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「キャッチコピーを書いてください。予算は○円です」

「キャッチコピーを書いてください。予算は○円です」

メールが届いた。
そこには「弊社のキャッチコピーを書いていただけませんか?予算は○円です」と書かれていた。

はあ? と思った。
その時わたしは、学習塾を経営していてキャッチコピーを書く仕事はしていなかった。もちろん告知などは一切していない。文字通り、はあ? だった。しかも、記載された金額は想像していたよりも高額である。なにかの間違いだろう。しかし、一応返信だけはしておこうか。

「お問い合わせをありがとうございます。現在、キャッチコピーの制作は承っておりません。よろしくご確認ください」

そんなことを書いた。ほどなくして社長本人から返信がきた。そこには、私のメルマガを読んだということ。そして現在の会社の状況と、次のステップに進むために「佐藤さんに、コピーを書いてほしい」と詳細な説明が書かれていた。行間から溢れるばかりの熱量が伝わってきた。

まだ状況は飲み込めていないけれど、それならまずはお話しを聞かせて下さい。私は60%の好奇心と40%の不安を感じながら、電話で詳細を伺うことにした。

そして一時間後。気がつくと仕事を受けてしまっていた。あれやこれやと勢いに流されつつ引き受けていた。納期は2週間後。受けてしまってから、とんでもないプレッシャーを感じた。ほんとうに、できるのかオレ!?

私の書いたコピーが会社のサイトやパンフレットに掲載される。重責だ。もしとんちんかんなものを書いて、とんでもない結果になったらどうする? 80%の不安と20%の好奇心。いや正直に言おう300%不安だ。なにしろ、お金をいただいてコピーを書くのは初めてなのだ。

しかし、やるしかない。
才能のない自分は、数をこなすしかない。
いただいた資料を繰り返し読みながら、大学ノートにコピーを書き続ける。そこからいくつかピックアップし、印刷したものを壁に貼って眺めてみる。なにか弱い。もう一度情報を集めて、ノートに書いて、プリントして……。

あれから18年の時間が過ぎた。
気がつくと、北海道から沖縄まで、文字通り日本全国から依頼を受け、書いたり話したり、偉そうにアドバイスをしたりした。え? 18年。あれから18年も過ぎたなんて、なんだかうそみたいだ。

いきおいだけだったけれど、なにも自信なんてなかったけれど、あの時「一歩」を踏み出してよかった、と思う。

声がかかる、ということは「キミならできる」と思われているわけだ。長い人生のなか、本気で挑戦できることなんて、そうそうない。ならば、やってみよう。恥をかいて、頭を下げた分だけ大きくなれる。かもしれない。いやきっとそうさ。

そして、声をかけてくださったみなさまに、あらためて感謝を。みなさんのおかげで、ありがとうございます


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