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神田伯山独演会にて「おじさんが直接懇願するスタイル」の効果

先日、塩尻レザンホールへ「神田伯山独演会」を聴きに行った。


講談の素晴らしさは私が言うまでもない。

チケットは完売だそうで、老若男女でホールはいっぱいだった。

公演時間のベルが鳴り、ロビーにいる方はお席にお付き下さいのアナウンスが流れ、さて時間だな、という時に、おもむろに一人のおじさんがマイクを持ってステージに立った。
スラックスにニットのチョッキ姿の事務所から出てきた風な出立ちであった。
「え〜っと、これからココに神田伯山さんが出てらっしゃって講談をされますが、講談中に携帯電話が鳴りますと、せっかくの講談が台無しになってしまいすので、必ず電源をお切りいただくか、音が鳴らないようにしていただきたいのです。」
「もし、電源の切り方が分からない、という方がいらっしゃいましたら、ちょっと手を上げていてもらえますか?」

そういうと、スーツ姿の係員が何人も客席内を歩き回り、挙手している人の携帯の電源を切って回った。

これは本当に大事なことで、芸に引き込まれて集中している最中に携帯の着信音が鳴ると、一気に会場全体の場が白けてしまう。
そういう現場に何度も遭遇したことがある。

今回のおじさんが懇願するスタイルはとても良いと思った。
マイクパフォーマンスも、意図してか偶然かは分からないけど、知り合いのおじさんが話しているような親近感があり、私がもし電源の切り方に自信がなかったら、ちょっと見てと手を上げていただろう。

事実、今回の「手を上げていてね」の呼びかけに、手を挙げた人が何人もいたということは、館内放送で注意しただけでは電源を切ることは徹底できないということだ。

神田伯山さんの独演会は、客層がいいのか、ホールの対応がいいのか、はたまた両方か、マナーが良いんだなと思った。

小さめのホールだからアットホームな感じで出来るのかもしれないけど、おじさんがステージに上がって直接懇願するスタイルはとても効果的で素晴らしいと思った。公演中、誰かの携帯が鳴ることは一度もなかった。




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