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自分の町にアートディレクターズクラブ (ADC) があるということ

こんにちは!
tojoedesign パーソナルグラフィックデザイナーの城です。

5/13(土)に、一般社団法人 岩手アートディレクターズクラブ(岩手ADC)によるデザインの審査会「岩手ADCコンペティション&アワード2022」が開催されました。私も出品者&スタッフとして参加し、さまざまなデザイナーの作品に触れ、多くの刺激と学びを得ることができました。改めて「デザイン」の面白さや可能性を実感し、自身の活動に活かしたい次第です。

ところで、みなさんはこの「アートディレクターズクラブ」についてご存知でしょうか?
デザイナーとして活動されている方はご存知かと思いますが、そうではない方にとってはあまり知られていないのではないでしょうか。

今回は、「アートディレクターズクラブ」についての概要と、それがあることによる町への影響などについてお話していきます!

1 アートディレクターズクラブ(ADC)とは

アートディレクターズクラブ(ADC)は日本国内の様々な地域に存在します。私が所属している岩手ADCの他にも、東京、札幌、長野、広島などなど。北の端から南の端まで様々な地域で発足している有志団体です。

では、ADCとはどのような団体なのか。岩手ADC公式サイトのテキストを引用すると、以下のとおりです。

[クラブの概要]
クリエイターが個人の資格で参加・運営する非営利の会員組織です。
クリエイター自身の自己啓発や意識向上、レベルアップのために、互いに切磋琢磨し、刺激を与えあう機会や場を創出します。
あくまで「クリエイターとしてのクラブ活動」であることが他の業界団体や職能団体との違いであり、実利的な会員特典や福利厚生制度、また利益誘導型政治的アプローチなどの機能は持ちません。

岩手ADC HPより

端的に言えば「クリエイターの課外活動」です。通常、デザインの業務内で生まれるつながりはお客様や発注業者がほとんどですが、ADCの存在によりクリエイター間のつながりが生まれます。それにより、知り合いのクリエイターが制作物を発表した時に「あの人、今度はこんなものを作ったのか」と意識し、モチベーションの向上に繋がったりしています。

また、主な活動としては以下のとおりです
(1)年1回の作品公開審査と受賞イベントの開催
(2)年鑑の発行
(3)サイトの運営
(4)クリエイターのネットワーク形成
(5)企業とのマッチング事業、セミナー開催など

5/13(土)に行われた審査会は、上記の(1)にあたります。このように、時には仲間として活動を共にしたり、ライバルとして競ったりする、学生時代における部活動のような感じで動いています。


2 ADCがあることによる町へのメリット

町にADCがあることのメリットは、「町が面白くなる」ことです。

その要因は大きく分けて3つ。
[1]保守的な表現方法からの脱却
[2]町を構成するファクターそれぞれに色がつく
[3]『創り出すこと』への意欲が高まる
それぞれについてお話していきます。

[1]保守的な表現方法からの脱却

スーパーのチラシといえばこれ、教室の告知ツールといえばこれ、といったように、「業界ごとのありがちな表現」ってありますよね。業界ごとに伝える対象や求められるテンション感が似ているなどの理由で、表現が似てくるのはある意味必然です。

しかしそれが続くと「他と違う表現をするのが怖い」という思考になり、「過去に使われている表現」だけが選択肢になります。
私の主観ですが、地域の伝統行事のポスターはそれが顕著で、どの年のポスターであっても表現が似ていることが多いです。過去3年間のポスターの違いをはっきり認識できる事は少ないのではないでしょうか。結果として、「その伝統行事自体の独自性が伝わる表現」よりも「伝統行事ポスターとして無難な表現」に着地しているように思います。

しかしADCがあることで、その地域のデザイナーの表現の振れ幅が増え、洗練されていきます。結果として、デザイナーでない方にとっても様々な表現のポスターを街で目にすることになり、「○○といえばこの表現」という固定概念が薄れ、保守的な表現方法から脱却することができます。

[2]町を構成するファクターそれぞれに色がつく

1つ目の「保守的な表現方法からの脱却」が出来れば、伝えたい事柄の「色」が見えるようになります。

例えば、様々なカフェのチラシを町で見かけたとします。それぞれが「カフェとしてありがちな表現のチラシ」であれば、受け手にとっては「この町はカフェが多いんだなあ」という感想に留まります。しかし、それぞれのチラシで「カフェごとの特徴の違い」が明確に現れていれば、「こんなカフェもあればあんなカフェもあり、面白い町だなあ」という感想になります。

町を構成するファクターそれぞれに色がつき、その集合体として見た町はカラフルになります。外から見ても「面白そうな町」として認識され、わざわざ訪れたい理由になり得ます。

[3]『創り出すこと』への意欲が高まる

町のファクターがそれぞれの方向に色付けば、新たに活動を始めたい人も「自身の色を発信すること」への敷居が低くなります。

そうなれば、町全体に「創造性を発揮することへの意欲」や、「それを受け入れる空気感」が広がります。そういった町の住民は、自分の住む街に誇りを持っています。

これらはあくまで私の主観に過ぎませんが、岩手ADCでの活動を3年間続ける中で目の当たりにした出来事です。


3 デザイナーではない方へ ADCを楽しむ方法おすすめ

最後に、デザイナーではない方に向けて、ADCを楽しむおすすめの方法についてお話します。

ずばり「年1回の作品公開審査(ADCコンペティション&アワード)を見に行ってみる」です。

作品公開審査は、その地域のデザイナーが直近1年間で制作&発表した作品をカテゴリ別に展示し、日本を代表するトップデザイナーによる審査を経て優秀作品を決める、というものです。
会場に様々なポスター、チラシ、ロゴ、ウェブサイトなどがずらりと並ぶ様は圧巻ですし、暮らしの中で見かけたことのあるデザインと偶然出会ったりするかもしれません。その中から優秀作品が決まる現場に立ち会い、あなたご自身が「良い」と思う作品と、トップデザイナーが選ぶ作品を照らし合わせ、目線の違いをあれこれ考えるのが、私おすすめの楽しみ方です。

また、審査会で展示しているチラシやポスターは実際に町で使われたものであるため、町のことを知るきっかけにもなります。「このロゴ可愛いな」という出会いから、お気に入りのお店の発掘に繋がるかもしれません。
アートの展示で作品の世界観に触れるのとは、また違う楽しさがありますよ。

岩手での審査会はつい先日行われたばかりなので次回は約一年先になりますが、各種SNSにて審査会の様子を公開しているので、ぜひご覧になって見てください。受賞作品の一覧は、岩手ADCのFacebookページにて紹介されています。

【岩手ADCコンペティション&アワード2022🏆 終了!】 今回で7回目を迎えた「岩手アートディレクターズクラブ コンペティション&...

Posted by 岩手アートディレクターズクラブ on Saturday, May 13, 2023

岩手県外に住む方も、ぜひ「○○県 ADC」といった感じでお住まいの県やその周囲でADCの存在を調べてみて、お近くで開催されている審査会に足を運んでみてくださいね!

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というわけで、今回はADCについてお話ししました。町を面白くする可能性を秘めているADCですが、その鍵を握るのはデザイナーだけではなく、デザイナーの手から生み出されたものを受けた皆さんが何を感じて行動するか、ということまでがセットです。共に暮らしの中のデザインに触れ、町をクリエイティブな空気で満たしてましょう!

tojoedesign(トジョーデザイン)
城智史

TEL:090-6669-4820
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