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サメも睡眠で体を休める研究チームが代謝と行動を分析


サメの睡眠、代謝を初めて測定

ニュージーランドの研究チームが、サメの睡眠中の代謝を初めて測定し、睡眠が省エネルギーに役立つことを発見しました。

研究対象となったのは、ニュージーランド北東部のハウラキ湾に生息するドラフトボードシャークです。7匹のサメを捕獲し、屋外の水槽で飼育。48時間の絶食の後、呼吸代謝チャンバーに入れ、24時間にわたって酸素消費量を測定しました。同時に、ビデオ録画で目の状態と体勢も観察しました。

研究チームは、サメの活動状態を「遊泳中」「5分未満の休息」「5分以上の休息(睡眠)」の3つに分類し、それぞれの代謝量を比較しました。その結果、睡眠中の代謝量が最も低く、遊泳中が最も高いことがわかりました。

さらに、昼夜で分けて分析したところ、睡眠中の代謝量は昼夜で差がなく、常に低いレベルに保たれていました。一方、夜間の5分未満の休息では、代謝量のばらつきが大きく、遊泳中と同程度に高くなる個体もいました。このことから、5分未満の休息の中には、単なる休息だけでなく、静かな覚醒状態も含まれている可能性が示唆されました。

また、サメの行動を観察したところ、遊泳中は常に目を開けていましたが、休息・睡眠中は目を閉じることが多いことがわかりました。特に昼間の睡眠では、ほとんどの時間で目を閉じていました。ただし、夜間は目を開けたまま眠ることも多く、目の状態だけでは睡眠かどうかを判断できないようです。

一方、サメの体勢に注目すると、睡眠中は体を平らにする「横臥位」が多く、休息中は胸鰭で体を支える「直立位」が多いという違いが見られました。横臥位の割合は、昼夜を通して睡眠中に高く、休息中は昼間だけ高くなっていました。このことから、休息の中にも睡眠が含まれている可能性が示唆されました。

以上の結果から、研究チームは、サメにおいては、5分以上動かないことと横臥位が、睡眠を示す良い指標になると結論づけました。

今回の発見は、睡眠が省エネルギーに役立つという仮説を裏付けるものです。サメは最も原始的な顎口類の魚類であり、睡眠の進化を知る手がかりになると期待されます。

魚の睡眠パターン

魚は人間とは異なる多様な睡眠状態を示すことが、最新の研究で明らかになりました。魚の睡眠は、活動量と代謝率が低下する休息状態と考えられており、人間の睡眠に相当するものです。

魚の睡眠パターンは種によって大きく異なります。例えば、片側の脳だけを休ませる「片側性睡眠」を行う魚がいます。これは、エラに水を通すために泳ぎ続ける必要がある魚にとって特に有用な適応です。また、厳しい環境条件下で冬眠に似た休眠状態である「夏眠」に入る魚もいます。

魚の睡眠は、昼行性と夜行性のパターンに分かれます。ゼブラフィッシュなどは概日リズムに従い、光への暴露に敏感な睡眠-覚醒サイクルを示します。また、産卵や回遊の時期には、魚の睡眠パターンが乱れることもあります。

休息中の魚は特有の姿勢や行動をとることがあります。例えば、ブラウンブルヘッドは鰭を伸ばして底に横たわり、モザンビークティラピアは呼吸数を下げて底で静止します。オウムガイは粘液の繭を作って休息中の保護をします。休息中の魚は一般的に覚醒閾値が高く、外部刺激に対する反応が鈍くなります。

魚の睡眠パターンは、環境の変化、光害、人間の活動など、様々な要因によって乱されることがあります。光への暴露は、数日間にわたって魚の休息量を大幅に減少させる可能性があります。

以上のように、魚は他の動物の睡眠と同様の機能を果たす休息期間を経験しますが、それに伴う特定のパターンや行動は種によって大きく異なることがわかりました。これらの休息期間は、体を回復させエネルギーを節約するために不可欠であり、環境条件、ライフサイクル、捕食者に対する警戒の必要性などに影響されます。

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