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感想をことばにできるって、すごいこと

感想を自分のことばにするって、けっこう難しい。でも、自分との比較で語らなくなると、レベルアップするのかも、という話を書いてみます。

そう思ったきっかけ

月に2回、子どもさん向けのシナリオ講座『考える部屋』というのを、オンラインでやっています。開始から丸三ヶ月が経ちました。

で、子どもの感想をことばにする力がめっちゃ伸びていることに気づいたんです。

『考える部屋』では、創作好きな子どもに、考えるための方法と、表現するための技術を伝えています。
その中で、ほぼ毎回、授業の内容にそってシナリオを書いてもらいます。そして、シナリオを各自が発表して、感想をいいます。

毎回感想を言うわけですが、なぜか突然9月29日に実施した9回目から、子どもの感想が上手くなったんです。

「私のは○○だったけど……」

『考える部屋』が始まった6月、7月頃は、それぞれの作品についての感想が、あまりうまくありませんでした。(いま、思えばね)

で、なんでかな?

と思って考えたんですが、それはみんな、相手の作品と自分の作品を比較して、感想を言っていたんです。

「私のは○○だったけど、アサさんの△△の発想はすごいと思った。私には思い浮かばないから」

のような感じ。

別に悪くないんですが、なぜか今日から、みんなの感想が変わったんです。

ちなみに、今日の内容は、『うさぎとかめ』の話をもとに、うさぎと競争をすることになったその日の夜、かめ会議で主人公のかめ吉が、他のかめたちから反対されたり、応援されたりすることで、競争する理由をなかなか言えないというシーンを作ってね、というもの。

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感想に比較がなくなり、物語の確信を突き出す!

どんなふうに変わったかというと……

「しおちゃんが書いたかめじぃに会ってみたいと思うくらい、かめじぃのキャラクターがおもしろかったです!」

「かめ吉が、クールなキャラクターな感じだったんだけど、実はうさぎとのレースをする理由が、お母さんのためっていうのが最後にわかって、いい話感があってすごく良かった

「かめたちの中で、みんなが同じ意見ではなくて、かめたち一人一人が違う考えなのもあって、そこがいいなぁと思った」

「こうら以外に反対されて、ほぼ完全にアウェイの状態での『最後にもういいよ!』って出ていってしまうのも、かめ吉らしくていいなぁと思いました。

こんな感じで、作品のおもしろいと思うところを、ピンポイントで捉えることができるようになったんです!

なんで、急に感想がうまくなったのか?
ちょっと考えてみました。

感想がうまくなった理由その1
発表する側のレベルアップ

『考える部屋』も丸三ヶ月を経たことで、子どもの表現力はめっちゃ上がっています。回を重ねるごとに、「へぇ〜」という感嘆や、「ガハハっ」という爆笑が起こります。

実は最初のうちは、いまいち物語の内容が伝わってこない時もありました。そうなると、感想もちょっと言いにくい。

みんなのシナリオがレベルアップしていることで、感想もいいやすくなっていると言えそうです。

感想がうまくなった理由その2
物語をおもしろくするポイントの理解度アップ

毎回の講座のなかで、物語をおもしろくするためのポイントを解説します。その解説を元に、みんなで実際にシナリオを書いています。

この繰り返しの中で、少しずつですが、着実に「おもしろくするためには、ここがポイントなんだな」というのが、子どもの中に腹落ちしているようです。

なので、どこが、なぜおもしろいのかを、ことばにできるようになったのだと思います。いや、これはホントにすごいことです!(いいカリキュラムだ!)

感想がうまくなった理由その3
物語に正解も不正解もないことがわかってきた

創作には、正解も不正解もありません。おもしろさを伝えられるか、否かだけです。そのため、物語の中には、それぞれの個性が出ます

子どもの中で、物語を通して、それぞれの個性を掴み、その子が考えた世界を自分も一緒に体験する、という感覚が生まれ始めたのではないかと思います。

だから、自分の作品と他の人の作品を、比べて感想をいう必要がなくなったのではないかと思います。

具体的な感想が言えるってことは、創れるということ

『考える部屋』に参加している子どもたちの感想力は、ものすごくレベルアップしています。

どこが、なぜおもしろいのか、を自分のことばにできるということは、自分の作品をどう書けばいいのかを理解しているということです。

誰かとの比較ではなく、自分はどう思ったかを深掘りしていくことで、感想ってうまく言えるようになるんだなぁと思った、あらいでした。

それにしても、子どもの吸収力はすごい!

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