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肩関節の腱板筋について~小円筋・肩甲下筋~

今回は、肩関節の腱板筋についてあまり話題に上がりづらい小円筋、肩甲下筋の解剖についてまとめてみます!

上記の腱板のイメージでは、最前方と最後方になります。
肩甲下筋と小円筋で、棘上筋と棘下筋を挟むイメージです。

赤羽根良和先生の本から添付しました。

説明を加えますと、肩甲下筋は内旋運動、棘下筋・小円筋は外旋運動に寄与するとともに、その大部分の作用ベクトルは、求心力となるため、肩関節の安定性に極めて重要な筋肉である。と記述されています!

小円筋


 SBBCS主催近江冬の陣‘22の中で中川宏樹先生(名古屋スポーツクリニック)もリトルリーガーショルダーの選手に小円筋は重要だと述べられていました。
 小円筋の機能解剖についてまとめてみたいと思います。

 棘下筋の下に位置する小円筋は、肩甲骨背側外側縁から起始し、上腕骨大結節の後下部に停止する筋と記載されている。筋線維束の走行をよく観察すると小円筋は上部と顆部に分けられます。上部は肩甲骨外側縁下方から起始し上腕骨大結節後下部に停止、下部は棘下筋との間にある腱性の強い筋膜組織から起こり上腕骨外科頚に付着する。神経支配は、三角筋と同じ腋窩神経(C5,6)です。
 詳細を知りたい方は、成書でご確認ください(^^♪

次に、肩甲下筋についてまとめてみます。

肩甲下筋


 肩甲下筋は停止部についてさらに詳しくまとめてみます。
 最外側では小結節前方突出部から尾側へ約4㎝を占めるが、停止領域は尾側に向かうほど狭くなる。その上方2/3が腱性、下方1/3が筋性に上腕骨へ付着している。
 最頭側は小結節の上面にあり、さらに上方へ薄い腱性組織(新井らは「舌部」と仮称している)が伸びだしてfovea capitis of the humerusに付着している。結節間溝はLHBの導通路であるが、肩甲下筋腱最頭側停止部が小結節に続く腱性の内側壁となり、舌部がLHB滑走床を形成することで、LHB導通路は結節間溝からさらに上方へ延長されるようになっている。
肩甲下筋の停止部は頭尾方向に長いが、なかでも小結節上面に停止する最頭側停止部が最も重要である。複数の肩甲下筋腱内腱が腱性停止部のより頭側寄りに集束して停止しており、小結節の上から押さえ込むことに多くの筋ボリュームが費やされていることが示唆される。したがって、棘上筋・棘下筋の断裂規模で想定される以上に肩甲下筋断裂が骨頭を上方化させている可能性はあると思われる。
 また、肩甲下筋腱最頭側停止部は、上関節上腕靱帯/舌部複合体を下支えし、さらにLHBが大きく方向を変える箇所でLHB導通路の内側壁を構成している。肩甲下筋最頭側停止部はLHB内側脱臼を防ぐ鍵となる構造であると言える。

他の肩関節に関わる筋


肩関節の筋について幅広く確認したい方は、

をご参照ください‼

 小円筋、肩甲下筋、どちらも当然、腱板筋なので関節包を引き出します。挙上時に、この作用が大事だと考えています。特に、肩関節周囲炎や骨折後で拘縮が残存したり、投球障害肩でMER時に骨頭が後下方に引っ張れず、痛みがある選手には非常に大事になってきます!
 また小円筋は3rdでの外旋、肩甲下筋は2ndでの内旋での筋出力、動作分析をすることも挙上制限をみる上で大事だと考えています。胸郭が後弯、肩甲骨が後傾できない人は、、、
 詳しく知りたい方は、10月8日㈯に横浜で会いましょう☆彡

引用参考文献


林典雄監)、赤羽根良和執):肩甲上腕関節における安定化機構、動的安定化機構、、腱板、肩関節拘縮の評価と運動療法、運動と医学の出版社、2013、P27~30
浜田純一郎):肩関節の解剖 小円筋の臨床に関係する解剖と筋活動、秋田恵一他):運動器臨床解剖学―チーム秋田の「メゾ解剖学」基本講座―、全日本病院出版会、2020年、P52~59
新井隆三):肩関節の解剖 腱板前上方断裂に関する解剖、秋田恵一他):運動器臨床解剖学―チーム秋田の「メゾ解剖学」基本講座―、全日本病院出版会、2020年、P40~45

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