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ヨーロッパ文化教養講座(2023年7月18日 反田恭平リサイタル 鑑賞記)

2023/07/22
大阪のフェスティバルホールで完全に満席の観客の前で行われた、反田恭平君のリサイタルを聴いた。

日時:2023年7月18日 会場:17時半 開演:18時半
会場:フェスティバルホール

プログラム:
1.スクリャービン:幻想曲 ロ短調 Op.28
2.ラフマニノフ:前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2 「鐘」 
(ラフマニノフ:前奏曲 ニ長調 Op23-4 より当日変更)
3.ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 Op36
休憩
4.ショパン:バラード第2番 ヘ長調Op.38
5.ショパン:バラード第3番 変イ長調Op.47
6.ショパン:バラード第1番 ト短調Op.23
7.ショパン:バラード第4番 ヘ短調Op.52
アンコール
8.ショパン:エチュードOp.25-12 「大洋」
9.ショパン:ワルツ第5番 変イ長調 Op.42
10.ショパン:子犬のワルツ
11.ショパン:猫のワルツ

コメントと感想:

1)開場と同時に入場。客は女性7,8割。多くの人がいきなり、CD・書籍の販売コーナーに行列。今日は終演後サイン会があるらしい。
反田君は、株式会社JNOの代表取締役社長。社員のためにお金を稼がなきゃといったところ。

2)平日の夜の公演なのに、18時半開演としたのもこのサイン会があるからだと思った。
1のスクリャービンの演奏開始時点では、空席がポツポツとあったが、1が終わって、反田君が舞台袖に引き上げると、この空席も完全に埋まって、本当の満席となった。(今回の公演は、抽選で席は選べなかったが、1Fの最後尾の真ん中付近の席だったので、1Fの観客の前景が見渡せた。)

3)当日、2の曲目変更があった。変更の理由は不明だが、
ラフマニノフの「鐘」は、田中圭+門脇麦の「リバーサルオーケストラ」のBGMで使われたので、反田君がサービスのために敢えて、この曲にしたのかなと想像した。

4)前半は、反田君が、日本音楽コンクールで務川君と並んで1位に選ばれたあと、最初に留学した、ロシア出身の作曲家2人の曲、後半は、その後留学した、ポーランド出身のショパンのバラード全曲。
おそらく、数え切れないくらい、これらの曲は練習し演奏した曲なのだろう。

5)1Fの最後尾まで、スタインウェイの華麗な音が鳴り響き、観客を魅了した。
特に、後半のバラード全曲は、舟唄、ピアノ・ソナタ3番と並び、ショパンの曲で最も好きな曲なので、集中して聴いたらあっという間に4曲が終わっていた。
しかも、小生が好きな順、4番->1番->3番->2番の逆順に弾いてくれたので、自分的には感激が強かった。

6)1曲終わることに、会場は拍手をしたがっていたが、反田君が舞台袖に引き上げたのは、1の後、3の後の休憩前だけで、後半の4曲はそのまま弾き続けた。その反動か、7の終了後は満場の拍手、スタンディングオヴェーションの観客もかなりいた。

7)アンコールは、ショパンのラルゴ、ワルツか、シューマンリストの献呈かなと思っていたら、ショパンを4曲。
超高速の子犬のワルツと猫のワルツをさらっと弾いて、それでも、拍手がなりやまない会場に向かって、腕時計を指さす仕草で「もう時間だよ」というジェスチャーをし、会場を笑わせて終了した。

8)反田君は最初から最後まで、スタインウェイと観客を完全に掌握した素晴らしいリサイタルだったと思う。
今後もますます、切符が取れなくなると思うが、反田君の推し活はお金と時間と体が続く限り続けたいと改めて思った。

9)ピアノを習っていると思われる子ども連れや、若い人も観客に混じっていた。
反田君の演奏を聴いて、「自分も頑張ろう」と励みにしてもらいたいと思った。
でも、逆に、「自分は絶対にこんなに弾けるようにはならない」とピアノの道を諦める人たちもいるんじゃないかなと、余計なことを考えてしまった。


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