見出し画像

DREAM BOYS観劇記録

みなさまこんにちは。沙耶です。

幸運なことに一般でA席を1枚、そしてカード枠が当たり、帝国劇場にて上演された舞台「DREAM BOYS」を観劇することが叶いました。
もしかしたら後世どこかで後輩さんが引き継ぐことになりファンの方が読んでくれるかもしれないし、もしかしたらひょんなことから100年後に文化に関する貴重な文献として社会科資料集に載るかもしれないので、感想を文字にも残しておこうと思います。


帝国劇場の0番に立つということ

「0番」というのは、舞台中央、センターの立ち位置のことを指します。
舞台では中央に0、そこから左右対称、等間隔に、1、2…とステージ上に番号が振られています。演者はその番号を目安として立ち位置を把握します。
(私が音楽系専門学生だった時代はあまりオタクさんが言っているイメージがなかったのですが、今はすっかり浸透した言葉になっていますよね。)

さて帝国劇場が誕生したのは、1911年(明治44年)のこと。日本で初めての西洋式大劇場として建てられ、初代の劇場は1964年に閉館しました。
現在の帝国劇場は、その後の1966年(昭和41年)に開場した2代目の劇場です。
客席は2018年のリニューアルでふわふわになつていたりとマイナーチェンジはありますが、誕生から112年。2代目になってからも57年。歴史のある、由緒正しき劇場です。

帝国劇場は東宝が管理しているとはいえオープンな劇場なので所属事務所は問われませんが、充分な実力がある人でないと立つことは許されません。レ・ミゼラブルやミス・サイゴン、マイ・フェア・レディといった世界的に有名な作品。ナイツテイルなど日本初演で世界へ広がっていった作品。上演1987回を超えた超絶ロングラン作品、Endless SHOCK。
今挙げた作品を思い浮かべて貰うだけでも、帝国劇場に立つことが如何に難しい事か、ということです。

翔太くんが「自分は帝国劇場に立つには実力不足だ」と1度辞退したのも、特にジャニーズ内でも舞台人として過ごしてきた時間が長い分、そういう重さを身に染みて知っている苦労人ならではだと拝察します。
それでも帝劇で実に1年の1/3を過ごしているオペラ座の怪人ならぬ帝劇の住人・光一くんが「それでも渡辺以外考えられない」と再度オファーをしてくるというのは、並大抵のことではないことが、よりご理解いただけるかなと思います。


私の背景

私が翔太くんがDREAM BOYSで主人公を演じることを狂ったように喜んでいるのは、2つ背景があります。

1.Endless SHOCKの大ファン

堂本光一さんがライフワークにしているEndless SHOCK。
ここで語るにはキリがないほど愛しているのですが、その私が憧れ愛し続けているミュージカルスター・堂本光一さんの演出・指導の下、渡辺翔太さんが帝国劇場の0番に立つことを非常に嬉しく思っています。

SHOCKの物語は主題として「Show Must Go On」の意義を問う、舞台に立つ人間たちの物語です。時代に合わせて演出や音楽も変わりながら、長きに渡り同じストーリーで愛されています。

対比として「滝沢歌舞伎」はタイトルこそ同じものの、毎年構成される演目の中身がかなり違っているため、同じジャニーズを代表するタイトルとはいえどDREAM BOYSやSHOCKとはだいぶ性質の違う舞台だと捉えていただければと思います。

一度は断った翔太くんが受けるに至った経緯として、光一くんが翔太くんと面談し、アプローチをし続けてくれたこともすごく嬉しく思っているんです。

これまでほとんど面識がなかったであろう光一くんが、翔太くんをメインキャストに選んだことに際して翔太くんが、「何らかの形で僕ら2人のことを勉強してくださった過程があるんだろうなって。そこに先輩としての包容力を感じて心を打たれました。しかも、相手が慎太郎だということも聞いたので、だったら楽しくできるかなと思ってスイッチを切り替えたんです」と話してくれたけれど。

そして光一くん側からのオファーの理由は、以下のようなコメント。

「2人とも『滝沢歌舞伎』や『少年たち』で舞台経験はあるんですけど、面談したとき、本人たち的にはちょっと弱気な部分があったんですよ。それは僕としては意外でした」
「でも、だからこそ今回『DREAM BOYS』に出ることで、舞台やミュージカルを好きになってもらいたいと思いましたし、本人たちの自信になればいいと思っていますし、そうなってもらえるよう僕も努力します」

そうそう!私の知ってる渡辺翔太さんと堂本光一さんってこういう人なんだよ…!と、私が常々感じている2人の誠実さに感動して本当に嬉しくなったんです。

今回、このような事象の中で幕が上がることとなった新キャストでのDREAM BOYS。開幕に際して光一くんは、Instagramでこのように綴っています。

翔太と慎太郎を筆頭に
今の彼らの想いがステージにのって
素晴らしいパフォーマンスを届けてくれる筈です
その姿をどうか目に焼き付けてください
自分も気持ちは彼らと共にあります

ただの演出家としてではなく、出演者に寄り添ってくれるこの姿勢こそ、私が尊敬しているミュージカルスター・堂本光一であり、本当に震えが止まらない気持ちで観劇の日を待ちわびていました。


2.滝沢さん演出の舞台がどうしても合わない

私の好みの問題ですので聞き流して頂ければ幸いです。批判ではないのですが、コーヒーが得意な人と苦手な人がいるように、大衆に愛されているものでも得意不得意があることをお許しいただければと思います。
例えるなら「コーヒーが飲めない代わりに紅茶を偏愛している」、そんな感じです。

特に苦手な理由を言語化するとすれば、
・全く性質も違う演目が次々と繰り出されていくので、「せっかく物語に入り込みかけた情緒を強制終了されてまた次に進む」状況が5〜10分スパンで起こるので苦手。
・体育会系が色濃い指導が苦手で、ドキュメンタリーを見て吐く、を過去何度も繰り返している。これは過去、自分が同じように指導されトラウマになっているのも関係している。
・滝沢脚本のギャグパートがひたすら苦手。私はお笑いも好んでいるのですが、全くもって好きなタイプの笑いの方向性ではないので、観ているのが苦痛。同性同士でキスをする流れもめちゃくちゃに苦手で、共感性羞恥に似た感情で目を覆いたくなる。

上記の点が特に私の価値観に合わず。
「男と女の舞」のように断片的に狂おしく好きな演目もあった…いや舞だけだな…のですが、Snow Manがいるから、自分の好きな人が全力を尽くしているから…というのを抜きにしても鑑賞するのがしんどい、というのが本音でありました。
コーヒーダメな人がどうしてもダメなのと同じ感覚ですので、悪しからず。

反対にDREAM BOYSやEndless SHOCKは、全編通して1つの物語が進んでいく形式の舞台です。鑑賞中に物語に浸り込んでいる感情をぶった斬られることはありません。

また滝沢さんと深澤さんの話で本番前日に突然「無理だから出なくていい」と告げられ、懇願して出演を続けるも「滝沢くんが呼んでるので楽屋に来てください」と毎日呼ばれた心労で7キロ痩せた逸話がありますね。これはSHOCKの物語の中で、追い詰められたコウイチが「お前はもうステージに立つな!」と仲間に対して吐き捨てた、コウイチが仲間に対して犯したミスとして描かれている描写そのもの。こういったエピソードが出るたびに不信感が募り、純粋に舞台を鑑賞することができなくなっていました。

また渡辺翔太さんも、叱責した日に限って食事に誘ってくる滝沢さんのことを「怖すぎて食っても食っても味がしない」と話して笑いを誘っていました。
心理的安全性の担保されていないカンパニーで出来上がったものをどのように受け取ったら良いのか、と、SHOCK間に受けすぎオネエサンの私はエピソードを聞くたびに困惑していました。

反対に、光一さんの指導は発声の方法から立ち方といった基礎から教えてくれたと翔太くんがインタビューで答えています。今回に至ってはフライング稽古の際の「実際に飛んでください!」という要望を快諾して飛んでくれてる。
「自分で考えろ」とプレッシャーをかけて放置するのではなく、具体的に指摘し、後輩の要望や提言にも積極的に耳を傾け、実践して見せながら教える指導法なのが、翔太くんや慎太郎くんの発言の随所に見て取れます。

これは長年SHOCKを愛し連載を愛読している私の知っている光一くんの指導姿勢であり、過去にトラウマを抱えている私も心理的安全性を保たれたまま観劇することができるので助かります。

そんな経緯があるので、今回のDREAM BOYS主演の報は喜びもひとしおでした。


この舞台のあらすじ

私のnoteを読んでくださっている方はもう「ドリボのストーリーぐらい知っとるわい!」というところでしょうが、今回は「舞台感想」というお題に参加している手前、簡単にだけ説明させてください。

主要登場人物

あらすじを説明するにあたり、覚えてほしい主要人物は5人です。
※ジャニーズの舞台は「出演者の下の名前のカタカナ表記が役名」という謎の伝統がありますが、本人役という訳ではないんです。ややこしいな!

ショウタ(渡辺翔太)
主人公。元ボクサーで、現在はとある理由から金銭欲しさに俳優。

シンタロウ(森本慎太郎)
天才ボクサーで、通称「チャンプ」。
今はリングを降り、ボクシングジムを経営。

コウキ(川崎皇輝)
ショウタの弟のような存在、アイドルを目指しながら、密かにボクサーとしてチャンピオンになることを夢見て、慎太郎の経営するジムに通っている。

エマ(鳳蘭)
元トップスターの芸能プロ社長

マリア(紫吹淳)
プロデューサー、エマの元付き人


あらすじ

ネグレクトを経て親に捨てられ、孤児院で育ち、孤独だったショウタに唯一声をかけてくれたシンタロウ。そのシンタロウに誘われ、ショウタはボクシングの道へ進みます。
天才ボクサーと呼ばれたチャンプ、シンタロウ。その最大のライバルは、ずっとずっとショウタでした。
しかし肝心のチャンピオン決定戦の日、試合途中に突然、優勢だったショウタがリングから降りてしまう。それをきっかけに、2人は疎遠になってしまいました。

8年後。
ショウタはとある理由から、エマの事務所所属の俳優をやっています。
そこにマリアが、「チャンプ=シンタロウをモデルにした映画を撮ろう」と持ちかけてきます。エマはショウタの実力不足を理由に反対しますが、マリアはチャンプの最大のライバルだったショウタが適任だ、何より彼の才能に惚れている、と一歩も引きません。
実はショウタが俳優になりお金を欲しがる理由は、弟のように思っているコウキが致命的な心臓病を患っており、その手術費用を稼ぐためでした。
コウキのためのお金さえ手に入ればいいので、主演の打診を承諾します。

しかし、シンタロウが承諾しませんでした。
撮影所に乗り込んできて、映画の撮影を中止にしろと迫ってきます。
コウキの為になんとしてでも映画を撮りきりたいショウタはシンタロウのボクシングジムに行き、土下座して懇願。
するとシンタロウが提示してきたのが、「俺と本気のボクシングをしてくれ。」
ショウタが自分に勝った暁には、映画の撮影を継続していいという。
ショウタはコウキのため、これを渋々承諾。
マリアは「いい宣伝になる!」と画策し、2人は8年ぶりに、本気のボクシングの試合をすることになってしまいました。

8年ぶりの試合。
最初はシンタロウが優勢と思われましたが、ショウタの様子がどうもおかしい。ボディにしか攻撃せず、全く顔を狙いません。
不審に思ったシンタロウがショウタを焚き付けたラウンド、ショウタの放った1撃が、シンタロウの頭にクリーンヒット。
倒れ込んだまま意識を失ったシンタロウは、運ばれていきます。

ショウタの陣営が勝利に喜んでいるなか、マリアはショウタのグローブの中から、「鉛の板」を発見します。

シンタロウの思惑は何だったのか?
8年前のショウタは何故、リングから降りたのか。
鉛の板を入れたのは、本当にショウタなのか?

15年前のとある事件やショウタの出生の秘密も絡み、ミステリー要素を含んだ、友情と絆の物語の結末は如何に。


観劇しての感想

DREAM BOYS、かなり話がわかりやすい、且つ回想シーンもあんまり挟まらないので時間軸がひたすらまっすぐで、ジャニーズ舞台入門編として観やすいよなと思っています。

ジャニーズ好きだけどコンサート系が主戦場で舞台あんまり馴染みない、けどジャニオタとして履修はしておきたいんだよね…!という方には、SHOCKや滝沢歌舞伎より最初におすすめするかも。

強いて言えばデススパを「翔太の悪夢の中の世界だ」と瞬時に理解できるか、「天国で亡くなった慎太郎と翔太が話すシーン」というファンタジーを受け入れられるか、という2点だけかな。

また出演者によってでかなり物語全体の印象が変わるイメージなんですが、光一くん演出になってからの3カンパニーの中で最も「優しい物語」だったな…と感じました。

菊池&田中版はその2人が持つ凄みに引きずられた、ヒリヒリするような力強さや苛立ち、友情の色濃さ、また焦燥感といったものも感じます、それがまた魅力です。

一方で翔太&慎太郎チャンプは、翔太くんも慎太郎くんも本来持っているオーラが柔らかいこと、また翔太くんが歴代の主演よりも大人年齢で落ち着いていることもあり、「優しい人=強い人」という翔太くんがインタビューで掲げていた印象が強く全面に出ているように感じます。

慎太郎くんのキャラメルボイスと翔太くんの甘苦いハンサムボイスは、この今年度掲げられたテーマによくマッチしていて、どの楽曲も劇場を包み込むように広がっていく優しさを感じて素敵でした。

ボクシングの話ではありますが、「ボクシング」が副題に感じるほど人間模様が濃く出ていて、このピリついたご時世に観劇できてよかったなと心底感じました。

1幕


座長はやっぱり別格なんだと感じたこと

翔太くんの発声が光一くんに寄っている(もちろん本舞台の演出は光一くんな訳なので無理もなく、今回限りかも)ことを本当に喜ばしく感じているのですが。

翔太くんの特筆して優れている点だなと思ったのは、歌唱力もさることながら、それがセリフだろうが歌唱中の歌詞だろうが、「何を言っているのか一言一句すべて綺麗に聞き取れる」事だなと感じました。どうしてもジュニアの皆さんは潰れて聞き取れない台詞が幾つか発生していましたが、とはいえ問題になるほど聞き取れない人はいません。

それを置いておいても、さすがに座長とチャンプは別格なんだよな…。

これは慎太郎もそうで、病室のシーンなどは特に顕著。死を目前にして弱っているので静かに話しているのですが、それでも一言一言が綺麗な粒のように並んでいて一言たりとも潰れていない。これは本当に凄い。長いこと舞台班やってる人の台詞回しって、こんなにも綺麗に聞き取れるんだ、と改めて感動しました。

デススパの話

無実の罪を着せられ、小劇場に匿われた翔太の悪夢の曲、DEATH SPIRALが完全にディズニーハロウィンで大好きすぎる!ユニバのようなゾンビじゃなくて、Dハロなのがミソ。
劇場の薄汚れたゴシックな衣装達がマスカレードを被って踊る曲で、悪夢の中で無実の罪を被ったショウタを追い詰めます。SHOCKのDead or Aliveに雰囲気似ています。

夢の中で「見損なったぞ翔太!」「違うんだ慎太郎、違うんだ!」と”存在しない悪夢のやりとり”をするのは、SHOCKでのシェイクスピアのシーンそのもの。
デススパは光一くんが演出に携わってから追加された曲目で、作詞も光一くんが担っています。SHOCK勢には魅力的に映るのも当然の理かもしれません。

「闇は無限に広がる手招きの旋律、そこには絶望 暗闇の輝きを…」と続く歌詞、このマスカレードダンサーに追い詰められる、暖を取るために纏ったなけなしの汚いシャツ姿で追い詰められるショウタの表情がたまらんのです。

無粋な感想ですが、何もしていないのに悪夢の中で何度も何度も囁かれ、徐々に自分が慎太郎を殺したのだと誤認して絶望の淵に追いやられていくショウタの描写は、今見るにはしんどいものがありますね…。


ソロ曲「光」

翔太くんソロの「光」はミディアムバラードで、闇を1人彷徨う儚くて切ない曲でした。SHOCKで言うとOneDayと夜の海を足して2で割ったような美しい楽曲。

例年はもう少し強めの楽曲のイメージがあるシーンですが、儚さが際立つので「優しい人は強い人」という側面を強く感じる今年の雰囲気的に、ここで「敢えてミディアムバラードを選んだ」という翔太くんの選択は正しかったなと、いち作品ファンは思いました。

わからない 正しさなんて曖昧なもので
真実は 残酷なものかそれとも光か
まるで深い海の中で 息も出来ずもがいている

これが夢ならどうか 偽りならどうか
記憶さえも全てを壊してしまえ
叫ぶ声は音にならず消えて
残るものは儚い罪と罰だけ
深い闇を1人彷徨う 微かな光を探して

上記は私が2回の観劇で聞き取った&記憶した歌詞なので間違っていたらごめんなさい。

無実の罪を背負い、それでも愛する弟分の為に逃走を続ける翔太の悲痛な、そして抑圧されたた感情が切々と伝わってくる美しい歌詞ですよね。それだけに今聞くのがしんどい、というのもありますが。
はあ、はあ、とわざと拾わせてるであろう息遣いが切迫した絶望を感じて苦しくなります。表現力…!!!

そしてこの「光」から、翔太がもう1つの無実の罪を被って覚悟を決める名シーン「何もかも引き受けいてやろうじゃねえか!」を経て、2幕序盤のsad songの「目を閉じたまま涙を流している それは輝くものだと知ってたはず そしてどんなに温かだったかも確かに知っていたはず ついさっきまで」という悲痛な歌詞に続きます。


エマの劇場のシーン

「今は何を言っても無駄。時の流れが全てを解決してくれる。それまではその姿を隠すの、このままでは全てがダメになってしまう。あなたの過去も…。全てを私に任せて、ここで体を休めて。」からの歌唱が今の状況に刺さりすぎてしんどかったです。エマの素性を知ってからこのセリフを反芻すると、かなり苦しいですよね。うーん、沙耶も帝劇に身を隠そうかな?冗談、ジャニーズジョークだよ。

「あなたを守り続ける いつの日か届くように今 傷つき悲しみを超えて 夢と絆を胸に抱き未来へ」

このエマさんの独唱、2幕の怒涛の伏線回収後に思い出すと鳥肌が立ちますよね。いや、勘が働いてここで「あ…この人もしかして…」ってなる、それにまた「あぁこの作品、本当にいいな…。」と感じてしまうんですよね。ドリボの中でも上位に好きなシーンです。


滝沢歌舞伎ってなんだったん…と思うぐらい、圧倒された1幕でした。演出家が変わるとこんなにも変わるんだな…と本当に驚きっぱなしでした。桟橋のシーンの「マリアさん、俺、この映画が終わったらやりたいことがあるんです。」とか、完全に光一くんの発声の仕方で震えました。
歌舞伎の翔太くんも舞のなべ様やひらりと桜など演目演目で狂おしく好きなのはあるんですが、このかたはこんなにも輝くんだ…とあたらめて驚きです。正直、歌舞伎の比ではないくらい輝いています。

そしてやっぱり、しっかりと1本話の筋が通っている物語を見るのは非常に気持ち的に楽でしたし、がっつり物語の世界にのめり込むことができました。
のめり込みすぎて呆然としてしまって、1幕終了後もしばらく立ち上がれなかった。圧倒されて立ち上がれない経験をしたのは本当に久しぶりです。


2幕


シーン1からしんどすぎる

初っ端から
「マスコミは毎日のようにショウタのことを掻き立てる。これであなたは立派なダーティーヒーローになった。あとはあなたを探し出して、人前に晒すだけ。」
と、それに続くショウタの
「俺が捕まったらコウキは終わり。俺が沈黙することで救われる人がいる。今の俺は逃げ続けるしかないんだ。」
がしんどすぎました。

外うろついてる正義ヅラした奴らに帝劇の全ての扉を開放して聞かせてやれ。


壁フライング

もう爽快!ワンスとかミッキーのマジカルミュージックワールドとか、プロジェクションマッピング大好き!PMの中をフライングを用いて駆け抜けていく翔太くんの疾走感と安定したかっこいいフライングにめちゃくちゃ胸が高鳴りました…!!


Get It! の歌詞はよく聴くべき

ショウタ、マリア、エマの2人による歌唱曲で、マリアがどうしてこんなことをしたのか判明する曲、Get It!。
マリアのやらかした所業の割にショーみが強く明るい楽曲ですが、ショウタの歌唱パートは核心を突いたことを言ってるので2回目は特に刺さりました。

もういいだろう仲間ぶって笑い合ってないでくれ
運命と認めても憎しみでは生きれない

胸に刺さった棘が人を変えてく
光も未来も届かなくて

誰かを憎むたび傷が増えてく
もうダメさ 元には戻れないよ

話は少し飛びますが。
1回目は平和に何事もなく過ごしていたのですが、転売撲滅を大義名分に日々帝劇に来ている某YouTuberが来訪を予告しており、かなりびくびくとしながら帝劇に身を隠す2回目の観劇日となりました。

無論のこと私は自名義チケットで転売とは無縁なのですが、無関係の女性が被害に遭われたとの情報、そして友人からの気を付けろという度重なる忠告を受けて、もしも突然にカメラを向けられたらどうしたらよいのだろうかと少し怖くなっていましたから。

わざわざマスクと帽子まで装備して、周囲を警戒しながらそそくさと帝国劇場へと駆け込めば、紅い絨毯と美しいステンドグラスが迎えてくれます。
その歴史と格式を感じさせるどっしりとした佇まいは、私たちのような心からステージを愛する者のみを受容し、ならず者から匿ってくれるように感じてひどく安心したものです。

悲しいかな、無実の罪から逃げ続ける劇中のショウタの心情の解像度が、少しばかり余計に上がってしまった気がします。

その方のスペースを、先日拝聴していました。
その日の主題は、やり方に疑問を呈した1人の方を糾弾する内容でしたが、その際に、「都合のいい時だけ仲間、仲間って。都合のいい時だけ。」と何度も繰り返されていたのが非常に印象に残っています。

「仲間」とは何か。

ジャニーズの舞台ではしばしば問われる題目です。
奇しくも、DREAM BOYSの中でも大切なテーマですね。

憎しみで人は生きていけませんから。こちら側は分かっていても、あちら側がそれをわかっていたらきっと、こんな事していないんですよね。
「もうやめろ、やめてくれ!なんでこんなことすんだよ!」という翔太の悲痛なセリフが私の頭をよぎるのは否定できません。

しかしスペースを拝聴している限り、SHOCKとドリボとチャリチョコの区別も全くついてない上に「興味ない」と何度も繰り返し突っぱねていましたね。ジャニーズの舞台を一切観劇したことのない方が、思い込みやイメージだけでこのような行動に走っていること、全く悲しいことだと思います。

私はこの「興味ないから」と何度も何度も繰り返す行為、ある種、彼の心の自衛のようにも感じました。

勇気を出して1歩踏み込めば、観た者の人生がガラリと変わってしまうようなインパクト、そしてパワーを持った素晴らしい世界が広がっているというのに。
自らの保身のために必死になって無知を隠し、「知る」あるいは「理解する」ことを放棄するのは、心の貧しい行為であり、ある種とても可哀想な事です。

もしかしたらDREAM BOYSの物語に触れたら、彼らの刺々しく、それでいてシクシクと傷んでいる心が豊かになるのかもしれませんが。
いえ、この物語を美しいと受容できるのも、もしかしたら1つ、才能かもしれません。

それは単に知識や教養の有無というより、何の先入観も無く、何の軽蔑もなく、純粋に目の前の物語を心の中に受け入れる余裕と素地があるか否か、とでも言いましょうか。

いつか彼らが私にとってのEndless SHOCKやDREAMBOYSのような「人生を狂わせるほど素敵なステージ」に出会い、それを豊かな心で受容できる日が来ることを、ステージを愛する者として密かに願っています。


天国のシーン

慎太郎の演技のうまさもさることながら、許しを乞うように手を握る翔太の演技と涙で今回も泣きすぎた己の涙で溺れましたわ。

天国なので、セットも全面真っ白。シンタロウも真っ白、ショウタだけが真っ黒。
鉛の板は入っていなかった。とはいえ、ショウタの一撃が、元々持病を抱えていたシンタロウの致命傷になったのは事実であり。
シンタロウの願った死の形を叶えてやった、とはいえ、重い現実を背負ったまま現世に取り残されている対比が、美しくも残酷でボロボロ泣いてしまうんですよね。

ショウタとの本気の勝負の果て、ショウタの一撃を受けてリングの上で死ぬ。
という本望を叶えたシンタロウの「ショウタ、戦ってくれてありがとう。感謝してる。」から始まる、天国の入り口で永遠の別れとなる2人の曲「DREAM BOYS」が2人も迫真の演技かつ美声すぎて、泣きすぎて9万の防振壊すかと思いました。あぶねー。Snow Manのメインボーカルと、ソニー産の歌唱力モンスターSixTONESが召喚されたらそりゃもう。


フライングの話

もしも翔太くんが帝劇でフライングしたらどうしよう、そんな夢みたいな光景を見たら死んじゃうかもしれない。って思ってたんですが、昨年の風磨&樹の年はなかったので「ないかな…」とあまり期待してなかったんですよ。
1幕終了時でレポ見たら「慎太郎が飛んだ」と書かれてていたから。大体1人しか飛ばないイメージだったので、今年はたろが飛ぶんだな、と思ってて。

そしたらラストのネクドリで翔太くんが飛んだという終演後レポを見てしまって。嬉しすぎて、感無量で、レポだけで夜の臨港パークでほろりと涙してしまいました。

そんなフライングガチ勢なので、ちょっと書かせてください。大半は光一くんの連載「エンターテイナーの条件」からの引用です。

フライングには幾つも種類があり、例えばEndless SHOCKでは5つのフライングを使用しています(1点吊り、手掛け、傘、ラダー、赤布)。

もう少し具体的にわかりやすい例を出すと、2本で飛ぶ2点吊りは安定感と引き換えに自由が効かず、優雅さに欠けるので光一くんが嫌っている飛び方です。
対して1点吊りは身体への負担と引き換えに、上手く飛べさえすれば非常に優雅に舞うことが出来る技です。検索すればわかりやすい画像が出てきますので、ご興味のある方は是非とも。

今回、DREAMBOYSで翔太くんが飛んでるのは1点吊り。シンプルが故に誤魔化しが効かず、美しく飛ぶのが難しいのです。

背筋をめいっぱい使って胸を突き出し、重力と筋力を上手く操って魅せたい動きを作り舞う事は至難の業です。己の身体への負担と引き替えに、美しさを得られるのですが、下手くそな人はクルクル回っているように見えたり、上から吊るされているように見えます。上手い人はワイヤーの支点での切り返しが美しく、本当にふわりと舞っているように見えるそうです。

翔太くんはすごく綺麗に飛んでたから…もうフッキングされた瞬間に泣いてしまって。(※飛ぶ時にフックをかけるのがフッキングで、降りてくる人を受け取ってワイヤーを外すのがキャッチング)

それと飛ぶ時の仕草や飛び立ち方、姿勢の保ち方が堂本光一のそれすぎて、「わあ…本当に光一くんに教わったんだな…。」と感極まってしまいました。
これは結構人によって飛び方が違ってわかりやすいので、それこそ「滝沢歌舞伎」でたくさん飛んでらっしゃる滝沢秀明さんのフライングなんかを観ていただけると良いかと思います。これは「どっちがいい」とかではなく完全に個性、そしてどちらが好きかも完全に各人の好みの話です。

あとキャッチングされる時、下手な人は勢い余って突っ込んで降ってくるんですが、上手い人は舞い降りるかのようにステージにふわっと着地するんです。観劇した日の翔太くんは、全くオーバーランせずにふわっと着地していたのでそれも泣きました。

小堺さんが以前行列で光一くんのことを「本当は飛べる人だと思います、ワイヤーなしで。」と言っていましたが、まさにそう。本当にそう。
翔太くんも、本当は飛べるのに隠してる魔法使いだったんだな…。なんて小堺マインドで泣いてしまいました。
光一くんティンカーベル説も提唱していきますかね。冗談だよ。2人とも、いやたろのことも忘れてはなりませんね。3人とも、本当に努力の人です。尊敬します。

余談ですが、慎太郎の飛び方は光一くんとも翔太くんとも、また先に例に出した滝沢くんの誰とも全く違う飛び方なので、やっぱりフライングは人それぞれで面白いです。DVDが出たらじっくり堪能したいのですが。明日欲しい。


オリジナルドリンクの話

幕間に飲んだDREAM BOYSオリジナルドリンク、めちゃくちゃ美味しかったです。RED-Sがボクサーパンツ赤・ショウタのSって意味なのかな?と捉えて、RED-Sを飲みました。

ブラッドオレンジシロップにグレープフルーツジュースって書いてあったけど、本当にその味です。つまり不味いわけがない!たっぷりの氷でキンキンに冷えてて、1幕で呆然とした頭と体に染みました。

家で作れるからブラッドオレンジシロップをKALDIに買いに行こうかな?と思ってますが、市販の濃縮ブラッドオレンジジュースでもかなり近い味になりそうです。飲んだだけで思い出して泣いちゃいそうですが、DVD発売された暁には自作して泣きながら飲もうと思います。


最後に

じゃあ締めと行きましょう。
ドリボ見たことで俄然、Endless SHOCKのライバルやって欲しいな…って願いが強くなっちゃったな!

嫌な情勢だけど、連日の過熱報道に、風向きはほんの少しずつ変わっているように思います。10/2の発表まで胃が痛いのは変わりませんけどね。

私はドリボ見て、翔太くんはもちろん、この人たちこんな事で板の上から引きずり降ろされてはいけないって強く思ったし、自分の「好き」の気持ちだけは絶対に曲げない!と強く誓いました。

自分のした事は、必ず帰ってきますから。
アサヒ社長の発言だって、サントリーの社長の所業だって、芸能人様が日々放っている言葉たちだって、こちらが何もしなくたっていつか必ず返ってきます。それが私たちの知らないところの何かだったとしてもね。

だからこそきっと、今この状況下で自分がしたことは、必ず何らかの形で自分に返ってくると思っています。それなら汚い言葉を吐くより、大好き大好き!っていっぱい言っていたいなと思ったところです。

ということで、私のDREAM BOYS語りは一旦締めようと思います。

お付き合いありがとうございました。
DVDが発売された暁には、きっとまた改めて。

この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?