見出し画像

2024.3.5 戦いの原則


はじめに

 私の見解を主軸にして述べますが、明らかにおかしなところがありましたらご連絡いただけると幸いです。

戦いの原則とは

 私の意見だが、戦いの原則とは戦いに勝利するために「意識」すべき諸原則である。この諸原則は国ごとの特性に応じて若干あるいは大きく変化する。陸上自衛隊では、目標・主動・集中・経済・統一・機動・奇襲・保全・簡明の9つを「戦いの原則」として作戦行動時に守るべき基本理念としている。
 
 なぜ「遵守」ではなく「意識」と表現したかというと、9つすべてを網羅した行動は困難であるため。後々、9つの項目ごと説明していくが、それぞれが連接している原則があれば相互に矛盾している原則も存在する。なにより作戦行動中は不確実性や流動性が極めて高く、瞬間瞬間で状況が変化していくこともある。その環境では9つでなくとも例えば5つ遵守することすら難しい。

 また、戦いの原則は、各国の研究機関が古今東西の戦史(=戦いの歴史)を分析して「勝者が勝者たり得た要素」と「敗者が負けた要素」を導き出したものである。古代〜中世〜現代の戦のなかでいったい誰が、当時まだ認知されていない原則に従って行動し、しかも通信が未発達の時代に部隊に徹底できただろうか。現代を戦う陸上自衛隊においても作戦立案から作戦行動の一連の流れのなか、最初から最後まで「遵守」することは難しいと私は考える。

 このため「意識」とした。
 
 作戦立案の初期段階から、可能であれば指揮官が「この原則を遵守したい」のように示し、遵守すべき原則を常に念頭に置いた計画を作成していく。これによってブレのない一貫性のある行動が期待でき、不測事態が起きたとしても遵守する原則にあわせて、ほかの原則は「意識すべき原則」として考えることで、上級部隊からの命令を受けるいとまがない状況にあっても各部隊が統一性ある行動ができる、と私は考えている。陸自勤務中にこのように示していただける指揮官を私は見たことがないが、概ねどの部隊でも暗黙的に遵守すべき原則と意識すべき原則に区分して思考していると思う。そもそも私の個人的意見であるが、原則が適用されていたか否か、どれをいくつ適用できていたかなどは終戦後にやっと分かるものではないのか。であれば、我も敵もそれぞれの組織が定めた戦いの原則をいかに多く自分側に適用し、相手側の適用を妨げるかが互いの焦点になるといえる。

 文が長くなっていき脱線の感もあるため、ズバリ言ってしまうと「戦いの原則をまったく意識していない」又は「原則の逆を行う」あるいは「原則の逆を行うことを強要されてしまう」ことは敗北に直結することは間違いない。なぜなら前述の通り、戦いの原則は過去の戦いにおける戦訓(=戦いの教訓)から生まれた経緯を持つため、原則に反すれば当然待っているのは「敗北」である。「敗北」が何を意味するかは今後記事にしていく。

 それでは、戦いの原則をそれぞれの項目ごと理解していこう。

(次に続きます)

 様々な分野の情報発信をしていきますので、たまに覗いてやってください。
 よろしくお願いします。http://www.sayfirst.jp


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?