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自伝のこぼれ話 3

1、2と20歳前後に勤めていた大手スーパーで食品レジ係をしていた話を書きました。
その大手スーパーの別の店舗には今でもたまに買い物に行きますが、なんか懐かしいんですよね、全体的に。ホッとするというか。
私が着ていた紺色で変なチェックが入っているベストとタイトスカート(+紺色ストッキング)の制服はいつの間にか少しばかり洗練されたものになっているし、レジは最新式のものになっているし、なにより私が働いていた店舗とはレイアウトも違えば場所も働いている人も全然違うのですが、それでもああ、懐かしいなぁ~ってしみじみする瞬間がありましてね。

それはどんなときか?
馴染みの店内放送や音楽が流れているときなんです。
今はネットというものがあるから、この音楽が流れてきたときはこの合図ってのが調べれば出てきちゃいますね。

お客向けの店内放送で印象に残っているのは
「当店では食品衛生上、ペットのお持ち込みは固くお断りしております~」ってやつです。
名物客にいたんですよ、インコを肩に乗せて店内に現れる人が。見るからに偏屈そうなお婆さんで、って客の悪口は慎まないといけないんでしょうけどもう時効?で、そのお婆さん、何を買うでもなくいつも店内を歩き回るだけ。お客に直接注意するのは色々とトラブルのもとになるというので、ペットを連れているお客が店内にいるのを見つけると交換に電話をしてその店内放送のテープを流してもらうわけですが、そのお婆さん以外にペットを連れた客を私は在職中、一度も見たことがありません。なのでそのテープが流れていると
「ああ、またあのインコのお婆さんが来てるんだな」と思ったものです。
お婆さんはさすがに「自分のことを言われてるのだろう」と分かっていたようで、テープが流れているのに気づくと
「ピーコちゃん!ダメでしょう!静かにしないと!」とか言いながらインコが乗ってる方の肩をパシッと叩くのですがインコはピーピーと鳴いたまま。お婆さんの服、肩や腕はインコのフンで真っ白になっているという。ていうか鳴くからダメじゃなくてそもそも連れて来ちゃダメなんですけどって話よね。インコは何故ついてくるんでしょうね?買い物行くよ~というと肩に乗ってくるんでしょうか。いや~。店としてはどうかと思う客なのですが、個人的には面白かったです。

店で働いてすぐのとき、ビートルズの「ヘルプ」のインストがかかっているのを聞いてどうしてこの曲なんだろう?それにかかる日とそうでない日があるしなぁ。かかってもすぐ止まっちゃうときもあるしって思ってたんですね。数か月後に知ったことなのですが、これ、どこかが人手が足りないときに応援を要請する合図だったんです。道理で我が食品レジが混雑してるときによくかかってたわけだって気づいたときはちょっと感動?し「ヘルプ」だなんて随分洒落てるじゃないかって思ったものですわ。これも後で知ったんですが「ヘルプボタン」ってのが全15台あるうちの1つのレジに備え付けてありまして。それを押すと交換手に電話して「応援お願いします」と告げなくてもヘルプが流れる仕組みになってまして、忙し過ぎてレジを離れて電話する余裕がないときに押すんですな。ヘルプが流れると、休憩中、あるいはバックヤードで仕事をしている食品レジ係が売り場に駆け付け、他の売り場から手が空いててレジが打てる人もやってくることになっているんだけど、「しかし たすけは こなかった」ってドラクエ状態になることも多々ありまして。ぐんたいアリかよ!私らはっ。

でもね、「ヘルプ」より私がしみじみ聴いてたのは雨が降り出したときに流れるカスケーズの「悲しき雨音」でした。あれ、めちゃいい曲じゃないですか?チェレスタの音が切なくて甘くて哀愁漂っていて。あ、悲しき雨音はインストじゃなくて歌ありのです。

今でもヘルプも悲しき雨音も、あのスーパーに行けば流れている。ヘルプを聴くと、忙しくててんてこ舞い、常に5人は並んでいる状態であたふたしながらもレジを打っていた頃の自分を思い出すし、悲しき雨音が流れていると、あ、今日雨降るなんて知らなかった、傘持ってきてないや……濡れて帰るの嫌だなぁと思った一人暮らしを始めた頃の自分を思い出すのです。

※1、2で散々書いたからでしょうけどヤ〇ーショッピングのおすすめに
「トラロープ」が出てくるようになりましたわ。要らねーよ!100mのトラロープなんて私、何に使うんだ!