見出し画像

#149 読書録 砂の女の世界観がわからず、最後の解説を読んで深淵に気づけた話

こんにちは!けーたです。

今日は久々に読書メモを残しておきたいと思います。今日の取り上げる本は砂の女(安部公房著)です。この本との出会いは読書メンターからのおススメ。いつも自分の読書レベルにあった面白い本を教えてくれるのです。

サービスとしてお金を取れるぐらい素晴らしいレコメンド機能です笑

今回も、自分の読書生活の中では出会う事が一生なかった!!と自信をもって言えるぐらいとんでもない世界観を見せつけられました。

今年は特に自分で手に取る事がない世界観に触れてみるという事で、メンターやVOICYなどで取り上げられる本はとりあえず読む!ということにしていいるのですが、本当に一期一会。めちゃくちゃ世界が広がっています。

読書メンターを探してみるっていうのも人生を豊かにするのでおススメです

という事で改めて、今日とりあげる本はこちら

https://amzn.to/4cdjNVT


この本を読んでの全体感

圧倒的に意味が分からない笑 これまでに出逢ったことのない世界観に度肝を抜かれました。

常に主人公の視線とそれを俯瞰的に眺めている視点の行き来が気にならないいような自然な感じで砂の世界に閉じ込められている世界観がリアルに切り取られているのです。

そして、あまりにも精緻に描写される人間の渇きへの苦しみが、自分が経験したことのない世界なのに、こちらにその辛さがダイレクトに伝わってきます。

そして、自分としての感想は、その拷問の様な世界観にだんだん慣れてきて、抵抗を感じなくなっていく人間の悲哀を感じて、なんとも言えない気持ちが残ったというのが全体感です。

人間の悲しい順応性と全く別軸で男性としての拘り、女性的としての拘りのコントラストがくっきりと描き出されていて価値観の置き所についても考えられる作品です。

普段ビジネス書などを多めに読む機会のある方に、まったく違う世界観にいくという経験ができるのでおススメできる作品です

気になったフレーズ達

その後ろ姿を虫けらのように思う

これは、人の価値観の違いが如実に表れている表現だなと思ってすごく自分の心に刺さりました。

ある人にとっては、安定した日常でありこれが毎日続いてほしいと願う一方、これまでの自分の価値観とそぐわない、その安定した日常を虫けらのように思った。

そんな描写であり、どっちが正解でもないが、自分がどうありたいかとう根源的な問いだなと。

そして、思うのは自由とはいえ、言葉選びについても、頭のなかの表現方法にも気を付けようと思いました。虫けらって言葉が嫌なのですね。自分は。

ハッキリと敵と味方に塗り分けられていた作戦地図があいまいに

ここが、本の最後のあたりの解説も含めて、すごく刺さった表現だなと。もともと自分が連れてこられた現状にものすごい抵抗感を覚えて、それこそ死ぬ気で戦っていた。

ただし、だんだんその状況にもなれ、自分が順応していき、自分も中の人になってくる。最終的には当初死ぬほど欲していた出口のドアが完全に空いているにも関わらず、いつでもでられるならしばらくここにいよう。と考えてしまう人間の順応性になんだかモヤモヤさせられました。

自分としては強制労働により、思考が変えられてしまったという想いがつよくそれを自分で受け入れましたと考えてしまう世界観が怖いのだなと思いました。人間の弱さと壊そうとする人の怖さのコントラストがこのフレーズから読めたのでした。

逃げるてだては、またその翌日にでも考えればいい事

まさに、最後にあったこの一文は人間は承認欲求の奴隷なのか?と思い切り誤読をしてみました。

内容は触れないようにしているので、ちょっと伝わりづらいのですが、同じ経験をもった人にしか、自分の発見は伝わらない。

そうすると、自分の発見を聞いてもらいたいという自己承認欲求が、そもそもこんな砂の世界に連れてこられたから、発見をするという体験をしたのにその世界から逃げたい欲求を抑えてしまう。

そんな人間の不思議な一面(本質か?)を切り取っているフレーズなので心に残りました。不思議ですね。否定できない感じが。

まとめ

正直、解説がはじまる1ページ前まで読み切っても本当に何をこの本は伝えたかったのか?正直わかりませんでした。

ただし、わかろうとせずに作者が生み出したこのとんでもない世界観を堪能し、そこの映し出される人間模様を眺めるだけでも、本当にいろいろなことを考えさせられる余白がたっぷりの本でした。

どのような人生経験をするとこのような文学作品を生み出すのか?まったく想像もつきません。

普段、シンプルな世界観に没頭して頭の回転を意識的に止めることできない人にはこの不思議な世界観の本はおススメです。

だれかの選書の参考になれば幸いです。

ではでは


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?