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Vol.4「歌うまいね」と言われたこともありまして…

まぁ、人には大抵一つくらい、長所だの特技だの呼ばれるモノがあったりするもんですが、私の場合は歌をほめられたことが何度かありましてね。
普段の会話だと、挨拶や声掛けの時点で「吃音」(注1)で四苦八苦してる私が、同じ「声を扱った事柄」でほめられるのは何とも妙な話ですよね。
(補足:「吃音の人が、歌だったらスムーズに歌える」という事は『吃音あるある(a.k.a.身体の不思議)』)

そういえば、小説や映画なんかでは、たま~に
「諸事情で人と話せないキャラクターが、実は素晴らしい美声(もしくは音楽性)の持ち主で、その歌声が解き放たれた瞬間、感動がすべてを包み込む」
…みたいな展開がありますが、現実はさすがにそこまで甘くない!

そもそも『歌って踊るミュージカル的世界』の住人ならいざ知らず、皆さんも良くご存じな『醜いくせに ちょっと綺麗で、残酷なくせに たまに微笑みかけてくる「リアルな日常生活の世界」』においては、歌はコミュニケーションの手段にはならないんですよね。

ちなみに、「私が ” 心の1本 ” 認定している映画」で『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(注2)という作品があるんですが、その作品のクライマックスは「とあるキャラクターの独白シーン」。

そのシーンを客観視すると、とあるキャラクターの行動は「エキセントリックなヤバい行動」なのですが、それに至るまでの畳みかけと、独白の内容、そして何より『たどたどしくも「自分の想い」を「自分の言葉」で「しゃべり言葉」で語る、その姿や姿勢』に 心震わされ、『私も言葉を発するのが辛くても、想いを言葉で発しよう!』と、改めて思う訳です。

(なお、この映画のキャッチコピーは
 『伝わらなくてもいい、伝えたいと思った』 )

…という訳で、映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』おススメです♪

それでは、今週の締めくくりとして、しゃべる瞬間の恐怖!?を綴った吃音短歌(注3)を添えさせて頂きます。

想いを乗せた 音速のカタパルト 止まらず出よと 念じ打ち出す


【注釈】

注1)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと

注2)映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』

押見修造による同名コミックの実写映画化作品。
” スムーズな発話ができない、高校一年生の大島志乃 ” と、同級生で ” 音楽好きにもかかわらず音痴な岡崎加代 ” の出会いと交流を描いた青春映画。
※なお、『「 ” 症状を持つゆえの特有の問題 ” と捉えてほしくない」という原作者の意向』により、大島志乃の発話障害について「吃音」(もしくは「どもり」)と呼ばれたり、指摘されるセリフは無い。

注3)吃音短歌

筆者のハンディキャップでもある、吃音{きつおん}を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

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