■バイデン政権の対ロシア宣伝に思う

■私のアメリカ観 - 主題の前に、これを語らないことにはいかない
 ロシアについて解説する前に明言します。アメリカ的自由主義と民主主義を高く評価します。しかしながら、同国の自由・民主主義は対スペイン戦争から変質しました。フィリピン国民の隷属化がその始まり。その頃から自由民主主義は国内のみに適用され、国外は関係なくなりました。
 イギリスの自由民主主義が帝国主義政策推進と共に、国内のみとなり、国外に対しては関係なくなったのと同じ。
 米国の中南米諸国政策が、守銭奴企業の利益追及のみとなっていたことは皆様が知る通りです。海兵隊は United Fruits 社などの利益拡大・保護のために「のみ」あるように見えていたことがしばらく続いてました。例えばチリのアジェンデ政権転覆が米国の蛮行の最たるものでした。
 ベトナム戦争、イラク先生、アフガン戦争などなど、米国主導の諸戦争による悪行の総和は、スターリンのソ連、毛沢東の中国、ナチスドイツのそれぞれの悪行総和よりマシではあったものの、人類全体に対しての人間性に対しての巨大犯罪だと私はみてます。
 自国内での自由民主主義を自画自賛するのみならまだしもですが、自由と民主主義を広げるとか、諸国民を抑圧的政権から解放するとの虚偽宣伝で数多の戦争をしてきたのが米国です。米国が軍隊を派遣したイラク等において、占領下の国民に自由と民主主義が流布されたことはありません。特にひどいのはイラク。イラクは民間軍事会社と非軍事民間企業の儲けの場となり、イラク国民が長年にわたり構築してきた公的企業と民間中小企業混合の経済体制が破壊され、社会構造も破壊され、国家そのものが崩壊させられました。
 以上のように、米国による人類・諸国民に対する犯罪は巨大だということを強調します。もちろん、プーチン政権や中国共産党による自国民および少数民族迫害を私は大いに非難します。中国共産党は人類にとって敵であり、消滅して欲しいと本気で思います。中国についてはジョージ・F・ケナンが提唱していたような意味での封じ込めをするするべきだと考えます。軍事的に圧力をかけるのでなく、経済的な関係を少しずつ絶っていき、中国の経済力を小さくし、影響力を弱めること。
 プーチンなる超絶臆病者については、彼の望む最優先事項であるウクライナのNATO加盟は認めないの一点で西側は妥協したらいいだけのこと。プーチンと妥協して、西側とロシアは中国を封じ込めるのが人類にとって最良の戦略でしょう。トランプはそのことをしたかったのでした。


■バイデン政権の対ロシア宣伝に思う
 ロシアがウクライナに侵攻する危険が「高い」とほんとに心配している人が少なくないと思います。私はまったく心配してません。ロシアを歴代支配してきた国家およびロシア人の特性からして、ウクライナ侵攻などという大きな危険を冒すはずないからです。
▼歴代ロシア政権の特性
 ※帝政~ソビエト時代~現政権まで一貫
  ※※ロシアについての見解の半分はジョージ・F・ケナンの回想録等による
1) 極めて臆病である
 蒙古侵略という遊牧民族による恐るべき侵略の記憶が今でも潜在意識にある。巨大な領土を有しているのに、というよりは、だからこそ敵対する諸国に「包囲」されている意識が継続している。
 西欧に対しては文化的な劣等感があり、ロシア人は劣等民族とバカにされていることを気にしている。西欧の自由・民主主義制度を決してうらやましいとは思わないが、専制体制が西欧からバカにされていることを認識しておりかなり気にかけている。
 西欧諸国を軍事的に侵略することなど夢にも思わない。「進んでいる」西欧と直接国境を接することは怖いので、常に西欧との間に緩衝国群を必要としている。
 緩衝国はかならずしもロシアの傀儡ないしは友好国である必要はなく、単純にロシアと西欧諸国との間に存在しているならばそれでよい。もちろん、ロシアに敵対する国は緩衝国ではない。国境を接する国が敵対的であることを容認することはできない

2) 赤裸々な専制/独裁/全体主義政権である
 欧米的におけるような国民の一人一人が個人として尊重される文化が欠如してしる。これについて西側の諸国民は単なる事実して認めなければならない。ロシアに対して自由や民主主義を尊重するように求めてはならない。ロシアの政権and/or国民が自ら個人主義の方向に行くことを期待するにとどめ、自由と民主主義の欠如を非難することは何の効果もない。

■ロシア国民の性質
 千年以上にわたり、ロシア人は専制支配下にあります。国家はずっと私物化されており、公共生活ないしは政治生活はロシアの民衆にはなかった。
 ロシア国の歴代国家は国民一人一人を個人として尊重する姿勢を欠如してましたが、だからこそロシア国民は国家とは別に一人一人が私的領域を守る術策に習熟してきました。

・国家/官僚に対して逆らうと必ず迫害されるので、服従するフリをする
 国家がレーニン万歳の姿勢を促すと、バンザーイッと斉唱。
 国家がヒトラーを敵だと宣言すると打倒ヒトラーと叫ぶ
 国家がヒトラーのドイツと不可侵条約を締結すると、反ナチス言動は消滅
 国家が資本主義の本山米国を打倒せよと言うと米帝国主義反対と叫ぶ
 国家が対ナチスドイツで米国と同盟すると反米言動は消滅
 ※ロシア人はこのように国家の言うがままころころと姿勢を変えるものの
 国家は常に皇帝/ソ連共産党等により私物化されていることを知っており、
 服従は常に表面的。ただし、マルクス・レーニン主義が人類解放の
 ための偉大な運動だと一部のロシア人が熱狂し、信じていたことはあった。
 そのような一部のロシア人による共産主義の大儀への心服は、スターリンの
 全体主義支配により消滅。
・ロシア人は内心で国家/官僚を軽蔑する。官僚から見えないところではばれない限りごまかして自己利益をはかる。

・ロシア人は国家は害悪ばかりもたらすわけではないことをよくわかっている。ソ連時代の医療/教育/年金システムは国家による恩恵であったことを知っている。プーチンのロシアにおいても国家のメリットがあることをロシア人は知っている。だから、国家そのものを嫌悪することはなく、国家なるものは常に私物化されており害悪が大きいものの、国家からのメリットのみ享受せんとの姿勢である。

・ロシア人は国家の宣伝の多くは虚偽だと知っているが、どの部分は真実かを見抜く知恵を有している。ソ連時代、ソ連共産党機関紙プラウダ(日本語で真実)には嘘がきわめておおいことをロシア人は知っていた。
 ソ連時代から今日に至るまでの国家が宣伝してきた米国の二枚舌と米国による巨悪をロシア人はそのまま真に受けることはない、なかったが、米国の欺瞞性をよく知っている。

・総じて、千年以上も私物化された国家の下で抑圧されてきたロシア人は、国家の指導層、国家の奴隷化した学者やマスコミの嘘を見抜く能力が諸国民よりも優れている。日本国民や中国国民はロシア国民と比較すると、国家および国家の犬化した学者・マスコミの虚偽を真に受ける度合いが大きい。米国民は日本/中国の国民よりはマシなのか? 否だと私は思う。米国の国家は守銭奴企業により買収されており、マスコミは守銭奴の支配下にあり、たいして変わらない。
 ただし、米国の大学(知的独立体)は日本の大学群ほどに守銭奴企業の奴隷化はしてないので、米国の科学と技術の発展は今でも強力である。日本の大学は経団連なる守銭奴バカ団体により奴隷化した自民党が、ご主人様の言うがままにこうしてきた
 1)運営費用の継続削減
 2)国庫支出による研究費用補助の「選択と集中」
 3)大学運営の非民主化: 教授会による大学自治の削減

日本の惨状はいろいろな指標にあらわれている。
a) 国際決済銀行が先日公開⇒ https://www.jiji.com/jc/article?k=2022021701287&g=eco
/********* 引用開始 ***************/
円の通貨としての実力が約50年ぶりの水準に低下した。国際決済銀行(BIS)が17日発表した今年1月時点の円の「実質実効為替レート」(2010年=100)は67.55となり、1972年6月(67.49)以来の円安水準となった。円の対外的な購買力の低下を示しており、輸入コストの上昇を通じ景気に悪影響を及ぼす懸念がある。
/********* 引用終了 ***************/

b) 日本の大学・大学院等による学術論文の質・量が激減
c) 一人当たりGDPが二年前に韓国に抜かれ、先進国水準ではなくなった
d) 1990年頃から昨年に至るまでの実質賃金や一人あたりGDP増加率がOECD諸国で最低レベル

 日本もアメリカもドイツもイギリスも守銭奴企業が国家を支配する度合いが強まっている状況はにているが、日本だけがこんな惨状にあることには単純明快な理由がある。欧米の政権政党も官僚も守銭奴企業支配が強まってはいるものの、それら諸国の政党や官僚には公共心がまだまだ残っており、金づる企業に服従するフリをしつつ、国のために国民のために必要なことは隠れてする姿勢があるからだ。と、私は思う。
 ロシア国民や欧米諸国民と比較すると日本国民は国家を信用する度合いが強いという意味で幼稚だからであろう。国家を私物化している政党/官僚/マスコミ/学者はそもそも日本国民であるから、国家のご主人となっている経団連などの守銭奴企業群を内心では軽蔑して、断固として国益(=National Interest, 国民の利益であり国家の利益ではない)を守る時にはそうする姿勢がロシアや欧米の政治家等と比較して弱いからだと思う。

話が主題からずれたので、本題に戻します。

■欧米諸国と日本に望まれる対ロシア政策
 ロシアがNATOに求めていることは、ウクライナのNATO加盟は認めないとのA4一枚くらいの文書のみ。ロシアは歴史的に常に臆病で緩衝国を必要としてきたわけで、緩衝国を植民地化するようなことは基本的にしてなかった。東欧の緩衝国を併合すると「敵対国」(経済文化的に優れているとロシアがみなす国々。常にロシアは西欧に対して劣等意識があり、西欧諸国にはロシア侵略の意図がないと理屈ではわかってはいたが感情的に西欧を恐れていた)と国境を接するので、それはヤバいとみなしていたから。
 ウクライナがNATOに加盟しない(当面はとの留保ありでもよい)とロシアに文書を提出するか、逆にNATOがウクライナの加盟は(当面は)認め無いと文書で約束したら、プーチン政権はウクライナ国境から軍隊を「それなりに」撤収するでしょう。ウクライナがそうしないのは、ロシアが怖いからというよりは米国に忖度しているからからでしょうが、ウクライナがNATOに加盟しないと約束したら、ロシアからするとウクライナは立派な緩衝国となり、ロシアとの友好関係が進む公算が小さくないと思います。EU/NATOにしても、ウクライナのためにロシアと戦争するなぞまっぴらご免なのは言うまでもないですね。
 A4一枚の文書をNATOあるいはウクライナ政府がロシア政府に提出したら、プーチンが全兵力を撤退することはなく、一部撤退だけして平和の方向を示すでしょう。米国大統領はまたまた憤激する(フリをする、あるいは本気)と予想されます。その時、ロシアは単なる文書ではなく、二国間条約(ウクライナ and/or 米国)の締結をウクライナ国境からのロシア軍撤収の条件とすることでしょう。もちろん、ポーランド等のソ連崩壊後に NATO に加盟した諸国からの米軍全面撤収も求めるでしょう、再び。ロシアは常に最低限貫徹することの二倍以上を外交交渉で求めてきて、米国のような素朴な国はロシアの要求が半分となったことで「妥協」したつもりとなり、成功したと騙されてきました。それは対ロシアでは仕方ないことであり、私は容認していいと思います。
 一国の大統領が「あなたの国が隣国を侵略すると決定したとみている。もしもそうしたら強烈な経済的なその他の制裁をする」と堂々と宣言したことが、これまであったでしょうか? 当該国が侵攻しないならば、警告した大統領の「功績」となり大々的に宣伝することとなるわけです。警告対象の国は米国に屈した形となる。まるで、現実に戦争を開始して欲しいように見えます。米国政府のご主人は戦争開始を望んではいないかもしれませんが、戦争開始は明白な利益なので大喜びでしょう。プーチンはその事情をよくわかっているので挑発に乗らないと確信してます。

 単純な解決があるのに、米国/NATO/EUは何故に頑ななのか? 私は単純に米国連邦政府が軍産学複合体とその同盟者である超国家企業群の奴隷になっているからだと思います。要するに金力による連邦政府支配が強力だから。申すまでもなく米国の民主党も共和党も金力により支配されていると思います。
 イラク、そしてアフガニスタンからの米軍撤退は、米国の軍産複合体にとって商売ネタの減少ですから、対ロシアで緊張を高めることが利益再増大の種となります。バイデンは民主党の中でも中道派(その意味は軍産複合体の奴隷。左派はそうでない。右派も決してそうではない。中道派とは守銭奴企業の奴隷でありつづけると同時に自由とか民主主義を口先で提唱する最も悪辣な勢力)なので、軍産の言うがままになっているように思えます。彼自身が信じているかもしれません。CIA/DIA等の情報機関は軍産そのものですから、それら機関からの報告を鵜呑みにしているだけかもしれません。つまりバイデン自身が騙されている公算が小さくはないのですが、騙されることそのものが大統領としての能力欠如を示していると思います。

■おわりに
 トランプ元大統領は狂人みたいな人間でありましたが、彼の政治姿勢を全否定するのは愚かです。トランプは米国の労働者が非正規化・低賃金化した由縁はNAFTA(北米自由貿易協定)等の超国家企業群による「法律」「条約」購入によることを正しく知りました。だからTPPから離脱。この一点でトランプは日本国民に恩人です。米国なしのTPPの害悪はかなり小さいことが事実です。
 トランプは朝鮮戦争がいまだに休戦状態であり、終わってないことの意味も知りました。何故、北朝鮮が弾道ミサイル、核兵器を開発するか? 理由は、朝鮮戦争が終結してなくて、米国が北朝鮮国を消滅させるための戦争をしかける可能性があると怖いから。
 ロシアや中国の現政権のごとく、北朝鮮政権も国民から支持されてないことは認識しております。それら政権は超臆病ですから、「米国の主人は軍産複合体と超国家企業の連合体だと認識。永遠にそれら諸国の軍事的脅威が続くことこそ、米国のご主人が望むことであり、現実に戦争することを米国のご主人は望んでない」と知ってはいるものの
心配はある。
 真逆ですが、このような認識も北朝鮮政府にはあると思います。
「弾道ミサイル開発も核兵器開発も米国のご主人が大歓迎するに違いない。そのような行為にたいして米国等は言葉では大いに非難するであろうが、少なくとも米国のご主人は大歓迎だろう。核ミサイルの性能が高まれば高まるほど、米国は日本と韓国にミサイル防衛装備を売ることができ、両国は喜んで買うであろう。日本国政府はアホなので、本気で脅威が高まったと心配して、ますます米国から買う。日本が米国から買う金額が高まることにつれ、米国が北朝鮮を先制攻撃する確率は小さくなるであろう。日本よ、頑張ってどんどん買ってくれ。」
 安部晋三元総理大臣ら政治家として低能かつ人格卑劣な者たちが提唱しているところの防衛力強化、つまりは米国のご主人様である軍産複合体の利益増進(兵器購入)こそが、北朝鮮なる全体主義国の存続に寄与することになると思います。日本が米国からますます多額の兵器を購入することで、朝鮮半島の緊張が高まり、同時に北朝鮮からすると米国が先制攻撃する可能性はますます小さくなると安心につながります。
 もう一度申します。トランプは朝鮮戦争の終結を本気でしようとしたと思います。米国の軍産複合体にとつて北朝鮮との戦争継続(法的には休戦)は利益ですが、その欺瞞性を単純に間違っていると直感したからだと思います。今の韓国大統領は退任しますが、朝鮮戦争終結をバイデン政権に訴えておりますが、米政権は拒否しているようです。
 そもそも、ロシアと日本は法的には戦争状態です。平和条約はまだです。

 米国連邦政府に対して、キッシンジャー(98才)は少し影響力があり、故ケナンなら言うような苦言・アドバイスをしているようです。しかし、98才の彼の体力も精神力も衰えており、現実を変える力はありません。
 人類の諸国の国家は守銭奴企業による奴隷化がますます進んでます。この方向が継続するならば、ヨハネの黙示録に預言されている破滅的な七年間が現実になることでしょう。私はそうなるとほぼ確信してますが、回避できるかもしれないと思い。だからこそ無駄からもしれないと思いつつ言葉を発してきております。


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