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サイババ体験談⑧


何もすることがなくなっても私は相変わらず超絶的な状態のままで、それはゆるぎそうになくて、いよいよ、困ったなあ、と思いました。

それまでの21年間の人生においては私は「宇宙意識」と中学生のころから呼んでいた、ある無形の意識に私のすべてをやらせていたので、自ら考えて何かをしなくてはいけない状況を避けることが出来ていました。

表面上は私が考えて行動したように見えることでも、私の内面においては宇宙意識がすべての原動力で、その力の流れる方へと、行くべき方向は自然に決まっていったのでした。

しかしここにきて、私がいくら今までのように宇宙意識に自らを導かせようと試みても、もう、何の流れも方向性もありませんでした。
そして私は、鏡のように動かず静まり返った心の水面を眺めて、そこに波紋が生じてわたしの行くべき方向が示されることをいつまでも念じていました。

そしてそれは示されませんでした。
私のマインドはべたなぎでした。

今思うに、そのとき私は宇宙意識そのものになってしまっていたので、私から離れて私を導くものやたどり着くべき状態はもう存在していなかったのだと思います。

でもその時の私は、それまでの人生で有効だった、導きを受ける態度をいまだにに繰り返し、試み続けていました。

そしてやはり何も動きませんでした。
私は変わらずそんな超越状態にあり、こまったな、どうしよう、と、思い続けていました。


そんな風に集中しても何も導きが得られずいやになった時、私は心の中で瞬間的に強く
「わー!もう!」と思ったりしました。

すると奇妙なことに気がつきました。

私が瞬間的に「わー!」と心の中で思うと、2つ右隣に座っている錯乱した女性が私とほぼ同時に「わー!」と実際に叫ぶのです。

多分、パカッと頭が開いておかしくなったもの同士、意識を隔てるものがなくなって、繋がっていたのだと思います。


私が心の中で「わー!」と怒鳴ると、その女性は実際に声に出して「わー!」と怒鳴るので、女性の両隣の世話係の人たちは、女性に「落ち着いて、落ち着いて、」などと言っていました。

私はその言葉を聴いて、そうだ、落ち着こう、とか思いました。

表面上は私は静かに座っていたのですが、わたしの内面はそのように爆発したままでした。

錯乱した女性が私の代わりに発言してくれて、その両隣の世話係が色々適切な言葉をその女性にかけてくれていたので、私は女性を通して世話係の人たちからなぐさめやアイデアなどの恩恵を得ることが出来ました。


そのように女性を通して間接的に世話係に相手をしてもらっている中で、私は考え続け、

「あー、もう何がなんだか分からない!」
と心の中で強く思いました。

すると錯乱した女性は私が思ったとおりに、

「あーもう、何がなんだか分からないわー!」
とか、そういうことを言いました。

それを聞いた彼女の両隣の世話係のうちのどちらかが、

「そういう時はババを呼んで、どうしたらいいか聞いてみたら?」
と、そういうことを言いました。

私は、そうか、その手があったか、と思いました。

どうにかせねばと沈思黙考しつづけているもののお手上げの中で与えられた「ババを呼んでみる」というアイデアだったので、私はすぐに実行してみました。

前述のように、この状態に切り替わってからは周囲の人々が重みと実体を持たなくなったので、周囲の人々に話しかけて意見やアドバイスを求める発想ははなから起きませんでした。

それはまるで自分と無関係に話し、動き続けるテレビ画面の中のドラマの登場人物に話しかけて意見を求めるような無意味なことでした。

私が舞台上で劇を演じ続ける人たちと交わるには私も何らかの役柄になりきって、その劇中のセリフとして話をする必要がありました。
しかし劇を演じているときには舞台の外のことについて話すことはできないジレンマもあったと思います。


「ババを呼んでみたら?」という言葉を耳にしたとき、私はババなら通じ合えるかもと思いました。
ババは、このような状態のときに私が知っている、話が可能な唯一の人と思われました。


ババのような人には、なにも言わなくてもこのような私の状態はすでに理解されているだろうと思われたのです。


「ババなら」と私は思い、心の中で大声で「ババ!!」と呼びかけました。

すると目の前の空間(思ったものが出現する空間。視覚的には機内の光景と2重映しのように重なって同時に見えました。しかし、その映像は肉眼で見るように非常にはっきり見えました)を、猛烈な速さで飛びまわる無数の存在、もしくは気配が感じられました。

それがババだということは分かったのですが、あまりの速さに、その姿をとらえることができませんでした。
また、その飛び回る個体数も無数のようでした。

「これは光の速さだ」という思いがよぎり、しかしこれでは話をすることができないので、さらにこちらにババの注意を引こうと思って、再度

「ババ!!」
と心の中で呼びかけてみました。


するとさっきまでは単なる猛スピードで飛びまわる気配に過ぎなかったものが、とても小さなババの姿として認識できるようになりました。

小さなたくさんのババたちは、右へ左へと相変わらず大急ぎでちょこまかと走り回っていました。

さきほどに比べると目で追える分、いくらかペースダウンしたようでした。

「これは音の速さだ」とい認識がまた、どこからともなくやってきました。

しかしそれでもまだ速すぎて話ができる状態ではなかったので、さらなるペースダウンとこちらへの注目を期待してもう一度「ババ!!」と呼びかけました。


するとあっけなく,サティアサイババまさにそのひとがすぐ目の前に静止して立っていました。そして私がそれに反応するよりも早く、彼は言いました。

「お前はもうこの人生でやることは残っていないから、今終わりにしてもいいけど、どうする?」

私はそれを聞いて、「ああ、やっぱり」と思いました。

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