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小学四年生の時の記憶。

この前ふと、小学四年生の頃を思い出した。これは生涯忘れないだろうと思うほど鮮明に覚えてる出来事。

引っ越してしまう男の子のお別れ会をした日のことだ。多分、授業をひとつ潰して開催してたと思う。班ごとにそれぞれの出し物をやって(多分…)、最後に彼の挨拶という場面。いつも思い出すのはこの場面。

彼は先生に呼ばれ登壇した。みんなに挨拶をさせるつもりだったのだろう。でも、彼は斜め下に視線を落としたまま何も言わない。ずっと黙ったままだった。沈黙。5分とかそこらなんだろうけど、とてつもないほど時間が過ぎた気がしてた。すると先生は急に立ち上がり彼を怒鳴りつけた。
「何で、お前は何も言わないんだ!お礼も言えないのか!」内容はこんな感じだったと思う。
それでも彼はうつむいたままだった。唇を噛み締めていたようにも思う。かなり鮮明に覚えているので、幼い自分にとっては衝撃的なことだったと思う。とても苦しそうだった…とだけ覚えてる。そして自分も辛くなったのを覚えてる。

大人になって使える言葉が増えて、その当時の自分の気持ちを代弁するなら、それを見ていた私はハラハラと落ち着かなくなっていた。彼は口を開いたら泣くんじゃないか?とそんな風に私には見えていた。彼はクラスのみんなとも仲良く、みんなより少し背の高い元気な男の子だった。4年生なら「ありがとう。お元気で」くらい言えないわけない。もしかしたら、あと数秒待ってたら言葉が出て来たかも知れない。自分の感情が落ち着くのを待っていたのかも知れない。でも先生は怒鳴りつけてしまった。感謝の気持ちも伝えられない、もしくは感謝の気持ちがないと判断してしまったのだろう。彼の気持ちを促すように誘導することは出来たんじゃんないかと、大人になった私は思う。事前に何か考えて来なさいとは伝えていたのだろうか。書いたものを読んでもいいからと、伝えていただろうか。
あの教室にいた友達は、先生より彼を理解していたのではないか、、とそんなことを思ってしまう。

熱血感の強いタイプの先生だった。今となってはガチ体罰になるだろうけど、当時は分厚定規でケツバットが得意。何かにつけて、教室の前に出されてお尻を叩かれていた。とんでもないほど痛いし、怒りでその定規が折れたことがあった。何でそんなに怒ってるのか当時の私には理解できなかったけど。でも、テレビ漫画の主人公を上手に描く人で、スケッチブック持っていって良く描いてもらった。そんな一面もあってので、私は嫌いではなかった。


“そうじゃないんだよ”と心の中で叫ぶM君、“情けない!”と怒りをぶちまけたY先生。植え付けられた罪悪感が呪いのようにも思えた。お別れ会はそんな感じで中断。彼が席に戻され通常モードになる瞬間に、みんなで作った飾りの花紙の花が、天井から1つだけヒラヒラと床に落ちた。“悲しいなぁ”と小学四年生の私は思っていた、遠い記憶…。

彼は今でも覚えているだろうか。
あの時の情景は今でも鮮明だ。一生忘れることはないだろうな。

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