#295 過去の自分と向き合うという事

僕は彼女に対して申し訳ないという気持ちを抱いておりながら何もすることが出来ずに卒業してしまった。この日、彼女とすれ違った事で忘れかけていたその思いを思い起こした。その瞬間僕はすれ違った彼女を追いかけていた。
迷わず僕は彼女に声を掛けた。彼女は突然の僕の声掛けにも関わらず止まって聞いてくれた。僕は無理を承知で少し時間を取れないか彼女にお願いした。
彼女は快諾してくれ、東急デパートの向かいのビルの2階にある喫茶店に二人で入った。
突然知り合いとすれ違い、ちょっと行ってくるとその場を立ち去った僕を追いかけて悪友達も後を追いて掛けてきた。同じ店に入り、遠くの席から僕達の様子を見ていた様だった。
僕は彼女に出会い、時間を作って貰えた事実に集中しており、悪友達の存在は気にしない様にしていた。
僕は2浪して大学に合格し、今地元に来ていることを話し、彼女からも近況を聞くことができた。大学へは進まず、美幌の町役場で働いているとのことだった。お互いの近況を話した後、僕は高1時代彼女と僕の仲を疑われ、付き合っているのではと噂されたことに困惑し、突如彼女を避けるようになってしまったことを素直に詫びた。僕は卒業してからも申し訳ない気持ちを抱えていたことを話し、こうして直接会えて思いを伝えられたことが嬉しいと伝えることができた。彼女は笑いながら気にしていないと言ってくれた。
その後、2~3時間いろいろ話をし、彼女の美幌へ帰る汽車の時間が近いという事だったので駅まで送っていった。
僕は別れる際、時間を作ってくれたことへの感謝を伝え、笑顔で送り出した。
高校卒業後、胸の中にあったつっかえの様な思いが解消された瞬間だった。
あの時の自意識過剰で幼稚な行動が高校3年間、異性や友人に対して奥手になってしまった要因だった。
この4月から大学に行く前に、その感情と向き合え、迷惑をかけたであろう友人に直接会ってお詫びを言えたのは僕にとって大きかった。
その子が今どこでどうしているか全く分からないが幸せを感じてどこかで平穏に暮らしていること願っている。


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