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あのスティークを切り開き

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2024.4.10~2024.4.28
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記事一覧

あのスティークを切り開き 第1章「針」

2年ぶりにばあちゃんに会いに行ったら、「たっちゃんさん」が居た。 代々続く石屋に生まれ、…

仮名子
1か月前
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あのスティークを切り開き 第2章「中野ブロードウェイ」

 高円寺から帰路について、19時ごろに、ニットカフェおよびたっちゃんさんの店からほど近い、…

仮名子
1か月前
17

あのスティークを切り開き 第3章「付け襟」

 俺の部屋に、毛糸をぐるぐる巻きにして作った、綺麗な球体の毛糸玉と、疲れ切ったたっちゃん…

仮名子
1か月前
16

あのスティークを切り開き 第4章「目」

 穏やかな日差しが降り注ぎ、時には「7月並みの暑さ」なんて言葉が天気予報で聞かれるような…

仮名子
1か月前
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あのスティークを切り開き 第5章「母、襲来。」

 朝目を覚ますと、家の中がやけに静かだった。朝のニュース番組の声が聞こえない。その分、窓…

仮名子
1か月前
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あのスティークを切り開き 第6章「キッズセーター」

 うちのカフェは、19時にもなれば、お客さんはほぼ、いや全く居なくなる。ばあちゃんのお友達…

仮名子
1か月前
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あのスティークを切り開き 第7章「Never」

 赤いセーターを編み上げ、秋になっても、ルイは変わらず週末はうちの店に来た。編み物はせず、勉強をする。一応、ニットカフェではあるものの、カフェとして使っても何ら問題はなく、また俺の数少ない友達、ということで、ばあちゃんも歓迎してくれている。  ルイの目当てはたっちゃんさんだけではない。と信じたい。勉強中は邪魔しないが、ひと息入れる時は話しかけてくるし、2~3日に一度のたっちゃんさん通信も途切れず続いている。何より、中学校時代ほぼ笑顔を見たことがなかったルイが、俺の前ではふふっ

あのスティークを切り開き 第8章「鳥」

 ちょっと長くなるかもしんないから、レオ、トイレ行っといたほうがいいよ。  大丈夫?えじ…

仮名子
1か月前
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あのスティークを切り開き 第9章「ハサミ」

 たっちゃんさんと腹を割り合ってからの一週間、俺は、ルイへのたっちゃんさん通信をお休みし…

仮名子
3週間前
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あのスティークを切り開き 第10章「フェアアイル」

 早朝のエディンバラ空港で、機内からタラップに出た瞬間、日本とは全く違う冷気が顔を包んだ…

仮名子
3週間前
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あのスティークを切り開き 第11章「インパラ」

 受験生になり、あまり顔を出さなくなっていたルイが、ゴールデンウィークの終わりに久しぶり…

仮名子
3週間前
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あのスティークを切り開き 第12章「さくら」(終)

 朝、いつものように店に行くために自転車にまたがろうとしたら、黒いサドルの上に、一枚桜の…

仮名子
3週間前
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