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ラーメンの値段を考えてみよう

ラーメン屋を始めてからずーっと思っていることを先日つぶやいた。
想定以上の反響があり驚いた。
というよりも、今までおざなりにされていた、いや目を背けられていた事実の蓋がうっかり開いてしまったという感じかもしれない。

つぶやきの内容はこれだ。

ラーメン業界に入って25年。
ラーメンの味作りをして18年くらいになる。
多くのラーメン職人が入れ替わる業界の根底にあるものはなんだろう?

それは自分の究極の一杯を求めた結果、たくさんのお客様に支持されること。行列店になることを夢見て日々奮闘している。

ラーメンとはそれほどに魅力に溢れている。

ラーメン作りといっても実に様々な調理法がある。
簡単なものもあれば、すごく時間と手間がかかるものまで幅広い。
特に濃厚豚骨系のスープを業務用スープに頼らず一から仕込みをしている様なお店では売れれば売れるほどそれに比例して仕込み時間がかかり、しっかり体の負担に跳ね返ってくる。
便利な調理器具などの普及でこの問題は解決されつつあるが、それでも寸胴をかき混ぜて焦がさないように火を守り続けているお店は今も少なくない。

原価をかけるか?
調理に手間をかけるか?
立地で差をつけるか?
サービスと雰囲気か?

どれも一長一短があり、結局はやりたいことをやり続けることしかないのだけど。

どれを追求しても必ず売れるという保証はない。
しかし、それがたまらなく面白い。

つぶやきの内容に戻る。
それだけいろんな手間とお金をかけて作ったラーメンが、1杯700円では限界があるという事実です。

もうどれをやってもですね。700円で美味しいの作るのって出来ますけが、ふーんって感じの一杯にしかならないんですよね。

飲食=ブラック企業と言われ続けてますが、そらそうですよね。

多くの方々が食事をする時間は、お昼11-14時、夜18-21時が基本です。アイドルタイムと言われる、14-18時は暇なんです。
なので、そこで仕込みをするわけですけど、美味しいものを出すとすると直前に調理しなくては美味くならない。それゆえ、昼の営業分は朝に仕込み、夜分はアイドルタイムに仕込む。
間に休憩を取り片付けまでやると労働時間は8-22時になっちゃうわけです。

「では夜営業はやめようか?」とするとどうなる?

収益悪化です。
夜営業をやらないだけでどれだけ苦しくなるか…

労働時間を9時間(実働8時間)にしようとすると2交代になります。
そうなるとその分の人件費を稼がなくてはいけない。
とはいえ今の日本は飲食店の数が多過ぎて過当競争です。

客数が上がることはまーまーないわけです。普通にはですね。
ではどうしたらいいかというと
「単価を上げるしかない」という結論になります。

単価を上げるって決めると、意外に出来ることが増えてきます。

①急いで作らなくていい。回転を求めない。
②回転を求めないから、人は少なくてもいい。また増やしてもいい。
③ラーメンの幅が広がる。


仮にラーメン1杯700円から1杯1,200円にしたとしますね。
値段は170%増。

1杯700円✖️50人=35,000円
1杯1,200円✖️30=36,000円
−20人でも同じ売上に。

1杯700円✖️50人=35,000円
1杯1200円✖️50=60,000円
もし同じ客数であれば、実に15,000円も売上が違う。

数百円の単価が違うだけでこれだけ変わります。

価値創造とか言われていますけど、ほんと創造していかんと首が回らないようになってしまいます。

今後試したいこととして、調理・接客などの営業主体の人と掃除・メンテナンスの人を分けて運営してみる。
これは営業のプロと清掃のプロはすでに分けていいレベルにあると言うことです。そう、営業もやって掃除もやってなんてそんなできる人普通にはおらんですよ。

より専門性が増している時代ですから、どちらも専門化していかねばならない。

アメリカや海外がいいといは思いません。
アメリカ人は仕込みや片付け、洗い物などほんとしません。完全に裏方は裏の仕事と思っています。(というか海外そんなんばっかりやん)
でも見方を変えると間違っているとも言えず。確かにお客様の満足を考えてどう自分が立ち回るといいのか?!を分かっているといえます。

日本人的にそれはちょっと楽しすぎだろ?と短絡的に見てしまうけれど、それは価値観の違いでしかない。もっと客観的に相対的に物事を考える必要がある。

店主として、経営者として、本音で言えば思い切って値上げしたい!
って書くのはタダなんで言うてみました。
でも値上げしてても満足してもらえる、商品や立地、サービスが提供出来るるんやったらアリですよね。

ここの価値創造ができるかが、私の仕事です。

真面目っぽい内容になりましたが、要はおいしいラーメンをこれからも作り続けていくってことです!そしてたまにはその裏側のことも考えていただければ幸いです。

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