見出し画像

銀河帝国本同好会 ⑥ 「帝国という名の記憶」

このレビューシリーズも実に久しぶりの更新となってしまいました。
しかも、読了してからだいぶ時間が経ってしまっているという…

とはいえ、時間が経ったところで色々と思うところが浮かんできたのも事実なので、まとめておきます。

アーカディ・マーティーン著の長編SF小説「帝国という名の記憶」。

銀河帝国「テイクスカアラン」では、皇位継承を巡る陰謀が渦巻き、外宇宙からのエイリアンの出現などもあって、きな臭い雰囲気が漂っています。
辺境の採鉱ステーションから帝国へやってきた女性新任大使マヒート・ドズマーレは「案内役」スリー・シーグラスと共に、帝国を揺るがす陰謀の網を潜り抜けていきます。

この二人の百合的関係については、別記事でも触れました。

「三体」シリーズやアニメ「機動戦士ガンダム/水星の魔女」など、女性二人が中心となって活躍するSFは、世界的なトレンドみたいですね。

もう一つ、本編の設定で非常に重要なのが、人格の中のもう一つの人格でした。
「帝国…」では主人公マヒートが、イマゴマシンという一種のインプラントデバイスを使って、前任者イスカンダーの記憶を保持しています。
この記憶がほとんど人格と言っていいもので、会話するようにアクセスを行い、悪い条件が重なるとコミュニケーションが失われて記憶を呼び出すことが出来なくなるのです。

記憶とは人格なのか?

とても興味深い問題です。
最近のSFでは、記憶というか人格のコード化(?)による移植やバックアップがよく描かれているようで、評判のSF映画「ザ・クリエイター」にもそういう描写があるようです。
また、先に挙げた「水星の魔女」もデータストームというデジタル空間にコード化された人格が生息していました。
SFではありませんが、漫画「呪術廻戦」の主人公、虎杖悠仁と彼の中に宿る呪霊、両面宿儺の関係にも近いものがある気がします。

すでに刊行された続編の「平和という名の廃墟」では、全くコミュニケーションの取れないエイリアンとのファーストコンタクトが描かれているとのこと。
この記憶と人格の問題についても、何らかの展開があれば面白いなと期待しています。

この記事が参加している募集

読書感想文

SF小説が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?