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「自分もがんばろう!」という気持ちがグンと高まる、バルセロナで政府公認ガイド資格を取った日本人の方の奮闘記をご紹介!

今回は、このnoteのメインテーマ「日本マンガの海外展開」や「外国語学習」からの派生テーマとして、「外国で働きたい」という夢を持っている人にはとても参考になる本を見つけたことの、紹介記事となります。バルセロナという異国の地で働くことの感覚がわかるだけでなく、「僕も、私も、何かやってやろう!」という気持ちが高まる本となります!

著者は、山田修平さんという、日立製作所からの出向でバルセロナで働いていた方。前半が「いかにしてバルセロナ現地の仕事を得たか」、後半が「バルセロナの観光案内」となっている本です。

その後半部分も、現地に長年暮らしている人でないとわからない細かい情報がいっぱいで魅力的なのですが、私にとってたいへん興味深かったのが、前半でした

後述しますが、バルセロナという街は、私のnoteのメインテーマである「日本マンガの海外展開」においても何かと地名が出てくる「ヨーロッパマンガの超重要拠点」!そういう意味からも、バルセロナでの日本人の成功体験である本書には、いろいろとインスパイアされた次第です!

日立のサラリーマンが、スペインの政府公認観光ガイドに転身するプロフェッショナルな物語!

この本の著者は1939年生まれということで、私にとっては両親の世代よりももうちょっと上くらいの年齢の方です。つまり、モロに昭和高度成長期を駆け抜けた企業戦士とお見受けします。

とにかく文章が、細かいところまで親切丁寧で、実直で、そのいっぽうでものすごい精神のタフネスさも感じさせる文体でもあるのです。

たとえば「この本を書くのに、慣れないパソコンを必死で使いこなそうとしたが、新規保存と上書き保存を押し間違えて、いっかい、まるまる中身を消しちゃいました!」みたいなことがカラリと端書に載っているのです。たしかに私の両親も、パソコンをうまく使いこなせないところは前向きな精神と努力根性で突破してしまうところがあるので、この世代のこの力強さはとても好意が持てます。24時間戦えた世代の芯の強さ。ましてこの方は、日立を代表してスペイン人たちと交渉をやっていた方ですからね。

それでいて、ガツガツ・ギラギラした印象は、受けません。

とても気さくな年配の男性の方が「スペインで働いていたのだけど、こういうことや、ああいうことがあった」とにこやかに話してくれている感じの文章ですが、聞けば聞くほど、「この人、凄い人なんだ!」と圧倒され、最終的には、「ぼくもがんばろう!」という気持ちが、燃えてきます。

何が凄いかというと、この方、リタイアしたあとにスペインに残って勉強を続け、スペイン政府が公認する観光ガイドの資格をとっちゃった人なのですね。はい、日本の旅行会社が派遣するツアコンではなく、現地の政府公認の資格です。スペイン人にとっても難関のはずの資格を日本人がとっちゃっているのです

「ということは、スペイン語の筆記試験や面接試験を突破したということ?」と思った方、まだ甘い。この方が得た資格はバルセロナで働くための資格です。近年「スペインからの独立」を叫んでもめている、あのカタルーニャ州です。当然、ここでガイドの資格を得るには、スペイン語とカタルーニャ語の二つの言語で試験を突破しなくちゃいけません

どうやってスペイン政府の超難関資格を突破したのか、その手順が興味深い!

いったい、どうやったのか?この本の前半で、とても細かく、その経緯を教えてくれているので、ぜひ、読んでいただきたいと思いますが、私なりに要点だけをまとめると、こうなります。

【1】資格試験を受けるには、スペインの大学卒業が必要とのことなので、まずはカタルーニャ州立大学に入学し、スペイン人の若者たちにまじって勉強して無事卒業した。

【2】その在学中、「お前はスペインの高校卒業レベルの学歴がない」という不条理な指摘を受けたが、教授たちを動かし、最終的には教皇庁に嘆願までして、「日本の高校を出ている=スペインの高校卒業レベルである」ということを認めさせた。

【3】大学卒業後に観光ガイド資格試験にチャレンジしたが、一次試験が超難関な筆記試験で、一回、落ちた。

【4】なにくそと、地元バルセロナの資格学校へ通った。3か月で1000ユーロと安くないコースだったが、夢のための投資と、ボンと乗り込んだ。

【5】二度目の筆記試験を突破した

【6】カタルーニャ語の国歌をまる暗記して、面接試験に臨んだ。「カタルーニャ語はたどたどしいところがありますが、歌は三番までぜんぶ歌えます」とアピールして、熱意を訴えた

【7】スペイン人ですら大量に不合格になる難関試験を、日本人でありながら見事に突破。今では無事、バルセロナで観光に携わる仕事をしております。

いろいろと興味深いのですが、なんといっても【2】が凄くないですか?既に大学に入った後に、ああだこうだと言われたという不条理を、動ずることもなく、なんとかしてしまった手腕に、「ぼくもつまらないことでクヨクヨしていられない」と奮い立った次第です!

うらやましい!スペインの大学卒業証書は国王陛下の名前入り!

これだけのことをした方の話なので、「うらやましい」というのも変な言い方かもしれませんが、やはり気持ちとしては「うらやましい」ところ。

それは、スペインの大学を卒業したら、卒業証書にはスペイン国王の御名前が入っている、ということでしょうか?(※この本の著者の時代は、フアン・カルロス一世の名前、となりますが、2014年以降の今ならばフェリペ六世となるはずですね)。

昔気質な発想かもしれませんが、異国の国王陛下から下された証明書を持っているって、一生の宝じゃないでしょうか。「海外のどこかの国にのめりこんでガンバル」というのも、このレベルまで、できれば到達したい、と思った次第でした。

ところでバルセロナはこのnoteのテーマ「日本マンガ」にとっても超重要拠点!

私がこの本に行き着いた理由の一つは、ヨーロッパにおける「日本マンガ」の展開を考えるにあたって、バルセロナというのが超重要拠点のひとつだからですね。

先日の記事で紹介したスペインのマンガ情報サイト、TEBEOSFERAでも、「スペインのマンガやコミックの出版社はバルセロナに集中している」という統計が出ておりました。スペインのご当地コミックだけでなく、アメコミや、日本のマンガも含めてです。

そしてなんといっても、バルセロナでは、サロン・デル・マンガという日本マンガの一大フェスが、毎年行われていることが重要!

ガウディやピカソやミロを育んだアートの街で、日本マンガがどれだけ健闘できているのか?!

人づてのニュースだけでは「空気感」がわからないので、一度は自分の目で見に行きたいと思っているのですが、これまで機会がありません。

しかし本書を読んだおかげでモチベーションがあがり、がんばっていずれはバルセロナに行きついてみたい、という気持ちを強くした次第でありました!

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!