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傘を持たない国で雨を見ていた


長期出張で滞在しているエジプトは雨量がめっぽう少ない。半分以上砂漠の国だから、当然といえば当然だ。それでも地中海沿いの街アレクサンドリアでは、冬場に何度か雨が降る。

冬の季節の静かな雨で、それは海を曇らせ、灰色の街に薄靄をかけて、ちょっと鮮やかにする。

雨の日も、人は傘をささない。傘なんて持ってないんじゃないかと思うくらいに。雨の中を淡々と歩いていく。

そんなアレキサンドリアのホテルのテラスに座って、すぐそばの海岸線を淡く曇らせる雨を眺めるのは素敵だ。

スターアニスと新鮮なミントの入った紅茶の香り。静かな雨の音。
時折吹く湿った風のしめやかなにおい。海を覆うように薄く広がった霧の淡い色合い。

なんだか別世界にいるみたいで、心がシンとする。

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追記:中近東は今大変なことになっていて、イスラエルと国境を分かち合うエジプトの介入具合が注目され、緊迫している。今までながいあいだ圧迫されていたものが曝け出されたようだ。この歴史的に大きな出来事の後にくる平和を願う。





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