トーク本

このYouTubeをご覧になった方は多いでしょう。「東京ドームへの道」。
5′15″あたりから、
若林「トークの本を作ればいい」
青銅「需要あるのかな?」
という会話があります。

これ実は、二人の間で何度も交わされた定番のやりとり。 つまり、実現しないことを前提にそれを面白がる、というパターンですね。
ところが、これを見て「それ、ウチでやりませんか」という出版社が現れたのです。

しかも、私が仕事をしたことがない出版社。当然、会ったことがない編集者から、です。
とはいえ、まったく縁がないわけではありません。河出書房新社の『向井と裏方』という本があり、そこに向井さんと私の対談パートがあります。ちょうどそれに関する事務的なメールのやりとりをしている最中で、その編集者が声をかけてくれたのです。

けれど、依然として私は、
(う~ん、ぼくのトーク本って需要あるのか?)
と半信半疑。
メールのやりとりはしたけど、会ったことはない。
「とりあえず一回お会いしましょう」
と初めて河出書房新社に行き、編集者に会いました。

編集者は、テーブルの上に、すでに世の中にある「話し方」「雑談力」「プレゼン術」「ビジネストーク術」なんかの本をドン積み重ねていました。
「ああ、トークの本って、すでに世の中にそんなにあるんですね」
というのが私の感想。
そして、これは口に出しては言いませんでしたが、
(そういったビジネスのためのプレゼン術や雑談力などを謳った本や、自己啓発本っぽいものだったら、私がやることじゃないだろう)
と思っていました。

驚くべきことに、編集者はすでに、丁寧に章立てした構成案まで作っていました。全体が8章立てで、各章には小見出し項目までついています。しかもそれをよく見ると、過去の私の本や発言から引用した項目もある。おそらく事前に読んでくれたのでしょう。
(短い間に、ここまで考えてくれたのか!)
と感動しました。

なんでも編集者ご自身が「話し下手、議論ベタ」だと自認していて、これまでにコミュニケーションに関する硬軟それぞれの本を作ってきたとのこと。その上で、
「今回は、既存のトーク本とは違うタイプの本ができると思う」
と言われました。

実は、私は内心、
「もし本にするとしたら、単行本ではなく、気軽に買える新書の方がいい」
と思っていました。河出には新書がありますからね。
はからずも、編集者から
「新書がいいと思うのです」
との言葉。お互いのイメージが一緒なら、きっとうまくいく。
「やってみましょう」
となったのです。

ちなみに、この時編集者が用意し、私が感動した構成案は、いざ書いてみるとほとんど無視してしまうことになります。モウシワケナイ!
でも、そういう基本のタタキ台があるから自由に脱線できるということは、よ~くわかってますよ。感謝!

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。