■ウクライナとロシアのNATO同時加盟が最良の解決!

■ウクライナとロシアのNATO同時加盟が最良の解決!
2022/4/21 澤田石 順 jsawa@nifty.com

○なんと、ゴルバチョフ大統領はソ連のNATO加盟を一つの選択肢と明言していた!

ジョージ・F・ケナンやキッシンジャーの著作は外交の営み及び諸国間の平和維持の構造を知るために必須です。ソ連崩壊・湾岸戦争当時のベーカー国務長官の↓↓の書もまた古典的名作です。

『シャトル外交 激動の四年』 ジェームズ・A・ベーカー、トーマス・M・デフランク 新潮文庫 1997年

読んだのは25年ほど前で、非常に感銘をうけたことを覚えてます。外交というものは地道にこつこつと話し合いを積み重ねる作業であり、相手の話を真摯に聞いて、お互いに譲らねば実を結ばないもの。

私、今回のウクライナ戦争直後から第三国が両国を仲介して、一日でも早く停戦を実現すべきだ。制裁強化や外交関係断絶はロシアを頑なにするのみで、戦争の長期化にしかつながらないともずっと唱えてきました。

外交的解決の鍵は、NATOへのウクライナ加盟は認め無いとの保証及びウクライナ東部のロシア系住民に自治を認めることの二つ。後者についてはウクライナはフランス・ドイツ・ロシアとの四国で結ばれたミンスク合意(2015年)に含まれてましたが、ウクライナは論外にも無視してきました。

さて、ロシアのNATO加盟のこと。これは私が思いついた方策で、拙い英文にして各国の在日大使館、国会議員、マスコミ関係者などに送りました。
 私の提案(3月2日)⇒ https://note.com/sawataishi/n/na6ac96618cf6

提案の要点は、二つに一つを両国とNATO諸国が合意すること
 a) NATOの解散
 b) ウクライナとロシアのNATOへの同時加盟
NATOはゴルバチョフ政権およびエリツィン政権との非拡大誓約に堂々と違反し、それが今回の戦争の主因となりました。そもそも、ゴルバチョフ当時からエリツィンの頃、NATOは決してロシアに敵対するための機構ではないと幾度も言葉で約束してました。いまでも、建前としてはそうです。ならば、ロシアが加盟することに形式的には問題がないはずです。ロシアのNATO加盟はロシア・ウクライナそしてNATO諸国首脳や戦略家がほんの5分検討しただけで名案だとわかると思います。アメリカの軍産複合体だけは絶対反対でしょうが、さすがに軍産は配下の政治家・官僚・マスコミを用いて、ロシアのNATO加盟反対キャンペーをすることは極めて困難でしょう。なぜならば、反対する論拠が見いだせないからです。ロシアのNATO加盟は直ちに西欧~シベリア~北米までの広い北半球における平和の構造をもたらします。(NATO解散のオプションは提示はしてるもののもはや現実的ではありません)。

両国のNATO加盟はロシアよりもはるかに人類にとって脅威である中国共産党を抑止する効果があり、この作用もおおきなメリットです。中国共産党がNATOにより包囲されるようになれば、中国共産党によるウイグル民族やチベット民族への野蛮行為がだんだんと減少することも期待されます。

本日、私が皆様に示したいことの一つは冒頭にあるゴルバチョフがNATO加盟を口にしたことの紹介です。
 ベーカー元国務長官の『シャトル外交 激動の四年』下巻の520ページから引用します。1990年5月、モスクワにてベイカー、シュワルナゼ外務大臣、ゴルバチョフ大統領の会談。ドイツのNATO加盟を認めさせたい米側にソ連側は当然反対姿勢。議題はまさにNATOのこと
// 引用開始 ※私の補筆 - G: ゴルバチョフ, B: ベイカー
私(B)は彼(G)に、ドイツはNATOから除外されるべきだと考えているのか、と念をおした。彼は答えた。
「そのとおりです。それだけでなく、いかなる軍事機構にも加わるべきではありません」「中立ドイツということでしょうか」と、私は確認した。
「中立という言い方が正しいかどうか。むしろ非同盟というべきかもしれません」(G)
 彼のこたえはいくぶん矛盾していた。ゴルバチョフは少し考えてみると述べ、こう付け加えた。
「これだけはもうしあげておきたい。どうしてもわれわれの主張が容れられなければ、私はブッシュ大統領に、ソ連もNATO加盟を希望すると伝えるつもりです。あなたは、NATOはソ連を敵視する同盟ではなく、ヨーロッパの新しい枠組みだとおっしゃった。それならば、われわれが加盟しても差し支えはないはずです」
 私(B)は、記者会見で同じ質問をされたことがあると延べた。すると、ゴルバチョフはこう言った。
「これは仮定の問題ではありません。それほど現実ばなれしているわけでもないのです」//引用終了
 ゴルバチョフとベーカーのやり取りを初めてしった方がほとんどではないかと思います。なんと、私はこの部分を記憶して無く、4月2日頃に再読した時に知り、感銘したのでした。
 当時(1990年)のソ連と西側の間には本当の外交がありました。ゴルバチョフの思考の柔軟さには驚かされますが、考えてみればソ連とドイツのNATO同時加盟は「名案」でした。ソ連国内の事情のためか、アメリカが拒否したためか、あまりにも奇想天外なので正式な議題にならなかったからなのか、私にはわかりませんが、もしも実現していたら今日の世界は今の惨状と比較してはるかに豊かで平和だったと確信します。

今、人類は岐路にたたされてます。ロシアが100%悪、ウクライナは完全に善だとして、対ロシア外交を放棄したままではウクライナ・ロシア両国民の犠牲者はどんどん増え、ウクライナのインフラ破壊もますますすすみます。戦争は必ず終わりはしますが、西側とロシアの間には修復しがたい溝が生まれ、次はもっと破局的な戦争になるかも知れません。
 単に戦争を早期終結されることですら、西側が外交を放棄している限りは極めて困難です。単に戦争を終結させるのみか、戦争の種を消滅させるためには、ロシアとウクライナのNATO同時加盟こそが最優先で追求されるべき目標だと思います。この方策は中国共産党からしたら悪夢なので、同党は阻止しようとするでしょうが、堂々と反対する論拠をみいだすことができないので、裏で工作するくらいしかできないでしょう。反対するのは軍産複合体と中国のみ。もちろん、軍産は米国の両党、官僚、マスコミを効果的に支配しているので、簡単なことではありません。けども、戦争が拡大したらまっさきに犠牲になるEU諸国民はこの方策の素晴らしいを直ちに見抜くと思います。NATOへの両国同時加盟には米国のみ反対するかもしれませんが、EU諸国すべては賛成するでしょう。国連加盟の140以上の諸国も賛成するでしょう。反対が確実視されるのは中国はもちろん、北朝鮮とキューバくらいではないでしょうか。もちろん、NATOへの両国同時加盟はNATO諸国のみに決定権があり、アメリカはNATOのご主人様なので、米国が断固として反対したらそれは実現しませんが、いつまでも反対を貫徹することは不可能ではないでしょうか。

私が提案している方策につき、検討に値すると思われた方は、是非ともいろいろな方にお知らせ下さい。


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