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運命論者の「別れる決心」感想は

「別れる決心」は「見る」で決まっていた。2022年10月の渡韓時に見ようとしたくらい。
理由はパク・チャヌクなら見るしかないという選択と、BTSのリーダーRMが心酔していたからだ。

結局、ぜったいにネタバレを受けたくなくて日本公開初日に見に行き、ストーリーが追いきれずに2回目を見た。

この感想をかきながら、なんだか自分のダメなところを抉りとられたようで、反省しきりとなった。

(ネタバレします)





□「運命」に抗わずに生きること

主人公へジュンに惚れられたソレ。密航して乗船者の中で唯一生き残って韓国に難民移住する。
最初の結婚は劇中明言されないが入管で助けられた相手のようだ。ソレは流れるように抗えずに生き延びて、夫を殺すことを選ぶ。
担当刑事の利己的ともいえる捜査過程で、捜査を撹乱し、白確定判定を出した後にぶっ壊れた担当刑事を見て愛してると思いはじめる。
13年の空白。
その間に金持ちの中国人を詐欺る投資家と結婚し、大口の詐欺が成功する前に夫は騙した中国人に殺されてしまう。

拠り所を完全に失った人生の中で、その時の最善の選択をソレはしているように見える。
中国人だから「簡単な韓国語」を話されてしまうことも、「孫娘」として介護に駆り出されることも、そして「外国人で女だから容疑者と見られる」ことも少し嫌そうな顔をしながら現況を受け止める。へジュンに愛されるということさえもただただ運命の流れを受け入れているだけに見える。

一方のヘジュンは「刑事」としての役割が目指すべき人生の目標、夫としての一般的な役割。それらをこなそうという姿勢は感じるけれどそれがどんな情熱からくるのかは全くみせないへジュン。
こちらもその意味では流されるがままに生きる。

最後に、ソレだけが海岸に穴を掘って自分の運命を自分で選び取る。
ソレが愛してくる男を意志と関係なく断る術なく、それこそオムファタールにされるがままについていっていたとしたら?
愛するということにおいても淡々と運命を受け入れてきたソレが、最後に見せた決断。なんだか選んだこと自体に拍手したい気分になった。

□RMの「Closer」がみせる恋愛映画としての「別れる決心」

私の上記の感想はたぶんに運命論者すぎるし、現実に対して諦めることを受け入れすぎな感想だ。危険思想とも言える。

一方、RMからもらったメッセージはゲロ甘だった。RMのソロアルバムの一曲「Closer」に「別れる決心」のハイライトシーンを合わせたもの。(オフィシャルなのにネタバレ満載)

これを見て映画1回目を見た後だったわたしはこんなに激甘な解釈あるか?村上春樹の小説に出てくる男のようなナイーブさで相手にひとりよがりな男たちの夢のよう、と、思ったのだった。
この悪口はともかく、こんなにロマンティックにも見られる映画なんだなと改めて自分の狭量さに辟易と、いやむしろ清々しく自分の思考回路を変なものとして保存することに決めた。

□それでものこるもやもや点

RMさんが映画で見たと激推しするので、劇中に出てくるウィスキー「KAVALAN」を事前に買って飲んでいたのだが、無事に映像に確認したもののなぜ台湾のウィスキーなのか?かなりの大きな謎として残ってしまった。意味がないということは無さそうなんだけど。
美味しいので買ったことはまったく後悔してないけど、もやもやしたままです。

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