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松下村塾

 人生で一番辛い時期であったと思う。
 家庭は崩壊して、事業はコロナ禍で先行きが見えない。ストレスの余りに睡眠障害を発して3日で2時間眠るのがやっとという有り様。
 長崎からロングドライブして萩に行くのが、冒険に近かった。
 普段は眠れないのに、高速を走っていると泥沼のような睡魔に見舞われる。そのくせSAで休憩をとっても眠ることができない。
 その時期は終の住処を探していた。
 ここではない何処か。
 今日を生きる何処か。
 松下村塾を見て、ああこんな小さな私塾から、綺羅星の如く幕末明治の志士が輩出したのかと驚いた。
 まだ中学生の頃に一度訪れた記憶があるが、血肉を感じるほど実感が伴ったのは、その時期のメンタルではなかったかと思う。
 人生の回転をも示してくれた場所になる。
 
 

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