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5ヶ月の感慨

新刊『トークの教室』のサイン本を作るため、出版社に行った。
エレベーター横にある階数表示を見て、意味のなさに笑ってしまう。これじゃ「編集部に来て」と言われても、どの階に行けばいいのか?(よく見りゃ、2Fにもあるし)
こうなるともう、わざとやってるとしか思えない。

ビルの外には社名の看板が出ている。
「新書河社房出」…ではなく、「河出書房新社」。やっぱり、出版社なので縦書きにこだわっているのだろうか? だったら縦長の看板にすればいいのに。

向かうのは(編集部ではなく)会議室なので、エレベーターで迷わず7Fに行ける。ここからの眺望はバツグンだ。目の前に国立競技場がデーンとそびえている。
この本に「紙上トークレッスン」という企画の章がある。実はそれ、この会議室で行ったのだ。あまりカタくならないような部屋でやりたいという私のリクエストに応え、編集者がここをおさえてくれた。おかげで、開放感があって、明るいムードでできたのだった。

あの時は企画が始まったばかり。三人の方のトークにアドバイスをしながら、はたしてどんな本に仕上がるのか、まだよくわからなかった。
同じその部屋で、5ヵ月後。出来上がった本を並べてサインしているのだ。窓からの同じ風景を見ながら、(なんとかなるもんだなあ)と感慨深い。もちろん、いろんな方たちの協力のおかげなんだが。

サインを書いている途中で、「紙上トークレッスン」に参加してくれた三浦さんも来てくれた。彼女は河出書房新社で校閲の仕事をしているのだ。
「自分の喋りを書き起こした文章を、ご本人が校閲したんですか?」
「そうです」
「直したくなりませんでしたか?」
「なりました!」
でも「事実を曲げてはいけない」と、校閲のプロとしてグッと我慢したという。

サイン本がどの本屋さんに並ぶのか、私は一部しか知らない。
「トークの本? 面白そうじゃないか」という書店員さんとか、「ラジオ好きだから店頭に並べてみよう」という書店員さん、あるいはごくごく少数ながら「藤井青銅の本? 並べといてやるか」という書店員さん…など、面白がっていただける本屋さんに並ぶのだと思う。

どこかの書店で見かけたら、手に取ってもらえると嬉しい。


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