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[小児科医ママが解説] ダラダラつづく「下痢」。いつ受診する?



冬に流行しやすい胃腸炎。

胃腸炎の原因となるウイルスは、のきなみ、アルコール消毒が効かないため厄介ですよね。

そんな胃腸炎ですが「下痢が完全に治るのは、時間がかかることもあるよ」というのを、前回の記事で触れました。

今回は「下痢がダラダラつづくときの、受診の目安」を解説します!

受診の目安(1) 1週間以上つづくとき。


発熱や嘔吐もないし、元気。
ご飯もまずまずだし、水分もOK!
でも、下痢だけダラダラ。

そんな時、まず数日〜1週間ほどは、様子をみて良いかもしれません。

1週間以上つづくとき、受診をしていただくと、
整腸剤を処方されるケースが多いと思います。

良い腸内細菌をお腹にいれて、調子を整えてあげよう!という感じですね。

【整腸剤 の例】
・ラックビー
・ビオフェルミン
・ミヤBM
・ビオスミン
・ビオラクト
・ラクトミン …etc

乳幼児のお子さんだと、整腸剤はすべて「粉」のお薬になります。

強い味はついておらず、わりとどんな飲み物や食べ物に混ぜても、食べられるお子さんが多いです。
シロップのお薬しか飲んでくれない、というお子さんも、一度トライしてみる価値はあります。

なお、他に鼻水のお薬などでシロップの処方薬があれば、
それに整腸剤を混ぜて、一緒のタイミングで飲むのも良いでしょう。

また医療機関や医師によっては「止痢薬」を処方される場合があります。
(ロペミン、アドソルビン、タンナルビン etc)
「下痢を止める」薬、とあるので、効きそうじゃない?
と思うかもしれませんが、必ずしもそうではないのが、難しいところです。

「下痢を出す=ウイルスを体から排出する」ということなので、
下痢を無理に止めようとすると、ウイルスが体から出ていきにくい、
つまりかえって治りが悪くなる場合もある、ということです。

整腸剤しか処方されなくても、全く問題はありません。
まずはしっかり整腸剤を飲みましょう。

受診の目安(2)薬を飲んでも、1週間以上つづくとき。


あれ、もらった薬ちゃんと飲んでるのに、治らない…

こんなケースも、実は少なくありません。
これは、薬が悪いのではなく、「二次性乳頭不耐症(にじせいにゅうとうふたいしょう)」という状態が考えられます。

胃腸炎のあと…

ウイルスによって、腸内細菌の環境が一時的に乱れる。
→ 普段はちゃんと分解できていた「乳糖」が、分解しづらくなる。
→ 下痢がつづく。

という流れです。

乳糖はわりと幅広い食品や飲み物に含まれていることがあり、
そのためダラダラと下痢がつづくんですね。

こんなときは「乳糖の分解を助けてあげるお薬」を追加します。

【乳糖分解酵素剤 の例】
・ガランターゼ
・ミルラクト
・βガラクトシダーゼ

こちらも粉ですが、ミルクに混ぜて赤ちゃんも飲んだりするようなお薬です。
ミルクを卒業したようなお子さんでも、わりと何の食材に混ぜても飲みやすいかと思います。

(2)乳糖分解酵素剤を飲んでも全く改善がない場合は、さらに受診が必要です。
ただし、明らかに良くなってきている場合は、飲みきったあと、様子を見ても良いでしょう。

お子さんにもよりますが、(1)の整腸剤と合わせて飲みはじめれば、
1〜2週間以内で落ち着くケースが多い
と思います。

なお、(1)の整腸剤から、完全に(2)の乳糖分解酵素剤に切り替えて、処方される場合もあります(つまり、整腸剤は一回やめる)。

絶対の正解はないので、これもまた、問題ありません。
不安で整腸剤も飲んでおきたい、というのであれば、医師に伝えていただくと良いと思います。

受診の目安(3)お尻が、赤くなったとき。


下痢がこれだけダラダラつづくと、お尻がまっかっかになるお子さんも多いです。
下痢にふくまれる消化酵素などが、肌に悪さをあして、赤くなるといわれています。

まずは、保湿剤で様子を見てもよいですが、
ヒルドイドなど、血行を良くするタイプの保湿剤だと、
かえって赤みがひどくなる
こともあります。

あまり我慢せず受診して良いでしょう。

処方されるお薬の可能性は、下記があります。

【亜鉛が入った塗り薬】
・亜鉛が炎症をおさえたり、肌を保護したりしてくれます。
・白くて、もったり、という感じの薬です。
・完全にふきとらなくても、重ね付けのようにして、1日何回でも塗れます。
(亜鉛華軟膏、サトウザルベ etc)

【ステロイドの塗り薬】
・炎症をおさえる薬です。
・お尻であれば、わりと弱め〜マイルドな強さのステロイドが出されることが多いです。
・1日1〜2回など、指示どおり塗ってください。
(ロコイド、キンダベート etc)

【「ステロイドではない」炎症をおさえる薬】
ステロイド以外にも、炎症をおさえる薬があります。
(アズノール etc)

いかがでしょうか。

ただでさえ大変な胃腸炎。
そのあと元気になったとはいえ、下痢がつづくと、日々のケアも大変ですよね。

適切な受診のタイミングを見計らって、いちはやく、
お子さんが回復するお助けになれば幸いです。

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