遠い場所
最後に見たのがいつだったのか正確には覚えていないが、たぶん母親が亡くなった頃だと思う。小学校低学年まで父親と一緒に住んでいた家は、外観は変わることなく、まだそこにあった。両親の離婚後は全く別の人が入居していたらしい。築60年くらいにはなっていると思う和風建築。
その後に母と兄と一緒に移り住んだ家も結局は同じ学区で、近い。
時々中の様子を思い出したりもするし、実際に残っているのなら、とも思うのだが、それを見ることはもう叶わないのだろう。
そんな場所がある、と考えたら涙の一筋でも流れるかと思ったが、そうでもなかった。
生活は淡々と先へ進むのだ。
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