴(2022年8月9日 東京新聞) 「虚偽答弁に基づく議決は無効」 街路樹伐採で反

        外神田(秋葉原)の再開発を考える~税金と区民財産の使い方に関する疑問~

          権力者による権力者のための国葬に反対する

          岸田首相は、8月31日の記者会見で、「民主主義の根幹たる国政選挙を6回にわたり勝ち抜き、国民の信任を得て、憲政史上最長の8年8か月にわたり重責を務められたこと」を安倍元首相の国葬を行うことを決めた第一の理由として挙げました。 国葬を決めた第一の理由が長く権力の座にいたことであるというのが、日増しに国葬に反対する声が大きくなる最大の原因ではないでしょうか。 「国政選挙を6回にわたり勝ち抜き」という表現は、政治性・党派性を強く帯びるもので、排他的なニュアンスを感じます。 明

          権力者による権力者のための国葬に反対する

          築地移転 巨大開発と裁判 問題点 オンライン報告集会のお知らせ

          築地から豊洲へ市場移転するために、東京都が汚染地を汚染のない高い価格で買ったことについて石原慎太郎元知事の責任を問う住民訴訟で、住民の訴えが最高裁で退けられました。この裁判の控訴審判決では、都の取得価格は本来の価格(正常価格)よりも169億円以上高いとしながらも違法ではないと判断しました。この判断は納税者である私たちの感覚とかけ離れたものですが、最高裁もこれに追従しました。 この最高裁の判断は、住民監査請求及び住民訴訟を形骸化させるもので、地方自治法及び地方財政法に反するだ

          築地移転 巨大開発と裁判 問題点 オンライン報告集会のお知らせ

          裁判員に選ばれる年齢「18歳以上」に法改正ーーーもっと知り、考える機会を

          裁判員に選ばれる年齢がこれまでの「20歳以上」から「18歳以上」になる法改正がなされました。最高裁判所のホームページに「裁判員の選任資格に関する法改正について」という記事が掲載されています。その記事では「裁判員に選ばれる年齢が、20歳以上から18歳以上になると聞きましたが、本当ですか」との質問に対して、「本当です」と答える形で、来年11月頃に発送される裁判員候補者名簿掲載通知は18歳、19歳にも届くことになり、2023年1月1日から18歳、19歳も裁判員に選ばれる可能性がある

          裁判員に選ばれる年齢「18歳以上」に法改正ーーーもっと知り、考える機会を

          世界中、すべての権利は、闘いとられたものである

          今年も昭和薬科大学での憲法入門の講義が始まりました。 コロナ禍のためオンライン講義と対面講義を交互に行う予定です。 毎年、最初の講義で紹介する言葉があります。 世界中、すべての権利は、闘いとられたものである。 これはイェーリング『権利のための闘争』(岩波文庫)に書かれている言葉です。 テーミスという正義の女神をご存知でしょうか。 テーミスは法を司る女神でもあります。 日本の最高裁判所にもテーミス像が置かれています。 実は、法律家を目指して勉強していた山梨学院法科大学

          世界中、すべての権利は、闘いとられたものである

          言わねばならないこと

          80年前の9月10日、桐生悠々が亡くなりました。 桐生悠々は、信濃毎日新聞主筆として1933年に社説「関東防空大演習を嗤う」を記し、軍関係者による不買運動等の激しい反発を受けて退社、その後、個人で『他山の石』を発行して軍部の批判を続け、発禁など弾圧を受けた言論人です。 彼が亡くなった約3ヶ月後、1941年12月8日に太平洋戦争が始まります。 戦前の軍国主義の空気に抗した言論人として、石橋湛山とともに私が尊敬している人物です。 東京新聞の社説「新聞の存在理由を問う 桐生

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          都知事には「臨時の医療施設」をつくる法的義務がある

          1 「野戦病院」が必要日本医師会の中川俊男会長は、8月18日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が逼迫しているとして、大規模イベント会場や体育館を利用した臨時の医療施設を設置すべきだとの認識を示しました。いわゆる「野戦病院」の設置を提言したものとされています。(2021年8月18日付 毎日新聞「日医会長が「野戦病院」設置提言 中等症患者の受け入れ目的」)。 関西経済連合会は、8月18日、体育館などを使った臨時の医療施設「野戦病院」を設置すべきだという提言書を

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