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水疱瘡キャンディーとピンクの生まれつきのあざから始まって、ワクチンにすっかり詳しくなった話


ジェン・ギタート

アメリカのワクチン支持の親たちのサイト、Voices for Vaccines http://www.voicesforvaccines.org/ に掲載された記事。 Voices for Vaccines (VFV) から許可をいただいて、翻訳しています。
元記事へのリンク
https://www.voicesforvaccines.org/how-a-chickenpox-lollipop-and-a-pink-birthmark-got-me-all-worked-up-about-vaccination/
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息子のコールが10か月だった時、ご近所のメリッサが4歳の娘ちゃんに水疱瘡キャンディーをあげるつもりだと教えてくれました。


メリッサと私は、二人ともいわば学歴高すぎで、子育て疲れして、ヨガ好きで、シアーズ先生の育児書を読んでるような、ベイエリアのこの辺によくいるタイプのママでした。それでも水疱瘡キャンディーというのをそれまで聞いたことはありませんでした。


メリッサは、子供たちに水疱瘡ワクチンを打つ代わりに水疱瘡(科学的には水痘という)にかかった友達を抱きしめさせたり、ペロペロキャンディーを一緒にしゃぶったりさせるのだといいました。水疱瘡にかかったバークレーの小さな女の子が10本のペロペロキャンディーをなめ(ラッキーな子―甘いキャンディーのおかげで痒さを少しでも忘れられたならいいけど)その子のママが気前よく自分の子どもに自然免疫をつけるチャンスがあればと願っている親たちに、キャンディーを分けてくれるのだというのです。


私はメリッサの誠実で知性的な人柄をとても尊敬していたのですが、彼女は私に向かって水痘ワクチンは水疱瘡に対する予防ではベストの方法ではないと説明してくれました。水疱瘡は妊娠中の女性と胎児にとってはとても重い病となることが多いと言いました。そしてワクチンによって得られる免疫は 十分に検証されていない。そしておそらく普通に水疱瘡に感染して得られる免疫よりも弱いのだというのです。さらに、この病気はかかった子供にとってはイライラして辛いけれども、ほとんどの場合何の害もないのだと言いました。


メリッサはワクチン一般については賛成でも反対でもない考えでしたが、、すべての子どもが生後半年から1歳半までに接種するというCDC(疾病予防管理センター)の推奨する水痘ワクチンについては、良くない公共政策だと強く主張していました。彼女は自分の娘が水疱瘡キャンディーを舐めるほうが大人になってから、そして最悪の場合妊娠中にこの病気にかからないようにするためのより良い方法だと頑固に信じて譲りませんでした。


メリッサは私もコールに水疱瘡キャンディーを舐めさせるようにしたほうが良いかもしれないわよと提案してきました。(うちの上の息子はもう予防接種をしていたのです)


話を戻して説明させてください。メリッサと娘ちゃんは単なるご近所ではありませんでした。私たちのコハウシング共同体(所有者が集まって家を建てるタイプの住宅団地または共同で建設するマンション)のメンバーでした。他の6家族とメリッサの家族と我が家はある種の拡大家族のように暮らしていたのです。子どもたちは共有の庭で一緒に遊び、よく食事を共にしたり、お互いの子どもを預かったりもしていました。お互いの生活は深く絡み合っていました。


それからの数日、私と夫はこの話について調べ始めました。もしかするとメリッサが正しいのかもしれず、子供たちに免疫を付ける良い方法なのかもしれない。調べて分かったことで、私たちは恐怖で動揺してしまいました。


最初に、動揺しなかった部分ですが、水疱瘡ワクチンはとても効果がありました。1996年にすべての子どもにワクチンが推奨されるようになってから、水疱瘡の病例数は9割減少し、水疱瘡による死亡例は88%減少しました。 


さらに私と夫は、メリッサが主張していたように、この病気が時として重症化して妊婦に命に係わる肺炎を引き起こしたり、胎児に先天性障害を起こしたりすることを知りました。けれどもこの病気は誰にとっても危険になりうるものでした。通常は熱と気分の悪さ、たくさんのすごく痒い発疹を起こすだけなのですが、時にずっと重症化して特に子どもは皮膚の二次感染、肺炎を起こし、死亡させることさえもあるのです。


私たちの赤ちゃんが特に水疱瘡の合併症にかかりやすいかもしれないことにも気が付きました。コールが生まれたとき、後ろ頭に奇妙なピンク色の個所がありました。お医者さんによるとコールの頭が正しく発達しなかった場所である可能性もあるとのことでした。場所から判断すると脳を覆って守る膜組織である脳髄膜と皮膚がまだつながっているのかもしれない。手術で治すこともできるけど、1歳になるまで待って決めたほうがいいでしょうとのことでした。MRIで動かないように赤ちゃんに 全身麻酔をかける方が、このまま治さずに1歳になるのを待つよりもリスクが高いのでした。


最近はこのアザについてほとんど気にしないようになってきていました。けれども小児科の先生にメールで水ぼうそうについて聞くと、まだワクチン接種年齢になっていないコールにとって、皮膚感染は特に危険だと指摘されました。先生はどんな手段をとってもウイルスに接触した子供から遠ざけておくようにと 勧めてきました。もし、コールがこの病気にかかって、アザがある後ろ頭に病変が起きてここに二次感染が起これば、髄膜炎になって死ぬかもしれないからというのが理由でした。


死ぬ?


私が心底腹を立てたのはこの時でした。メリッサは病気を広げないように娘を隔離すると言っていましたが、隔離のやり方についての理解は私と同じではありませんでした。彼女は娘ちゃんを共有の庭に出して共有スペースにも連れてきました。そこにあるピアノを演奏するのも、本やおもちゃにも触るの止めませんでした。


だから代わりに私と夫はうちの子どもたちをコミュニティーから隔離しました。表の通りに面している玄関のドアだけを使いました。上の子には家から道路までの私道で三輪車に乗らせず、庭でも遊ばせませんでした。コミュニティーの集会も会食も欠席しました。 水疱瘡の潜伏期間は21日にも及ぶので、コミュニティーに数週間顔を出しませんでした。


私たちにとって、ご近所と付き合わないのは不便でしたが、幸いなことにコールは水疱瘡にはっかりませんでした。(実はメリッサの4歳の娘ちゃんも、キャンディーが効かなかったらしくかかりませんでした。)そしてようやくコールがMRIを受けることができた結果、アザは単なるアザで、結局のところ、本当に危険なことは特になかったことがわかりました。


けれどもこの事件のおかげで、私はワクチンについて考え、読み、学ぶことになりました。そして、息子の小さな傷つきやすいアザについて、私が抱いた「息子を守らなくては」という感情は、アザも水疱瘡も超えて広がっていきました。


ワクチンを打たなかったために病気になったり死んだ子どもたちと子供たちの両親を思うと胸が痛みます。免疫不全があるか、2か月で百日咳で死んだブラディ・アルカイディのように予防接種には小さすぎたりでワクチンが打てなかった子どもたち。3歳でヒブで死にかけたマシュー・ラセックのように両親が子どものために最良のことをしていると考えてワクチンを打たなかった子どもたち。あるいはソフィー・ゼナッキーのようにワクチンは打っていたけれどもワクチンを打っていないで発病した子供と一緒に大陸を横断するバスに乗っていたために百日咳にかかってしまった子供たち。


私にとってこの水疱瘡事件は、ワクチンを打てないか、ワクチンでは守られない(ワクチンは種類によって90%から100%有効とされている。)少数を、集団の多数がワクチンを打って守るという集団免疫についての実物教育でした。私が話をしたワクチンを打たない選択をした親たちの多くはこのコンセプトをぼんやりとは理解しているものの、打たないという判断には強く影響はしていないようでした。 


親たちが考えているのはワクチンを打つこと対打たないことの相対的なリスクについて、で、様々な理由でワクチンを打つ方が打たないよりも危険だと決めているのです。自分の子供たちが麻疹や百日咳のような病気ににかかるとは考えていないし、何かにかかったとしてもその病気で死ぬとは思っていません。たぶんこれは正しい考えです。他の人たち、私たちのほぼ全員がワクチンを打っている限り、この集団免疫の中に隠れていることができます。けれどもある時点で免疫率が必要な水準以下に落ちてしまうとこうした病気はまた忍び寄り始めます。自分たちの友達の子供は元気でいるかもしれませんが、知らない誰かの子どもで、自分たちには想像もつかない理由で病気に弱い部分がある子どもはそれほど幸運ではないかもしれないのです。

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* 名前はワクチン受けている子も受けていない子も保護するために仮名になっています。

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