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【ゴーオンジャー】第33~34話

 普段はツイッターに書きなぐる→noteにまとめるという手順を取っているのだが、仕様変更だ何だと騒がしいため、一時的に最初からnoteに書く運用を模索中。というわけで、いきなりゴーオンジャーの話をしようと思います。OPの「スーパー戦隊シリーズ」ロゴを、ぐるんと前転しながら足を組んで腰かけ→さらにぐるんと前転して着地するグリーンがたいそう可愛らしくて毎回そこばかり見てしまいます。よき。


GP-33 原始エンジン

 前回の「光の龍」により、スピードルのキャストにはダメージが。ボンパーによると「一番大事なパーツ」が故障してしまったらしいが、物理的な治療の手立てはなく、あとはスピードル自身の自然治癒能力に任せるしかないという状況。以前の錆まみれ事件のときは、走輔が無心に手を動かしてやることでスピードルを治してやれたのだが、今度ばかりはできることが何もない。もどかしさとともに募るイライラは謎の巨大炎神に向けられ、走輔はひとり飛び出していく。
 イライラしているのはドリルバンキも同様だ。偉大なるホロンデルタール様であるはずの生き物は自分をふっ飛ばしていくし、ケガレシアやキタネイダスはそもそもホロンデルタールの存在自体を疑い始め、直属の上司たるヨゴシュタイン様はちっとも自分の苦労をわかってくれない。むしゃくしゃしながら再度出かけた曲がり角で仇敵ゴーオンジャーとばったり出くわせば、そりゃあ憂さ晴らしにちょっと殴り合いたくなるのも道理である。
 ドリルバンキの「ドリカム攻撃」をいともたやすく真っ二つに断ち割る走輔。力任せだが余裕すら感じる一刀だ。そのまま勝負がつくかと思われた時、不意に現れた巨大炎神がまたも戦いに割り込んでくる。まさに走輔言うところの「当て逃げ」だ。
 この「当て逃げ」の理由について、事件現場を検分した大翔は一つの仮説を立てる。いわく、古代の炎神は頭の作りも原始的でシンプルであるがために、喧嘩相手を探して戦闘に乱入してくるのではないか、とのこと。推理を披露しながら浮かべるにやりとした笑顔が、大翔の一筋縄ではいかない性格をよく表していて大変眩しい。
 というわけで、ガンバルオーとセイクウオー、一世一代の大芝居である。古代炎神をおびき出すためのがっぷり四つ。最初こそ遠慮気味であったが、次第にヒートアップしていく大翔と軍平。火花とか散っているけど大丈夫だろうか。
 一方その頃、古代炎神たちを追う走輔とスピードルはとある操車場にたどり着いていた。薄暗い車庫の中、我が物顔で堂々と目を閉じているのはまさしく追い求めていた古代炎神たち。強者の貫禄たっぷりである。問答無用でガンを飛ばしに行こうとする走輔に対し、スピードルはあくまでも下手に出ようとする。ここで無視してぶっちぎるのではなく、きちんと相棒の意思を尊重してやるあたり、走輔も成長したな~とほっこり。
 礼を正してキャストに入り(といってもまだ故障中だが)、渡世人口調でご先祖様に話しかけるスピードル。それは礼を尽くしていることになるのか? 親分扱い?
 ともあれ、人語を発さない古代炎神たちも時代がかったスピードルの言葉なら通じるらしく、ここにきてやっと意思の疎通が可能になる。遥か昔、恐竜の時代にヒューマンワールドにやってきたご先祖たちは、そもそも人間などと言う小猿の存在を知らなかった模様。たしかに恐竜の大きさを見慣れていれば、せいぜい2m程度しかないであろう蛮機獣も人間も、同じような生き物に感じられてしまうのかもしれない。敢えて人間に牙を剥いたわけではなく、区別がつかないからまとめてふっ飛ばしていたのか……。
 しかしそれが分かったところで、古代炎神には人間に利する理由がない。共闘を拒むご先祖をスピードルは熱心に説得するも、なかなかうまくは行かないようだ。
 そんな中、またもぷんすかしながら出場してきたドリルバンキが、時間制限の迫るガンバルオーたちに目をつける。ボンパーからのヘルプコールに駆け出す走輔。説得を尽くしたスピードルも、最後は礼儀正しい口調をかなぐり捨て、思いのたけを叩きつける。
「俺たちは、相棒がいたからこそ戦ってこられたんだ! 相棒が、あいつが一緒にいるからこそ、俺は戦うんだ……!」
 相棒を未だ持たぬ炎神に、その意味と価値を伝え、新たな仲間とする。
 それを人間の側ではなく、同じく炎神であるスピードルが言うからこそ、この叫びには誰も否定できない説得力がある。走輔とスピードルが育んできた絆が、そのまま古代炎神を突き動かすための大きな力となるのだ。
 スピードルたちはキャストの大きさを元に戻すために人間の手助けを必要とするが、今までさんざん「当て逃げ」してきたように、古代炎神たちは人間の手など無くても好き勝手に暴れることが出来る。そんな彼らだが、どうやら走輔のことは「相棒」と認めたようだ。地下鉄や高架の線路を疾駆し(人間の敷いた線路を縦横無尽に使いこなす学習能力の高さ、流石である)、ドリルバンキとの戦闘現場に駆け付けると、一人戦う走輔に自らの操縦席を任せた。これ以上ない信頼の仕方である。
 キシャモスの操縦席に座る走輔。傍らにはスピードルも一緒だ。炎神が炎神に乗り込むというのは少し不思議な感じだが、それを上回るほどに、走輔とスピードルの相棒感が非常にアツい。戦っている間はいつも一緒、とふたりとも当然のように考えている雰囲気。それでこそ一番の相棒である(二番目の相棒と断言されてショックを受けるキシャモスたちのガーン顔が最高にかわいい)。
 さて。キシャモス・ティライン・ケラインの三体と走輔(そしてスピードル)の心が一つになり、キョウレツオー爆誕。古代の力でドリルバンキを圧倒する。「あの乱暴な奴らをどうやって手なずけたんだ」と訝しむ大翔に、「走輔っていっちばん原始的だし」とクールな評価を下す美羽。大翔はナチュラルに古代炎神を意思疎通不可能な動物扱いしているようだが、彼らにもきちんと人格(炎神格?)はあるわけだし、いずれ真意を確かめ合って仲良くなってくれる日が来るといいなあ。ところで、「なんか言ったか」と振り向いた走輔に「褒めてたんだ」とダミ声で返すアニ、隠しきれていませんよ! ばればれですよ!
 余談。ゴーオンゼミナールで看板の後ろから無言でじわじわ顔を出す連、なんでそんなに地味に面白いんだ……最高かよ……。


GP-34 悪魔ナオンナ

 早輝の姉・早苗、東京に現る。男性陣(大翔や古代炎神まで!)を一瞬で虜にするエンジェルのような彼女は、早輝曰く、まったく悪魔のような存在なのである。幼少のみぎりより弱みを握られ、意地悪をされ通しだった早輝は、今回も悪い予感に打ち震える。「金はないからさっさと帰れ(方言)」と強気に出ても、恥ずかしい写真をちらつかされては形無しだ。結局彼女を追い出すことも出来ず、ひとりソファで悲嘆にくれるほかない。
 それにしても大翔が日に日に俗っぽく、もとい人間味あふれるキャラになっていく。こちらが大翔にストイック人間の夢を見過ぎていたのか、それとも走輔たちと過ごす中で大翔自身が感化されていったのか、一体どちらなんでしょうか妹の美羽さん。以前大翔をスカウトしようとしていた各国のリクルーターたちが揃いも揃って美女であったことを鑑みると、もしかして大翔が美人に弱いのは周知の事実だったのか……?
 タクシーの取り合いで早苗と最悪の出会い方をした軍平だけは、彼女の色香に惑わされない。早輝の懊悩に持ち前の正義感を働かせ、連れ出した早苗に説教を一発。ボディタッチにも泣き落としにも屈しない強い心、すごいぞぐんぴぃ! かくして早苗はあっさり改心する。早輝も広い心で姉の謝罪を受け入れ、なんなら軍平と早苗をくっつけてやろうと背中を押しさえする。悪魔だ何だと言ってはいても根っこのところには肉親の情があるのだろう。大切な仲間である軍平と大切な家族である姉、ふたりが幸せになってくれれば妹としては何も言うこと無しだ。……残念ながらその温かな思いやりは、大方の予想通り裏切られることとなる。
 ガスタンクの爆発に備えて避難させるよう頼まれたギンジロー号を、早苗は目にもとまらぬ早業で現金化。ボンパーを残していったのがせめてもの情け、ギンジロー号自体は内装ごと中古車店にそっくり売り払う。現ナマをスーツケースに詰め込んで颯爽と去っていく姿はなんだか格好良さすらあるが、前半で早輝が「借金取りに追いかけられて鹿児島に居られなくなったのだろう(方言)」と詰め寄っていたのを忘れてはいけない。なるほど、高飛び資金か……。こうなってくると、公園で破り捨てたように見えた早輝の恥ずかしい写真すら、本当に手放したのか疑問に思えてくる。破っていたのは写真の入っていた封筒だけで、写真本体はカバンにしまってあったとか、そもそもネガを大事に保管していつでも焼き増せる体制にあるとか、想像するだに恐ろしい事である。早苗ならやりかねない。
 一方のガイアーク側。キタネイダスが次に投入するのはヒーターバンキである。初秋の日本を加熱することで温暖化現象を加速させるという大変壮大な目的を持って街へ飛び出したヒーターバンキは、時にビルとビルの隙間に座り込み、時に焼鳥屋の炭火の代わりとなりながら、じわりじわりと東京中を熱くしていく。作戦は功を奏し、なんと気温は50度まで上昇。熱中症アラートも鳴りやまないであろう高温だ。これなら人間たちもさぞ暑がっている事だろう、と画面をのぞき込むキタネイダスとケガレシアだが、あいにく異常気象に慣れた現代人は、この厳しすぎる残暑をものともしない。業を煮やしたキタネイダスは、ヒーターバンキにガスタンクの爆破を命じる。……逆に言えば、キタネイダスにもうちょっと堪え性があったら、人間たちは自分でも気づかないままふつふつと体中の水分を煮たたせて、一人また一人と倒れて行ったに違いなかっただろう。地味なようで非常に怖い作戦行動であり、ヒーターバンキはよくよく己の仕事を遂行していたわけである。本当、危ない所であった。「熱風には冷風!」と2回にわたって必殺ダメージを食らっていたが、確かに電熱線っぽいモチーフのヒーターバンキでは、相手を凍らせるほどの激しい凍結攻撃には耐えられなさそう。
 さて、前回のホロンデルタール探索失敗が尾を引き、ヨゴシュタインはまたしてもひとりドツボに嵌まっている。ヒラメキメデスを戦線に投入したときもそうだったが、どうもヨゴシュタインは一発逆転の大博打を狙いがちなケがあるように思う。ホロンデルタール様さえ見つかれば、と熱心に信じる心は大変天晴だけれども、それが折れてしまったときに傷つくのが自分自身であることもそろそろ学習した方がよい。
 だが、信心は時に奇跡を生む物である。えんやこらと捜索に励むヨゴシュタインは、とうとう目当てのホロンデルタールを掘り当てることに成功する。もっとも、制御下に置けるかどうかはまた別の話であるが……。顎の形や歩き方、ドラミングなど、機械生命体なのにどことなく猿人っぽいホロンデルタール様。そこだけ切り取ると、機械生命体かつ動物の特徴を持った炎神たちにもどこか似通っているようだ。ビームで街を薙ぎ払い、ビルを捻りつぶしながらいずこへと去って行ったが、一体どこへ行こうというのか。下手をしたらロムビアコ事件の時同様、ゴーオンジャーたちにとってもヨゴシュタインたちにとってもあまりよろしくない展開になりそう。若干心配である。

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