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ACT.35『北海道上陸作戦…?』

北の大地を目指すなら

 ある事情があり、自分は1週間近い北海道遠征に出る事にした。今だからこそ書ける、残せる事になるが本当に送り出してくださった皆さんと家族には感謝だ。お土産もその関係者や友人にはしっかりと購入している。
 しかし。京都から北海道を目指していくにはすっかり遠くなった印象がある。何年か前になってしまうが、寝台特急・トワイライトエクスプレスが走っている状況であれば自分は取り敢えず予約してそのまま乗車し、札幌を目指していたのかもしれない。
 しかし、時代は進行し青函トンネルは新幹線に献上した。京都から北海道へは、フェリーが1番安く手っ取り早い手段になったのだ。
 経路は、京都市内から東舞鶴を目指す。そして、東舞鶴から日付が変わる手前にフェリーに乗船し、小樽港を目指すという手段になるのだ。
 今回はそれを選択し、京都市内から少し奮発しての移動という事で…久しぶりに北を目指していく事にした。

癖ある最終列車

 京都市内から東舞鶴までの移動には、特急・まいづるに乗車しての移動とした。自分の中ではこの日、出発のギリギリまでマイナビ・オールスターゲームを見ていたので少し別趣味の感覚が抜けない状態で発信していたが、少し浮き気味になった感覚で列車の到着を待つ。
 最寄である太秦から電車に乗車し、そのまま亀岡を目指す。亀岡に到着してからは特急に乗り換えていくのだが、城崎温泉に行かない『きのさき』と併結した状態で『まいづる』が到着する。コレも少ししたネタになるだろうか。
 そして、山陰系統の特急列車たちも気が付けば全て全車両が指定席に変更されてしまった。特急料金の値上げを食った感じでこのように変更された…のではないかと推測してしまうが、自分の生活路線がここまで羽振り良くなってしまう姿?というかここまで金銭的に限界を迎えた姿?というのは見ていて少し苦しい感じもするし、何か自由席という当たり前のようにあった文化を体験できなかった事への悔しさも感じられ複雑だ。
 そして、この列車にはもう1つ大きな特徴があるのだ。

 車両が気動車で運転されている事である。特に、自分が乗車する亀岡〜東舞鶴に関しては架線下区間を常時走行しているので、この車両に乗っている時間は『架線下気動車特急』の本格的な力走が楽しめるというワケだ。
 車両の都合…なのか、運用や車両使用料の相殺なのか、この時間の特急列車には『気動車』として『丹後の海』・KTR8000形が充当されていた。しかし、もう既にこの姿として出来上がり過ぎているので『ディスカバリー』だった時代は残念ながら記憶というか忘却の方角に少し飛びがちになっているのが現状だ。模型店などで見れば思い出せるが。

 車両に乗車していこう。
 北海道に行けば、気動車特急の力走なんて無限に楽しめるし架線下走行も…と膨らむものはあるが、こうして余興にKTRの車両で最初を楽しんでみるのも全然アリかもしれない。
 そして、丹後の海に改造された証拠として銘板がキッチリ追加されており、水戸岡鋭治先生の監修改造である『ドーンデザイン研究所』の銘板。そして、車両改造を手掛けたであろう『大阪車両工業』の銘板が装着されている。というか既にもう5年以上はこの姿で走っているのか。気づかなかった。

 車内を見てみよう。
 車内は、水戸岡デザインの力が波及している…というか水戸岡デザインの真価を遺憾なく発揮した状況として、多彩には多彩な座席と温和な車内環境が演出されている。
 そして、特急車両としては少々贅沢かもしれないがデッキのようなもの、(ソファー)が置かれていた。
 時間が時間だっただけにこの場所ではサラリーマンの酒盛りが開催されており、酒の異臭が漂う謎の空間と化しているのであった。もう少し時間と空気に余裕がある時に乗車しよう。
 余談だが、自分が指定した座席(◎で発券できた)の横には別の乗客が鎮座している状況であった。
「ここなんですけど…」
と試しに会話を進行させるとどうにか座席に到達できたが、横の乗客は車掌から簡易的に切符を発券して乗車している状況だった。座席指定の現状を知らなかったか、駆け込んで乗車してしまったかのどちらかだろうか。
 そのまま、園部まで相席状態が続く。架線下気動車特急で一気に加速を付け、いざ海を経て北海道へ…とは行かないものだった。

引くならここしかない?

 園部に到着した。
 しかし、列車の進む気配が全くしない。
 すると、車掌から
「山家〜綾部で倒竹の影響により先行列車が衝突し、竹の除去作業を実施する為この駅で抑止する」
との事。しかも時間に関しても全く不明な中で、絶望に暮れるしかなかった。
 運行再開時間は22時頃。
「間に合う事は無いのか…」
と思いつつ、自分は車内と列車を右往左往しながら発車の時間を長く待った。
 車掌から新しい情報が入る。
「竹の撤去作業が22時に終了」
との見込みのようだ。業者を呼んで再開すると目標にした時間と全く釣り合っていない。一体どうなっているんだ?

 車内も絶望に暮れている状況だった。
「えぇ…」
と溜息混じりな声が聞こえ、電球色の車内も暗いムードになってしまう。
 車掌に
「どちらまで向かわれますか?」
と聞かれたのでそのまま
「東舞鶴、終点まで行きますが」
と申告した。
 この申告を機にして、代行バスの手配でもあるのだろうかと懸念したがそうでもなかった。結局あの拘束時間は。そして各駅を聞いて回って情報を聞いていた時間はなんだったのだろう。
 そして、1時間近く経過して園部発車。このまま再開し、確か…ではあったが、胡麻でも再び停車。そして、綾部の手前である山家でも再び停車に時間を食って結局は遅延時間が70分にまで肥大化してしまった。

 そのまま、列車は綾部に編成で入線し宮津・東舞鶴に向かう列車の切り離し作業を実施する。
 現在ではこの作業が山陰特急の中心的な運転形態となっているようで、一昔前のように終点まで1本で完結するような列車の走行はなくなった。
 と、山家を少し過ぎてから列車の通り抜けが出来なくなる。作業に向けて貫通扉関係の作業をここで実施しているようで、早くも列車の解放作業が開始された。
 綾部に到着すると先に東舞鶴行きとして『まいづる』が出発。そのまま、東舞鶴に向けて70分遅延を背負ったまま動いていく事になった。
 とここで
「新日本海フェリーの者ですが…」
との1本の電話が入る。
「あ、はい…」
どうやら、安否を心配しての電話だったようだ。一応、列車内に居て70分遅れているとの話をすると
「でしたら今から向かってもタクシーでも間に合いませんので、本日の便は振替か払い戻しかどちらかで…」
との宣告を告げられる。
「振替で良いですか?」
と渋々諦め、この日は乗船を諦めた。列車は、西舞鶴に到着している。この駅で、京都丹後鉄道とJRが分岐する節目のような区間だ。

どうしよう?

 到着。しかしここにはもう何もない。
 東舞鶴から先の交通手段は既にバスもタクシーも絶たれているので、舞鶴市内でできる事は何も無い。
 取り敢えず家族に現状を連絡し、自分の行動を伝えた。
 しばらくは舞鶴市内を右往左往して歩く…などしていたが、しばらくして家族から救済措置としてビジネスホテルの予約がされた。コレで少し安心。となった感じかもしれない。

 切なく光る列車の遅延表示。ここから先は敦賀方面にも列車は出ていないが、どうしたら良かったのだろうか。終電後の東舞鶴駅に、合成音声での案内で倒竹に夜大規模遅延の案内が鳴り響いておりひたすら不気味な環境である事は確かだった。

順延

 この日は東舞鶴で旅を打ち切った。自分で解決しようと様々な手段を模索したが、舞鶴市内でビジネスホテルに滞在するのが精一杯の手段であった。
 禁煙の格安シングルとしてこの部屋に入ったが、入った瞬間は何か安心感というか背徳感というか。そんなものを感じた。
「列車が遅れたんですか?」
「はい。途中、綾部の方が遅延しましたね…竹の影響でした。」
「あぁ、それで。」
「北海道に行きたかったんですけど、船が先に行ってしまったので無理ですわ。」
フロントとはこんな会話を交わして中に入った記憶がある。

 夜が明けるまでのわずかな時間は、深夜番組の視聴で時間を潰した。
 既にチェックインは1時かその時刻だったと思うが、そんな時間にも関わらず受け入れてくださった東舞鶴のビジネスホテルさんには感謝してもしきれない状況である。
 と、我が家では何故か映らないKBS京都を視聴。他のチャンネルは正常に様々なチャンネルを映す事が可能なのだが、KBSだけ映らない状況になっているのでこうして視聴するにはホテルやカフェなどに行って見るしかないのだ。
 アニメが放送されていた。『スパイ教室』というアニメだそうで、何かで聞いた事があるタイトル。しかしながら、こうして地元のチャンネルをホテルで視聴している違和感。
 その後は音楽番組を見たり、7月だったので祇園祭に関するクリーン運動の啓発CMを見たりと自分があまり動いていない事や京都の北側でも同じ電波が流れている事などを感じ、そのまま睡眠の時間に入ったのだった。

変わらない朝に

 翌朝起きると、そのまま自宅と変わらないような過ごし方で朝を迎えた。
 しかし、チャンネルはイジって様々なチャンネルを探した状況となったがふと変えていた中で日本系の10chに目が止まった。
 東海道新幹線の車内チャイムが、TOKIOの楽曲から変更されたというニュースであった。
「お、これは少し見てみようか」
と。しかも、新チャイムの音源も流れてくるそうで、少し鉄道が好きな人間にとっては核に迫るニュースであった。

 そして、この日は前日にオールスターゲームの第2戦が開催されていたのでその分に関しても報道されていた。
 自分はオリックスを応援しているので、勿論・オールパシフィック派。
 このゲームでは山下が活躍し、そして紅林の猛打が光ったというニュースであった。その中には確か
、阪神の木浪に関する報道も一部混ざっていたような気がするがオリックス選手の活躍と抱き合わせに報じられている現状が(尺の都合だったのだろうが)何か歯痒く仕方ない状況であった。
 他に確か、若月の活躍もありオール・パシフィックは連勝の活躍を収めたような記憶が少し残っている。

 眠気に引かれつつも、そのまま朝の食事へ。そこまで取らなかった上に、量もそこそこだったのだが会場には多くの宿泊客が来店していた。
 自分は食事後、すぐに自室へ戻ってベッドで睡眠の時間を…と寝転んだが、そのまま清掃の時間まで寝ていたようで
「チェックアウトの時間ですがぁ」
と起こされそのまま帰る事になってしまった。
 さて、上陸失敗してしまった北海道。
 この先をどうしようか非常に悩んでしまう。

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