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EDGARデータと連携する、米国株四半期株価・業績チャートアプリ「TenQ.cc」を開発しました。米国会社四季報や株探「米国株版」との違いを紹介します。【米国株長期投資】

今回は、私が開発した、米国株四半期株価・業績チャートアプリ「TenQ.cc」について紹介したいと思います。

位置づけとしては、米国会社四季報(東洋経済新報社)のオンライン版、あるいは株探USの類似アプリとなりますが、それぞれの違いについて、以下にまとめてみたいと思います。
今回の記事を見ていただくことで、「TenQ.cc」について、より理解していただけると思っています。

米国会社四季報との比較。

「TenQ.cc」には、米国会社四季報にある、企業概要のような定性情報や、予想PER等の見込み情報の掲載はありません。一方で過去5年にわたる、四半期決算情報、配当情報等が表形式で確認できます。(米国会社四季報の四半期決算情報は過去1年分です)

 また、株価チャートも米国会社四季報が株価と取引ボリュームのみとなっているのに対し、「TenQ.cc」のチャートは、株価と企業業績に加え、コロナショック等の社会事象が同じチャートで一覧確認できるのが特徴です。

掲載銘柄数は、米国会社四季報は約700社あり、「TenQ.cc」の500社弱よりも多いです。おすすめとしては、米国会社四季報を購入し、気になった銘柄があったら、「TenQ.cc」のチャートも合わせて確認するとよいと思います。(逆のパターンも可)

株探「米国株版」との比較

株探「米国株版」のチャートは、期間の設定(日、週、月、年)、テクニカル指標の設定(移動平均、ボリンジャーバンド等)の設定、および銘柄比較設定機能があります。

「TenQ.cc」には、このような期間設定や、テクニカル指標の設定機能はありません。株価は月次、企業業績は四半期毎の情報をチャート上に表現しています。「TenQ.cc」は、テクニカルよりもファンダメンタルのトレンド分析を重視する投資家向けに設計されています。

 決算情報については、どちらも、通期決算、四半期決算ごとのBS,PL,CFSの主要科目について一覧表で確認できます。ただし、株探「米国株版」の場合は、過去古いデータを表示する為にプレミアム会員登録が必要な場合があります。表示されている科目については、株探「米国株版」の方が少し多いです。

「TenQ.cc」では、テクニカル分析ができないと思った方は、TradingViewとの併用をおすすめします。「TenQ.cc」でざっくり銘柄をスクリーニングして、これはとおもった銘柄の詳細チェックを、TradingViewで行うステップです。ちなみに、別の記事で、TradingView上で、株価と四半期業績を重ね合わせ表示できる、スクリプトを紹介していますのでご興味のある方はぜひご覧ください。

決算データソース(EDGAR)

米国企業の決算情報はSECのEDGARサイトに集約されています。「TenQ.cc」のシステム的には、EDGARから入手したデータをPythonで加工して、チャートや表形式で表示しています。
 ちなみに、データ加工というのは、科目の変換や株式分割、Ticker変更対応、第四単独四半期計算処理(第四単独四半期の数値は開示されていないので、年間決算から第三四半期累計値を差し引きする処理)等の処理を行っています。

 株価データの取得はAPI連携を一度設定すればほぼ自動的に取得できるので、EDGARデータ連携ほど、開発は大変ではありませんでした。現在はYahooUSの株価APIを使用していますが、今後変更するかもしれません。

株価・四半期業績チャートエリア

株価と業績を重ね合わせてチャート表示するアイデアは、はっしゃんさんの理論株価チャートを参考にさせていただきました。このチャートは株価に、はっしゃんさん独自に計算した、企業の資産価値と事業価値を重ね合わせて表示しています。

はっしゃんさんは日本の成長株投資で、3億円稼いだ実績をお持ちの方(*1)ですので、この独自の指標が価値をもちますが、私はそこまでの実績はありませんので、単純にBPSにPER15倍を加えたラインをチャートにプロットしています。

株価・四半期業績チャートエリア

市場平均のPERは経済状況により変換しますが、このラインと株価が重なっていれば、おおむね全米株式全体の平均的なバリュエーションになり、投資判断のわかりやすい指標になると思います。

営業キャッシュフローチャートエリア

この株価・四半期業績チャートの下に、キャッシュフローと純利益を比較した棒グラフのチャートがあります。こちらの設計意図や、チャートの見方については、別の記事で紹介しています。

営業キャッシュフローチャートエリア


会員機能

会員登録すると、お気に入り銘柄のブックマーク機能、株価メモ機能に加え、独自のマーカーを登録できる機能があります。

このマーカー機能ですが、

標準では、システムの規定値が表示されます。
現時点では、
2018年12月のクリスマス暴落
2020年3月のコロナショック
2022年3月の利上げ開始
の3つが表示されます。

このマーカー表示を踏まえて各銘柄のチャートをみると、これら事象に対して影響をうけ、株価の変動が激しい銘柄と、あまり関係なく安定している銘柄の差異が浮き彫りとなります。

左がNVIDIA、右がユナイテッドヘルス

また、独自のマーカーを登録することで、自分なりの視点を加えた株価分析を行うことができます。また、引用を明記(例:Chart by Tenq.cc)していただければ、皆様の株価解説のブログ記事等への掲載もOKです。

独自のマーカーを登録して、株価分析に役立てた記事例

さらに、会員専用機能としてTickerPaging機能をご用意しています。これは、紙の四季報をパラパラとページをめくって銘柄探しをするのと同じような感覚で銘柄探しする為の機能です。

もし、よさそうな銘柄を見つけたら、ブックマークやメモを登録することができ、投資銘柄発掘に役立てることができます。

多言語対応

この度、アプリの多言語対応を行い、英語版をリリースしました。

英語版TenQ.cc

何かと小難しい数字や比率分析が中心のファンダメンタル分析をより簡単に、より直感的にできることを目指して開発を行っています。ウォーレンバフェットのように、業績や企業価値を踏まえた株式長期投資を行う皆様の支援をアプリ開発を通じて行っていきたいと考えています。よろしくお願いいたします。

*1)はっしゃんさん書籍 リンク


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