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初学者はガンガン質問していいし、回答者は惜しみなくガンガン回答すべき理由

たまたま最近、自分の身近なところで、

こんな初歩的な質問をしていいのか迷って、質問できない

といったことを言っている人を何人かみかけた。初めてのチーム開発の現場であったり、プログラミングの初学者の人だったりが、こういったことを言っていた。この悩みを抱えている人たちが質問できない理由を聞いてみると、「相手の時間を取らせてしまうので申し訳ない」ということが多い。更にこの申し訳なさというのは、「回答してくれる人は何も得られるものが無い」と思っている。

こういう悩みを相談されたときの自分の回答は、「初歩的な質問をしていいし、なんなら回答する人にとっても良いことがあるから積極的にしてほしい」という話をしている。ここでは、自分が考える「回答する人にとってのメリット」について書いてみる。

仕事が楽になる

例えば、チーム内にソフトウェア開発の初学者がいるとする。彼または彼女は未経験ゆえに知らないことがたくさんある。それでも仕事をしなければいけない。

そこで質問をできない、または回答がもらえなかったらどうなるだろうか。ずっと疑問に思ったまま、仕事をすることになる。自身で調べたり、学んだりして解決することもできる。しかし、時間がかかるし、「本当にこれでいいのだろうか」という不安が残り、それが解消されるにも時間がかかる。この不安が解消されるのは、実際に仕事をこなして、そこに活かせた時になると思う。チーム開発では大抵はレビューという工程で他のメンバーによる確認が入るので、そのタイミングで不安が解消される。場合によっては、誤解してしまったことによって、それまで独学で学んだ時間が無駄になったと感じてしまうこともあるだろう(無駄ではないのだけど)。というように回答しないことによるデメリットが多きすぎると思っている。

回答することで、デメリットが無くなるどころか、回答する側が持っていた仕事が楽になっていく。回答を繰り返していくうちに、初学者も知識を蓄えていって、徐々に回答する側と同じことが出来ていくようになる。仕事をお願いしても勘違いなくこなしてくれるようになる。勘違いしたまま仕事をされてしまったときの後から回収するのは大変なので、その不安が無くなる。なので、聞かれたことに関してはどんどん回答すべきだと思う。聞く側は「無駄な時間を取らせてしまうのでは」という申し訳なさはあると思う。でも、本当に無駄かどうかは回答する側が判断することなので、聞いてみるしかない。回答する側は時間が無ければ、「後で応えるね」とか「あの人も知っているよ」とかすればいいし、たいていはそういう対応をしてくれるはずだ(そうでなければ、その人は聞く相手として間違っていた。次からは別の人に聞こう!)。

最新の初学者の視点

プログラミングスクールのメンターをしていて、色々と質問を受ける中で、こちらが学ぶことが多いと感じている。自分が初学者だったころというのは、もう四半世紀前になるので(え?嘘でしょ、ちょっと時間頂戴…あ、ほんとでした…)、その当時と現在とで環境が全く違う。コンピューターの性能も格段に上がったし、誰でもインターネットに接続できるし、コンテンツも雑誌や書籍だけでなくBlogや技術系の質問サイト、さらに動画コンテンツも豊富だし、英語で話していようと自動翻訳でだいたい言っていることはわかるし、倍速再生して時間を節約もできる。そういった彼ら彼女らの学んでいる環境について学ぶことも、回答する側としては大いに学びになっている。自分が何かを学ぶときの方法としての選択肢の幅が広がる。一緒に同じことを学ぶことで、同じ視点に立ち、自分ならこう考えるといったことを一緒に話すこともできる。

回答する側の課題が見つけられる

学ぶべきことで変わらない部分もあるが、それが現在の初学者からは少し見えづらくなっているものもあると思っている。特に、コンピューターアーキテクチャに関する部分は気づきづらいと感じている。それなりにお金を出して買ってきたラップトップですら数GBのメモリを積んでいるし、CPUだってコア数が2以上は当たり前のようになっている。ハードディスクだって、256GBくらいは当たり前に持っているのが多い。なので、プログラムを書く時にメモリを気にすることや、実行時間を減らすために計算量を考慮したりとか、ディスクを消費しすぎないように出力ファイルをどうするかといったことに気づきづらい。そういった問題はすべてでは無いにしろ、実際の開発の現場に現れる。これは自分の力量不足かもしれないが、これらの問題について解説はできるが、これらの問題をどう体験してもらうかが提供できていない。と、こういった回答する側にとっても課題が浮かび上がったりする(回答できていないので質問した方には申し訳ないのだが)。

おわりに: 持ってる知識は共有していこう

個人的な考えではあるが、ガンガン質問していいし、ガンガン回答すべきだと思う理由を書いた。物質的なものの場合、分け渡した側は持ち分が減ってしまう。けれど、知識の場合、渡した側はその知識が無くなるわけではない。なので、何ら損は無い。そして、知識を渡して、初学者の人とコミュニケーションをしていくことで、得られるものがある。そういう気持ちで、初学者に対応していくことで、その周辺から仕事が進めやすく、より学びが得られる良い環境を作っていけるのではないでしょうか。


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