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古代中世言語好きがオススメする歴史漫画

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古代ギリシア語や中世ラテン語にどっぷりハマり、リアル書店という場をこよなく愛する(というか自分でいつか経営したいとまで思っている)ライターが、古代・中世を舞台にした歴史漫画のオス… もっと読む
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#古代ローマ

【古代中世言語好きがオススメする歴史漫画(7)】暴虐の皇帝ネロを主役に据えた『我が名はネロ』(安彦良和先生)のラストに不覚なほど涙してしまいました

機動戦士ガンダムのキャラクターデザインで有名な安彦良和先生は歴史漫画の名作も多く手掛けており、このマガジンでも以前に『アレクサンドロス』を紹介させていただきましたが、 家族コンプレックスにまみれた男性を描くと筆が冴えに冴える先生が、あの皇帝ネロを主人公に据えたとなると、これは近親相関や家族殺しや嬰児殺しや性的虐待がしつこいエグい漫画になるだろうな、と思っていたら、ハイ、描写としてはまさにそのとおり。むしろ予想以上にウツになる陰湿さでした。 ところが本作『我が名はネロ』は残

【古代中世言語好きがオススメする歴史漫画(3)】目の前で数万人が死んでも明るく前向きな人たち:『ヘウレーカ』に描かれた古代人像の不思議な説得力

岩明均先生が古代のシラクサ戦争を描いた『ヘウレーカ』は、古代最高の(ひょっとしたら世界史上最高の?!)数学者であるアルキメデスを描いた作品です。 ただし、アルキメデスの数学者としての事績については、ほとんど触れられていません。 シラクサ戦争における伝説、「この戦争にはアルキメデスも新兵器の発明でおおいに参戦した」という一点を掘り下げた、「古代の戦争にまきこまれたアルキメデスとその仲間たち」の物語です。 アルキメデスの「シラクサ戦争への参戦伝説」とは、西欧に古くから伝わる