見出し画像

作品「告白は出来なかったとしても好きな記憶は残り続ける。」

「お元気ですか。」

突然相手から連絡があった時、すぐに喜べる自分でありたい。
土曜日の朝、昔職場が一緒だった人から来たLINEを見て思った。
トラブルを起こして辞めた人で、LINE交換していたこともすっかり忘れていた。

ちょっと下に見ていた相手の方が親切心出やすくて接しやすいけど、その後の関係性を続けようとは思わない。
そんな相手に限って恋心を持たれたりする・・・

私から好きになる相手はいつも自分よりちょっと上の、立場や視点、フィールドの人で。
その人たちに見合う自分になりたくて駆け上がってきた階段があった。

でも、結局は派遣だから、結局応援に見合う成果を出す前にその職場を離れる。
あの人は元気かな、と思いながら、次の職場でチャレンジをする日々が続く。

仲良かった人と連絡をとってみようかしら。と思う時もある。
でも、その連絡は、相手にとっては「格下相手だった奴からの突然の近況報告」にならないかしら。
そんなことを考えて、手を止めてしまう。

LINEは返せないまま夜になってしまった。
トラブルをまた起こされないかしら。面倒ごとに巻き込まれないかな。
そんなことを思ってしまう。

自分の視点と他者の視点は違う。
そう思いたいけど、じゃあ他者の視点ってどんなんだろう。
いつもランチで話していたあの人だったら、こういう時「困るよねー」と言いながらスルーしそう・・・
私は共感と冷凍のハンバーグの味にうなずきながら、話を掘り下げることをしなかった。
いつもの味。いつもの他愛ない話。でもあの人は何にも困っていないように見えた。

_______

常に告白されることを夢見てたけど、結局自分から告白して、自分から振ってきた人生だった。
振り回してしまった結果、だんだん会話がなくなる恋人。
_______
アラームが鳴る。

月曜だ。仕事に行かなきゃ。

アプリのバッジの数字が見える。

悪いけど、LINEは夜に一回まとめて見る派だから。
いつだったかの恋人がこんなことを言っていたから、私もそうしていて、別れてからも習い性になった。
そうすることがラクだから。

「いつからそうしていたっけ・・・」
_______

「あの時、まさか返信が返って来るとは思っていなかったから」
「そうね」

返すつもりなかったし。と笑うと、ひどいなぁと新しい恋人は笑った。
トラブルは今のところ起きていない。互いに成長したのだ、多分。

よろしければサポートもお願いします!メッセージも受け付けております…!!