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天の川(小説)

天の川(小説)

コツコツコツ。何かを叩くような音でタマキは目が覚めた。その音はまだ半分眠りの中にいた時にも聞こえていた気がする。何かがどうやら窓ガラスを叩いているようだ。
中学生の男子にしては簡素な部屋には初冬の柔らかな朝日が差し込んでいて、すでに日が昇っていることがタマキには分かった。昨晩から冷え込んでいる。タマキは音の正体を確認したい気持ちと、まだ布団の中にいたい気持ちを天秤にかけていた。意を決して布団から起

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