教員になる前にやっておくべきだった事

 久しぶりの投稿となりました。本当はもっと高い頻度で更新したいところですが、昨年までの激務による体調不良を癒すのに案外時間がかかってしまいました。

 今回は、教員採用試験に合格してから実際に勤務するまでの間にやっておけばよかったなあと思ったことをいくつか挙げていきます。来年または将来的に教員になる予定の方に届くといいなあなんて思ってます。もちろん、現職の方にとっても参考になる部分があるかもしれないです。
※中高一貫校勤務の視点で書いています


・やっておくべきこと目次

1.入試問題を解きまくる

2.1分以内の自己紹介を2~3個考える

3.規則正しい生活を身に付ける

4.給料の使い道をおおよそ計算しておく



1.入試問題を解きまくる

 4月を迎える前にこれをやっておくだけで、初任の時期の授業準備のスピードが倍になると言っても過言ではありません。具体的には、難関大レベルの問題集を一冊完璧にできるまで解いておくという感じだと思います。
実際に学校でどんな授業をしようかと考える際には

① 教科書の内容のうちどれについての授業にするか
② どのように話し、授業を展開するか
③ どのようにして生徒の興味関心を引きだすか

など、かなり多くのことを気にする必要があります(もちろん、実際にはもっとたくさんのことを考えます)。ところが、一般的な私学ではこれに加えてもう一点、

④ 受験に出やすいポイントや発展知識をどう盛り込むか

が重要になってきます。特に大学附属以外の学校においては、外部からの学校の評価は進学実績でほとんど決まると言っても過言ではないような状態です。そのため「授業の中で受験に必要な知識を効率的に盛り込み、高い進学実績を出せるような授業」を作るというのは、学年を問わずほとんどの授業で求められてくるスキルです。
 ところが、授業の準備をする際に毎回毎回「今日の学習範囲のうち、受験に出やすい所はどこかな?」なんてやってたら時間がいくらあっても足りません。そのため、受験を見据えた授業を毎回行うには「入試で出やすい部分は何となく感覚で分かる」という状態になっておく必要があります

 結論として、入試を見据えた授業を求められる私学においては「入試問題を肌感覚で理解していれば、受験を見据えた授業を作るのがだいぶラクになる」という理由から、初任の4月までに入試問題を解きまくるというのをオススメします。ちなみに、私は生物専攻ですが、生物科の方へのオススメ問題集は以下の二つです。

・セミナー生物+生物基礎 https://amzn.to/2MbgQei 
生物科教員にとって必読の一冊

・生物標準問題精講 https://amzn.to/2M5oKWz 
標準とは名ばかりで、難関大の良問をまとめた一冊。かなり難しい問題が多いですが、これが解ければ大体の入試問題は解けます


 なお、私が初任になる前は「受験だけが学校の勉強じゃない!」と考えて入試問題も解かず、研究活動に没頭していました。その結果として初年度の授業では教科書に書いてある範囲でしか授業ができず、私大入試を目指す生徒たちにとって密度の低い授業になってしまったと考えています。

※私学の運営費の大部分は学費や受験料での収入によって賄われています。進学実績が悪化して学校評価が下がると受験者数が減少し、結果として学費や受験料の低下を招きます。これが何年も続くとやがて学校は人件費などを削らなければならなくなり、設備にお金をかけられなかったり、生徒数に対して先生の数が少なくなったり、最悪の場合学校を潰したりする可能性もあります。学生時代の私のように、「受験だけが授業ではない!」という考えを持っている方は多いかと思います。しかし上記のように、受験を意識しなさすぎると学校の運営を不安定にしてしまう可能性が高いため、私学で働く教員はどうしても受験を見据えた授業をせざるを得ません。これは私学の働き方の難しい部分でもあると思っています。


2.1分以内の自己紹介を2~3個考える

 人と関わる上で第一印象が大事というのは一般論として言われることが多いかと思いますが、学校の生徒は特にこの傾向が強いです。皆さんも学生時代「あの先生は怖そう」「あの先生は面白そう」「あの先生が怒ってる所を見た、怖い」のように、先生の第一印象を友人と話したことがあるのではないでしょうか。第一印象でつまづかないためにも、自己紹介を複数考えておくと良いです。特に初任の年では新任の先生の紹介やクラスの保護者への自己紹介、クラスの生徒や授業を担当する生徒への自己紹介など自己紹介をする機会が非常に多いです。またこのような自己紹介を突然振られることもよくあります。こうした初対面の人と話す時にうまく話せないと「この人は何だか頼りないなあ」と思われてしまいます。第一印象がマイナスで始まってしまうとその後何かと苦労が絶えないので、様々な場面に合わせた自己紹介を考えておくと後々得かと思います。
 なお一分以内の自己紹介とした理由についてですが、初任の頃はまだ話すのに慣れておらず、どうしても話が冗長になりがちです。話が長いとそれはそれで「この人の話は分かりにくい」という第一印象を与えてしまうので、言葉数は少なめでテンポよく自己紹介をするべし!という意味で、一分以内の自己紹介をおすすめしています。

※私の新任時の自己紹介(いずれも1分以内)
・新任教員紹介:年齢、名前、担当科目、学生時代の部活、教員生活の抱負
・クラス生徒への自己紹介:年齢、名前、担当科目、生徒に1年間どう過ごして欲しいか
・保護者への自己紹介:年齢、名前、担当科目、1年間生徒と関わる上での抱負


3.規則正しい生活を身に付ける

 これは教員になる前に必ず身に付けておくべきだと思っています。規則正しい生活を身に付けておくことには、以下のような利点があります。

① 自身の疲労など健康状態を知る手がかりができる
② 学校業務が自分にとって多すぎるか否かを判断する基準ができる
③ 朝が早い教員生活に早く馴染める
④ 十分な睡眠をとっていれば頭が働くので、授業準備などの質が上がる

 ①について、これが一番大事かなと思っています。ここでいう規則正しい生活とは毎日決まった時間に寝る・起きる・食べる・出勤する・退勤するということになります。疲労や業務過多で体に異常が出始めると、この生活リズムが崩れ始めます。例えば寝つきが悪くなったり、寝起きが悪かったり食欲がなくなったり、決まった時間に学校に着けなかったり。規則正しい生活を送っていると自分の疲れが生活リズムの乱れとして現れるので、逆に言えば「生活リズムが乱れているということは疲れているのだから、今は頑張りすぎてはいけない」と自分で自分の疲労に気づくことができます。今やブラック職業の代名詞ともなった教員ですが、仕事を頑張りすぎるあまり自ら命を絶ってしまうケースも最近よく耳にします。そうならないためには、自分で自分の疲労に気づいて休むことがまず第一です。そのために規則正しい生活は重要だと考えます。
 ②も似ているのですが、自分にとって最も自然な退勤の時間や夕食の時間を決めておくことで業務量の多寡を判断する基準にできます。具体的には、自分の決めた退勤時刻を毎日過ぎてしまう場合は「自分で決めた時刻に退勤できないということは、今の自分にとって業務量が多い」と判断できます。自分にとって最もストレスのかからない退勤時刻に退勤できないわけですから、これは業務の過多によって退勤時間が延び、自分の心身にストレスを及ぼしていると考えられます。こうして自分の業務量が自分の体調管理上適切かを判断できる基準を作ることができるようになるというのも、規則正しい生活がもたらしてくれる恩恵です。ただし、業務量が多いのか自分の要領が悪いのかは適切に判断する必要があります。
 ③と④は言わずもがななので省略します。

これらの利点より、規則正しい生活が身に付いた状態で教員生活を始めるというのは、社会人としての常識云々ももちろん、自分自身が教員という激務に身を置く中で体調を崩さないために重要な事だと考えています。


4.給料の使い道をおおよそ計算しておく

 地味ですが、これも大事だなと思ったので。ライフラインや通信費、交際費や家賃など、どこにどのくらいお金を使うか考えるのは案外大変で手間のかかる作業です。教員となったらしばらくは忙しいと思うので、教員になる前にお金の詳細な使い方・配分は考えておくほうが良いと考えます。またお金の使い道をしっかり決めておくことで、使いすぎたりして経済的余裕を損なう恐れが少なくなるというのも大きいです。
 新社会人となって一人暮らしを始める方にとって、給料の使い道は精神面の安定感に大きく関わります。「生活費が出せなくなったらどうしよう」「奨学金の返済が滞ったらどうしよう」「全然貯金ができなくて、将来結婚とかできるのかな」など、お金に余裕がないと必要以上のストレスを抱えることになります。一人暮らしの場合はお金がない=明日の衣食住もままならないという事になるので、学生時代の「お金がない」とは比べ物にならないプレッシャーがあります。ただでさえ仕事でもストレスがたまりがちなのにプライベートでも心理的なストレスがあると、年中無休で気が休まりません。お金の管理は適切にできている必要があります。

なお、私が思いつく限りでの一人暮らしの主な経費は
食費・交際費・家賃・光熱費・通信費・消耗品等の雑費・奨学金等の返済・本などの勉強費・その他雑費(病院とかクリーニングとか)


 以上となります。雑駁ですが、一人でも多くの新任教員の方の目に届くことを願っています。


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