日本の失われた30年について


日本の経済史において、失われた30年という言葉は、1991年のバブル崩壊から2020年のコロナ禍までの約30年間を指す言葉です。この期間、日本は長期的なデフレーション、低成長、高齢化、少子化などの問題に直面しました。一方で、世界ではグローバリゼーション、IT革命、新興国の台頭などの変化が起こりました。日本はこの変化に対応できず、国際的な影響力や競争力を失っていきました。

では、何が失われた30年の要因だったのでしょうか。一般的には、以下のような要因が挙げられます。

・金融システムの不安定さ:バブル崩壊後、多くの金融機関が不良債権を抱えることになりました。政府や日銀は金融危機を防ぐために金融機関を救済したり、金利を低くしたりしましたが、これが逆に金融機関の貸し出し意欲を低下させたり、資産価格を下落させたりしました。また、金融システムの規制や監督も不十分であり、金融イノベーションや国際化に対応できませんでした。

・財政政策の限界:政府は景気刺激策として多額の公共事業を行いましたが、これは効果が限定的であり、財政赤字や国債残高を増加させる結果となりました。また、消費税率の引き上げや社会保障費の増加なども消費や投資を抑制する要因となりました。

・構造改革の遅れ:日本は産業構造や社会構造において大きな変化が必要でしたが、これに対する改革は遅々として進みませんでした。例えば、製造業からサービス業への転換、雇用制度や教育制度の柔軟化、女性や若者の社会参加の促進などです。これらの改革は既得権益や伝統的な価値観に抵抗されることが多く、政治的な決断力やリーダーシップも欠けていました。

・外交・安全保障の課題:日本はアメリカとの同盟関係を維持しつつ、中国や韓国などとも良好な関係を築く必要がありましたが、これは困難なバランスを要求されることになりました。歴史問題や領土問題などで対立することも多くありました。また、北朝鮮の核・ミサイル開発やテロリズムなどの新たな脅威にも対応しなければなりませんでした。

2020年以降、コロナ禍によって世界は再び大きな変化に直面しています。日本も感染拡大や経済危機に苦しんでいますが、一方で、株価はバブル期以来の最高値を更新しました。これは、日本の企業がコロナ禍に対応する能力や技術力を評価されたことや、日銀の金融緩和や政府の経済対策などの効果があったことなどが理由として考えられます。しかし、これは失われた30年が終わったことを意味するのでしょうか。それとも、新たなバブルの兆候なのでしょうか。

今後の日本の経済は、コロナ禍の収束やワクチン接種の進展、オリンピック・パラリンピックの開催などによって大きく左右されるでしょう。しかし、それだけではなく、長期的な視点から、失われた30年の教訓を生かして、経済成長と社会的公正を両立させるための戦略や政策を立てて実行することが必要です。

日本は失われた30年から脱出できてると言えるのでしょうか?
そのチャンスを持っていると信じたいですものです。

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