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〜2人にしかわからない 愛〜映画『流浪の月』


映画『流浪の月』を観に行ってきた。『流浪』の意味は“住む場所を決めず彷徨い歩くこと”。そう、彷徨っている2人の物語だった。

2人しかわからない…あの独特の世界観が良かった。なぜ、いつも助けてもらいたい相手が彼なのかは、なんとなくわかる。

自由にさせてくれるからだ。

彼はいつもきちんとした生活をしている。規則正しく起きて、栄養バランスのとれた食事をして、部屋も整えられている。

だけど、彼は決してそれを相手に強要しない。居たければ居てもいいと言ってくれて、帰りたければ帰ればいいと言う。

夕ご飯にアイスクリームを食べたいと言ったら叶えてくれる。ピザをとって、お布団で寝転がりながら食べたりする。そして、彼女の気持ちを尊重しながらも彼自身もまた、夕ご飯の代わりにアイスクリームを食べたり、ピザをかじってみたりして、わかろうと理解しようとしてくれるのだ。

こんなの、居心地が良すぎる(笑)。だって、大抵の大人は注意するでしょう?そんなの、ダメだよ。お行儀が悪いよ。栄養バランスのうんちくを言われたりとかね。

彼女が、彼女のままでいて良くて、それを受け止めてくれる。こんな人、現実にいるだろうか…? 強要しない人。

そして、寄り添ってくれる人でもある。彼女もまた『ポー詩集』を読んで彼を知ろうとする。そして彼はお返しに『赤毛のアン』を読んでわかろうとしてくれる。

彼と一緒に居れば、夜の怖いことも起こらない。彼女にとって、彼は避難場所だった。唯一「助けて」と言える相手でもあった。

「助けて」と言うのは、とても難しい。「助けて」と言うには“この人は絶対に受け止めてくれるだろう”という確信がないと言えない。

映画の序盤で、こんなやりとりがある。

「わたしはここにいたい」
「じゃあ、いればいい」
「わたしがここにいたら、文はタイホされるかもよ。いいの?」
「よくはない。でも、いろいろなことがあきらかになる」
「あきらか?」
「みんなにばれるってこと」
「秘密」
「文の秘密ってなに?」

映画の最後に、その秘密が明らかになる。秘密を打ち明けることは勇気がいる。“自分を否定されてしまうかもしれない”そんな恐怖がある。

唯一の秘密を打ち明けることができる人。助けてと言える人。傷を晒すことができる人。もしも、傷を晒して、それを受け止めるあえるなら、お互いが唯一無二になる。

映画は俳優さんたちの演技が素晴らしく魅了されてしまった。エンディングテーマが曲のみ、言葉が使われていないのも良かった。

映画があまりに良かったので、原作も買い読んでいる。才能のある人たちが集まって、1つの作品を作り上げる。とても熱量を感じる作品だった。

とても丁寧に作られた映画だ。まだ観ていない人はぜひ観に行ってほしい。では、おやすみなさい。

また明日!

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