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『ハードワーク』(エディー・ジョーンズ)を読んで。

 ラグビーワールドカップで、日本に歴史的勝利をもたらした、元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ。彼の勝利へのこだわりとは何か。本書の感想を以下に書きます。

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 スポーツには勝ち負けがあり、そのマインドセットはビジネスにも適応されます。名将の言葉には千金の価値があり、「ライオンに率いられた羊」のような強い組織になり得ます。

 自分の関心に「組織」や「適所適材」があり、その特質、性質を見抜くことが、最適化や最強につながると思います。本書では、日本人組織の長所や短所についての考察があり、興味深い内容でした。

2

 本書引用
・頑張っても結果が出ないのは、自分は弱いという思い込み
・目標は「できるはずがない」ぐらい大きいものがよい
・訓練が目的ではない
・2ヶ月毎に反省、振り返りを行う
・課題を一つ一つ明確にし、クリアする
向上心のない努力は無意味
・同じメッセージを繰り返すと、言葉が現実になる
目標がはっきりしていれば、目先の勝ち負けは関係ない
・何が欠けているのか課題を見つけよ
・データを重視せず、調査を怠り、勘で物事を決める欠点
・データは根拠になり、方向性を決め、意思を強くする
・チャレンジするから成功できる

3

 本書で印象に残ったのは、著者の合理的厳しさです。例えば、トレーニングに集中してなければ、誰であろうと即帰らせる、トレーニング全体を中止にしてしまう、など。

 今の流行はどちらかと言えば「ルーティーン化」で、負荷を掛けずに物事に取り組む、ということが推奨されがちです。しかし著者は、「目的の無い努力は意味がない」とバッサリ切り捨てます。常に全力であれ、と。だから練習やルールは固定せず、あえて変更を多数取り込みます。

 また時間にも厳しく、10分前に集合厳守で、5分前では遅刻です。これは根性論ではなく、連帯感と緊張感、士気の向上を考えた上でのルールです。だらだらとした甘えが許される状況ではない、と。

4

 日本人の弱さに、「考えない」ことを挙げています。答えは上司が与え、それに従うことが良しとされる。しかもデータ的根拠が乏しく、感覚による指示に従わされる、客観視が弱い、と。

 全くもって正論です。ぐうの音が出ない程の正論です 組織論としては、「準備を怠った者」「気のゆるみが見られる者」を容赦なく外すことを、是としています。

 「ハードワーク」とは勝つためのマインドセットです。目標を達成するための徹底した思考です。「同じ日は二度と来ない」という、著者の強い意志を感じる本でした。


【読書感想文20冊目】


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