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鬼滅の刃と備後絣

鬼滅の刃の登場人物、竈禰豆子が来ている着物の柄を麻の葉柄と言います。この柄の絣は実際にあります。広島県の福山市を中心とする備後地方は、備後絣の産地。最盛期には全国に出荷していました。「備後絣」「久留米絣」「伊予絣」が日本三大絣と呼ばれます。

絣のルーツをたどると興味深く、日本に伝わって来た道は海の向こうインドネシアから琉球、薩摩を通って、本土に普及しました。北前船が大きな役割を果たしたのでしょう。絣は英語ではイカットと呼びます。絹の道シルクロードは有名ですが、イカットが伝わって来た海の絣ロードも国際的な広がりを持ちます。琉球の交易は遠くインドネシアにまで及んだ記録があるようですから、その影響の大きさに驚きます。

オランダ東インド会社時代、絣の技術は、インドネシアからオランダ、あるいは南ヨーロッパなどにも広がったので、地球を一跨ぎするようなスケールの大きさの物語になります。もともとインドネシアでは宗教的儀礼に使われていたのですが、それがオランダから入植したキリスト教徒の目にもとまり、教会で用いられるものにも活用されていくようになるわけです。

インドネシアからさらに遡るなら、インドのアジャンタの石窟寺院に矢絣風の腰巻をつけた人物が描かれており、7世紀から8世紀のインドが発信源ではないかとも言われています。

いずれにせよ、広島県の備後地方は絣文化で世界と繋がっているとも言えそうです。これも瀬戸内海の恩恵でしょうか。


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